仕上げは AI との協働でやっています。
漫画・スライド・動画の制作手順を個別のSkillへ分けたとき、次に出てきた疑問がありました。
このSkillはChatGPTでも使えるのか。ほかの人へ配るには何が必要なのか。
先に答えると、Skillの記述形式はChatGPTとCodexで共有できます。ただし、同じファイルがあるだけでは、両方で動くことを保証しません。 違うのは主に呼び出し口と実行条件で、公式の起動方法ではChatGPTは@、Codex CLI・IDEは/skillsまたは$を使います。OpenAIのBuild skillsも、Skillを両方が利用する再利用可能なワークフロー形式として説明しています。
次にやることは3つです。
- 最小のSkillを一つ作る
- ChatGPTとCodexのそれぞれで起動と実行結果を確認する
- 両方で通ったあとにPluginへまとめ、認証や外部サービスが必要な処理だけMCPへ切り出す
インストール状態、権限、利用できるツール、画面固有の機能は利用面ごとに異なります。このため、ファイルを共有できることと、実際に動作確認済みであることは分けて扱います。
2026年8月23日時点のOpenAI公式仕様では、役割は次の3つに分かれます。
| 要素 | 役割 | 要約 |
|---|---|---|
| Skill | AIが仕事を進めるための指示、資料、任意のスクリプト | 作業手順 |
| Plugin | SkillやMCP serverを発見・導入・更新できる形にまとめる | 配布単位 |
| MCP server | 外部サービス、認証、データ、実行基盤をAIへ提供する | 外部実行の境界 |
つまり、Skillはどう進めるか、Pluginはどう配るか、MCPはどこで実行するかを担当します。
図は上から下へ読む一本道です。最小Skillを両方で実行確認してからPluginへまとめ、MCPは必要な場合だけ追加します。公開する場合だけ、最後に申請要件を揃えます。
まず、今回の4 Skillはどこまでできているか
説明と実物の状態を混ぜないため、筆者の現在地を先に示します。
| 確認項目 | 2026年8月23日時点 |
|---|---|
| 4 Skillの構造 |
SKILL.mdの構造検証に4件とも合格 |
| 4 Skillを1つのPluginにまとめる |
plugin-creatorで雛形を作り、Plugin検証に合格 |
| Codexへローカル導入する | テスト用Marketplaceの追加、Pluginの導入・有効化、導入後ファイルの一致まで確認 |
| Codexから明示起動する | 新しい読み取り専用実行からproduce-mangaを指名し、選択結果を確認。作品生成の完走は未検証 |
ChatGPTで@から選び、最後まで実行する |
未検証 |
| 公開Directoryへ申請する | 未実施 |
したがって、現時点で言えるのは「4 Skillを検証可能なPluginへまとめ、筆者のCodexへローカル導入し、1 Skillを明示選択できた」までです。「4 Skillが作品生成まで完走した」「ChatGPTでも動作確認済み」「公開Directoryから誰でも導入できる」とは、まだ言えません。
最小のSkillはSKILL.md一枚から始められる
OpenAIのBuild skillsでは、Skillはディレクトリ内のSKILL.mdを入口にします。最小構成で必要なメタデータはnameとdescriptionです。
produce-manga/
└── SKILL.md
---
name: produce-manga
description: 漫画を新規作成または改稿するときに使う。スライドや動画だけの依頼では使わない。
---
1. 読者と、読後に理解してほしいことを一つ決める。
2. 完成画像の前に、コマ割り・構図・吹き出し位置を絵コンテで決める。
3. 視線誘導、セリフ量、効果音が「何をしている場面か」を伝えるか確認する。
4. 完成した漫画と、未確認事項だけを返す。
descriptionは単なる紹介文ではありません。公式の起動方法では、ChatGPTとCodexが依頼内容とdescriptionの一致からSkillを暗黙に選ぶ場合があると説明されています。このため、「いつ使うか」と「いつ使わないか」の両方を書くのが筆者の設計です。誤起動を減らせるかは、まだ測っていません。
同じSkillを使えても、利用面ごとの確認は必要
公式のSkill利用面では、単体のSkillをChatGPTから明示選択する方法と、Codex CLI・IDEから明示選択する方法が案内されています。呼び方は次のように異なります。
| 利用面 | 明示的な呼び方 | 確認すること |
|---|---|---|
| ChatGPT |
@でSkillを選ぶ |
Skillが表示され、必要なツールと権限で完走するか |
| Codex CLI / IDE |
/skillsまたは$skill-name
|
Skillが検出され、対象ファイルやツールへ届くか |
| Chat / Workのweb・desktop・mobile | Pluginとして導入 | 対応面でPluginとSkillが利用可能か |
3行目のChat / Workの各面は上の「公式のSkill利用面」ではなく、後述のPlugin architectureがPluginの導入先として説明している範囲です。どの利用面でも、descriptionと依頼内容が合えば暗黙に起動する場合があります。
OpenAIのPlugin architectureでは、ChatGPTとCodexがUniversal Plugin Directoryを共有する一方、機能は利用面によって異なる場合があると説明されています。つまり、特定の利用面でしか使えない機能があり得るということです。どの機能がどの面に固有かまでは、この記事では確認していません。共通なのは記述・配布の土台であり、動作保証ではないという整理が安全です。
漫画・スライド・動画を一つの巨大Skillにしなかった理由
きっかけは、同じ素材をそのまま使い回すと、媒体ごとの見せ方が崩れたことでした。
- 漫画には、コマ割り、視線誘導、吹き出し、効果音が必要
- スライドには、一枚一要点と、画面比率に合わせた再構成が必要
- 動画には、最初の数秒のつかみ、時間変化、音声と画面の同期が必要
漫画の一コマをスライドへ貼り、さらに動画へ流すだけでは、内容が同じでも体験は同じになりません。そこで実行入口を次の4つに分けました。
reader-media/
├── .codex-plugin/
│ └── plugin.json
└── skills/
├── produce-manga/
│ └── SKILL.md
├── produce-slides/
│ └── SKILL.md
├── produce-video/
│ └── SKILL.md
└── run-reader-media-production/
└── SKILL.md
最初の3つは媒体ごとの独立した入口です。4つ目だけが、必要な媒体を選んで順番に呼ぶ統合Skillです。「漫画だけ直す」と「一連の制作を回す」を同じPluginから選べるようにすることが、この分け方の狙いです。統合Skillが実際に一連の制作を最後まで回せるかは、上の表のとおりまだ検証していません。
共有するのは、検証済みの主張、出典、利用許可のある素材です。完成画像は原則として媒体ごとに構図を決め、必要ならトリミングではなく再生成します。
4 Skillを配る最小Plugin
Pluginには.codex-plugin/plugin.jsonが必要です。公式のPackage your pluginには、name、version、description、skillsを使った最小例があります。
ただし、その4項目だけを筆者の現行環境で検証すると、plugin-creatorの検証はauthorとinterfaceの不足で失敗しました。説明用の最小例を、そのまま現行ツールで通る完成形だと思わないほうが安全です。今回はplugin-creatorが生成し、実際に検証を通過した次の形を使いました。
{
"name": "reader-media",
"version": "0.1.0",
"description": "Reader-first manga, slide, and video workflows",
"author": {
"name": "Your name"
},
"skills": "./skills/",
"interface": {
"displayName": "Reader Media",
"shortDescription": "Reader-first media production workflows.",
"longDescription": "Create and revise manga, slides, and videos with separate reader-first workflows.",
"developerName": "Your name",
"category": "Productivity",
"capabilities": [],
"defaultPrompt": "Help me choose the right reader-media workflow."
}
}
skillsはPlugin直下のSkill群を指します。Pluginのフォルダ名とnameは、どちらもreader-mediaに揃えます。雛形とテスト用Marketplaceをまとめて作るなら、公式のBuild pluginsにある通り、ChatGPTのWorkでは@plugin-creator、Codexでは$plugin-creatorを使えます。手書きしたJSONだけで進めず、生成後の検証が通ったことを確認します。
テスト用Marketplaceの名前をpersonalにした場合、Codexへの導入確認は次の3コマンドで行えました。
codex plugin marketplace add /path/to/reader-media-marketplace
codex plugin add reader-media@personal
codex plugin list
筆者は導入後に4 Skillのファイルが元と一致することも確認し、新しいCodex実行から$produce-mangaを明示選択しました。これはPluginの梱包・導入・選択のスモークテストであり、漫画制作そのものの完走テストではありません。
ローカルで試せることと、公開Directoryへ掲載されることは別です。公開前には、表示名、説明、サポート情報、規約、テスト結果などを追加します。
Skillだけでよいか、MCPも必要か
OpenAIのPlugin architectureに沿うと、最初は次の基準で分けられます。
Skill-onlyで始める
- 既にChatGPTやCodexから使えるツールで完結する
- 手順、判断基準、テンプレートを揃えることが主目的
- 独自のアカウントやサーバーが不要
MCPを追加する
- 独自の画像・動画生成サービスを呼ぶ
- 認証情報を利用者へ直接渡したくない
- 費用上限や重複実行を中央で制御する
- 入力、生成物、権利情報、実行履歴を管理する
- 契約者だけが使えるデータへ接続する
今回の媒体制作も、手順の検証はSkill-onlyで始められます。一方、生成サービス、認証、費用、権利、保存を同じ安全境界で運用する段階では、MCPが必要になる可能性が高いと考えています。これはOpenAIの必須要件ではなく、この制作システムへ公式の選択基準を当てはめた判断です。
個人は公開申請できるのか
正確には、公式要件は申請者を法人だけに限定していません。自分の名前で公開する場合は、個人としての本人確認を選べます。
ただし、「個人なら誰でもすぐ申請できる」という意味ではありません。OpenAIのSubmit pluginsでは、少なくとも次が必要です。
- OpenAI Platform組織で
Apps Management Write権限を持つこと - 個人または法人として本人確認を完了すること
- Plugin名、説明、アイコン、カテゴリを用意すること
- サポートURL、プライバシーポリシー、利用規約を用意すること
- 公式の申請資料一覧に明記された、5件のpositive test caseを用意すること
- 同じ資料一覧に明記された、3件のnegative test caseを用意すること
MCPを含む場合は、公開された本番URL、ドメイン所有確認、必要に応じた審査用認証、Content Security Policy、実動作と一致するtool情報も必要です。
公式資料が求めているのは件数までで、各caseに何を書くかは指定されていません。私はまだこの8件を作っておらず(下の工程7)、作るなら対象外の依頼に起動しない、危険または不足した入力に確認を返す、安全な代替へフォールバックする、を期待結果と理由付きで書くつもりです。単なるクラッシュ確認では審査側が挙動を再現できないと考えたためで、これは公式要件ではなく私の方針です。
申請ではSkills onlyかWith MCPかを選び、提出後に審査を受けます。本人確認が済んだこと、申請できること、公開Directoryへ掲載されたことは、それぞれ別の状態です。
今回の構成を公開可能な状態へ進める順番
- 4 Skillの構造検証を通す(実施済み)
- Codexで4 Skillの代表ケースを個別に最後まで実行する
- ChatGPTで
@から選び、同じ代表ケースを最後まで実行する - 4 Skillを一つのSkill-only Pluginへまとめ、Plugin検証を通す(梱包のスモークテストは実施済み)
- ローカルのPlugin導入後も、個別起動と統合起動が混線しないか確認する(
produce-mangaの明示選択のみ実施済み) - 外部実行が必要な部分だけMCPへ切り出す
- 5件のpositive test caseと3件のnegative test caseを揃える
- 掲載情報と規約を用意し、公開する意思を確認してから申請する
現在地は1と、4・5の梱包/導入スモークテストまでです。公開工程の順番としては、2と3の作品生成完走を飛ばして申請へ進めません。ChatGPTでの実行、4 Skillの作品生成完走、MCP化、公開申請・審査は未完了として扱います。
まとめ
- Skillの記述形式はChatGPTとCodexで共有できる
- ただし、インストール、権限、ツール、実動作は利用面ごとに確認する
- Pluginは複数のSkillを配る単位で、MCPは外部実行の境界
- 漫画・スライド・動画は独立Skillにし、統合Skillから必要なものだけ呼べる
- 個人も本人確認の選択肢を持てるが、組織権限、掲載情報、テスト、審査が必要
最初の一歩は、最小のSKILL.mdを一つ動かすことです。次にPluginへまとめ、必要になった外部実行だけをMCPへ移します。この順番なら、形式の共通化と実際の動作確認を混同せず、ChatGPTとCodexの両方へ広げられます。