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「プログラミングを教えるなんて、どこも同じでしょ?」と高を括っていた私の失敗談 ── 新卒研修・大学・専門・訓練校の徹底比較

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本稿は 2025 年アドベントカレンダー Day 17 の記事です。

私の講師キャリアは、企業の「新卒研修」からスタートしました。

その後、「大学」「専門学校」「職業訓練校」と依頼をいただく場が広がるにつれ、当初の淡い期待は打ち砕かれました。

「教える中身が同じなら、やり方も同じでいいはずだ」

そんな思い込みは、現場の空気に触れた瞬間に消し飛びました。
今日は、私が 4 つの異なる現場で冷や汗をかきながら学んだ「教え方のチューニング」についてお話しします。

1. 新卒研修:プロとしての「集中治療室」

彼らは給料をもらいながら学ぶプロの予備軍。ここは「厳しさ」というより、**「圧倒的な密度」**が求められる現場です。
「配属後の自分を守るのは今の自分だけ」という切迫感があるため、講師は伴走者でありながら、時には高い壁として君臨する必要があります。全員が同じ方向を向いている、講師にとっては最もストレートに熱量をぶつけられる場所です。

2. 大学・専門学校:上位 2 割の「精鋭」と、それ以外の「空気感」

ここでの戦いは、新卒研修とは全く質が異なります。
教室を見渡して、本当にやる気があるのは全体の約 2 割。さらにその中で、将来エンジニアとしてやっていける見込みがあるのは、わずか 2〜3 人というのが残酷な現実です。

残りの学生にとって、プログラミングは「自分には向いていないかもしれない試練」か、最悪の場合「いかに楽に単位を取れるか」というパズルのピースに過ぎません。
「どの授業が単位を取りやすいか」といった会話が聞こえてくる中で、いかにその 2〜3 人の才能を伸ばしつつ、残りの層を脱落させないか。この**「熱量の二極化」**のバランス取りこそが、講師の腕の見せ所になります。

3. 職業訓練校:経験者との「真剣勝負」

ここが最も特異で、別の意味でヒリヒリする現場です。
受講者は一度社会に出た経験がある大人たち。ここで講師が最も気をつけなければならないのは、**「自分より実務スキルや人生経験が豊富な受講生がいる可能性」**です。

IT 技術そのものは未経験でも、前職で高度な設計をしていた人や、マネジメントを極めていた人が混ざっていることがあります。ここで「教える」というスタンスに寄りすぎたり、子供扱いするような態度を取ったりすると、経験者からの手痛い反発を招きます。

また、モチベーションも複雑です。
「人生を賭けて再起を図る人」がいる一方で、**「失業保険の給付延長」が主な目的で、期間を全うすることに重きを置いている人もいます。イメージとしては、学生向けの講義というより、「中途採用者のオンボーディング」や「対等なプロ同士のワークショップ」**に近い緊張感があります。

現場別・刺さる「Why(なぜ学ぶか)」の伝え方

失敗を経て、私は「なぜこれを学ぶのか」の語り方を、相手に合わせて変えるようになりました。

現場 受講者の特徴 刺さる言葉(Why)
新卒研修 密度の濃い成長 「配属後の自分を守るために学ぶ」
大学・専門 熱量の二極化 「将来の選択肢を 1 つ増やすために学ぶ」
職業訓練校 多様な背景を持つ大人 「過去の武器に IT を掛け合わせるために学ぶ」

訓練校での攻略法:敬意と「ファシリテーション」

職業訓練校では、講師は「先生」ではなく、**「新しい技術へのガイド」**というスタンスを徹底します。
「皆さんのこれまでの実務経験は、プログラミングという道具を手に入れることでさらに輝きます」と、相手のキャリアをリスペクトする。
特に自分より経験がありそうな受講生には、その知見をクラスに共有してもらうなど、巻き込む形を取ることで、教室全体の質を高める工夫が必要です。

大学・専門での攻略法:2 割を逃さず、8 割を置き去りにしない

上位 2 割には、授業の枠を超えた発展的な課題を。それ以外の学生には、「プログラミングそのものが仕事にならなくても、この論理的思考は就活の適性検査や、将来の事務作業の自動化に必ず役立つ」という、**「損をさせないためのメリット」**を強調します。

結局、どこが一番面白い?

いろいろな場で登壇させていただいた際によくいただく質問が「どこが一番大変ですか?」と聞かれます。

純粋な教えやすさでいえば、目的が一致している新卒研修です。
しかし、講師としての人間力が試され、一番面白いのは**「職業訓練校」や「大学」**かもしれません。

「やる気のない学生」にどう興味を持たせるか。「自分より優秀かもしれない大人」とどう信頼関係を築くか。
異なる現場を渡り歩くことで、私の「伝え方」の引き出しは、新卒研修だけをやっていた頃の何倍にも増えました。

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