はじめに
こんにちは、中村です。
2025 年 12 月にラスベガスで開催された世界最大級の AWS カンファレンス「AWS re:Invent」に参加してきました。
結論から言うと、「re:Invent は、何とかして予算と承認を勝ち取り、現地に行くべきイベント」 だと思います。
日本に帰国後、現地参加する価値を考えてみましたので、re:Invent への参加を検討している方の参考になれば幸いです。
この記事は以下のような方に向けて書いています
- re:Invent に興味はあるが、高額なため迷っている方
- 上司に現地参加の承認をもらうための説得材料を探している方
- オンライン参加と現地参加の違いを具体的に知りたい方
謝辞
本記事の執筆にあたり、re:Invent への参加機会を提供していただいた皆様に心より感謝申し上げます。また、参加前後の勉強会や、現地での各企業の皆様との出会いに深く感謝します。
re:Invent とは?
re:Invent とは
re:Invent は、Amazon Web Services(AWS)が主催する世界最大級のカンファレンスです。毎年 12 月にラスベガスで開催され、AWS の新サービス発表、技術セッション、ワークショップ、EXPO(展示会場)などが行われます。会場は広範囲にあり、1日に 2 万歩以上歩く、非常にタフでエキサイティングなイベントです。
イベント詳細はぜひこちらの現地参加レポートもご参考ください。
2025 年の規模
- 現地参加者:6 万人(日本からは約 1,900 人が参加)
- オンライン参加者:200 万人
- セッション数:3,044
参加コスト
近年は円安やインフレの影響もあり、残念ながら高騰しています。
航空券やホテルのグレードによって大きく変わりますが、聞いた話では、キャッシュアウトが一人当たり 110 万〜120 万円、出張に伴う人件費も含めると 150 万円ほどが平均的なコストだそうです。
1. オンラインでは分からない現地参加の価値
セッションでの学び
re:Invent での Keynote や Breakout Session の多くは、終了後に YouTube に公開されます。また、多くのエンジニアがブログ等にわかりやすくまとめているため、日本にいてもアップデート情報を得られます。
筆者も昨年まではこれらを見たり読んだりしていましたが、現地で参加すると情報の吸収力がまったく別物でした。
例えば、下記のように現地でしか体験できないセッションが多くあります。
| セッション形式 | 内容 |
|---|---|
| Chalk Talk | スライドは最小限、スピーカーと参加者がホワイトボードを使いながら議論 |
| Code Talk | 開発コードやコンソール画面を使い、より技術的な内容を解説 |
| Builder's Session | PC を使い、テーブルごとに AWS のエキスパートがついて教えてくれる |
| Gamified Learning | 4 人 1 組で課題をクリアして得点を競う学習形式 |
筆者は Builder's Session や Workshop など実際に手を動かすセッションに多く参加していたのですが、その場でハンズオン形式によるアウトプットまでを経験することで、サービスを正しく理解することができました。発表された直後の新サービスを即座に経験して、自社への導入を検討できるのは非常に価値のある体験でした。
また、現地参加であれば、いつでも AWS のエキスパートに質問できます。
「Kiro でより効率的に開発する方法」など、日頃から思う疑問があれば直接質問できます。
AWS のエキスパートはみなさんとてもフレンドリーで、筆者の拙い英語でも真剣に回答してくれました。
圧倒的な熱量
re:Invent の会場には、世界中から 6 万人ものエンジニア、アーキテクト、意思決定者などが集まります。会場全体に漂う「技術への情熱」と「学びへの意欲」も、オンラインでは絶対に感じられないものです。
Keynote で新機能が発表されるたびに周囲から湧き起こる歓声や拍手。あまり興味がない分野でも「調べてみようかな」という気持ちになり、AWS 全体に対する興味や関心が広がります。
この「みんなで楽しく学び、成長しよう」という一体感が、re:Invent の最大の魅力の一つだと感じました。現地でしか得られないこの熱量は、日々のモチベーションを大きく高めてくれます。
自身のスキルを可視化
re:Invent のセッションは、レベルが 100 から 500 まで分類されています。このレベル分けにより、自分に合ったレベルのセッションを選ぶことができます。
| レベル | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 100 | 初心者 | AWS の基礎やサービス概要を学ぶセッション |
| 200 | 中級者 | 実践的な使い方やベストプラクティスを学ぶセッション |
| 300 | 上級者 | より深い技術的内容やアーキテクチャ設計を学ぶセッション |
| 400 | エキスパート | 高度な技術や複雑なユースケースを扱うセッション |
| 500 | 最高レベル | 専門的な内容を扱うセッション |
200 まではドキュメントで公開される内容が多いと聞いていたため、筆者は 300 以上 を中心に参加していました。どのレベルであればスムーズに理解できるかや、セッションの他の参加者の行動を知ることで、自分はどの程度のスキルを持っているのかを客観的に見つめることができます。
また、Gamified learning では、課題をクリアすることで自信を持つ場合もあれば、簡単と思っていた課題に苦戦して打ちのめされることもありました。成功も失敗も、全てが成長につながる経験です。
2. EXPO 会場での刺激的なサービス群
re:Invent の醍醐味の一つに、EXPO があります。
ここには AWS のサービスチームの他、Anthropic、Datadog、MongoDB、Sysdig など有名な企業が数多くブースを出しています。
ブースに立っているのは営業担当だけでなく、「開発者」や「プロダクトマネージャー」もいます。
生成 AI を利用した最新機能の紹介はもちろんのこと、今後のロードマップをもとに課題の解決策を提示してくれるなど、踏み込んだ情報を得ることもできます。
EXPO では、各社から多彩な SWAG(ノベルティ)をもらえます。SWAG 待ちの列で前後になった人と会話をしたり、SWAG をもらえる場所を突然聞かれるなど、偶発的な出会いも多かったです。
なお、ランチ会場やセッション待ちの列、会場移動のバスの中など、バックグラウンドが違う人と話せる機会は数多くありました。
3. 強制的な「AWS 没入」による視座の変化
筆者の場合は、渡航中には緊急チャット以外はほぼ確認しない宣言をしてから参加しました。
幸いにしてシステム障害などのトラブルは起きず、またチーム員の配慮もあり、現地では朝から晩まで広大な会場を歩き回りながら AWS や自らのキャリアのことばかりを考えていました。
- 圧倒的な会場のスケール
- 数万人の参加者の熱気
- ラスベガスという非日常空間
- 英語という共通言語で必死にインプットしようとする負荷
普段の仕事から完全に離れ、この環境に身を置くことで、技術のキャッチアップに対する姿勢が変わりました。
「これまで通りのアーキテクチャで良いのか」「生成 AI を使いこなせているのか」という課題を強く感じるなど、テクノロジーに対する視座が一段階上がった感覚があります。
4. ネットワーキングによる情報収集
re:Invent には日本からも多数参加します。イベント初日の夜の APJ(Asia Pacific & Japan)による Kick Off Party など、日本からの参加者を対象にしたネットワーキングイベントも開催されます。
ネットワーキングのメリット
- 情報共有: 興味があるアップデート情報や、各企業の取り組みを共有する
- 悩み相談: 同じような課題に直面している日本企業と話すことで、具体的な解決策やアプローチ方法を学べる
- 帰国後のつながり: 帰国後も情報交換や協力関係を継続できる可能性がある
筆者も現地で多くの方と出会いました。このつながりは、re:Invent 参加の大きな価値であり、現地での体験がより豊かで楽しくなりました。
おわりに
re:Invent は現役の開発者だけでなく、マネージャー層、経営層など、多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まります。新サービスに関する発表以外にも、「AWS をビジネスに活用する方法」や「組織の考え方」などたくさんのことを学べる場所です。
もし参加承認のハードルが高い場合は、決裁権を持つ上司を巻き込んで一緒に参加するのも一つの手かもしれません。現地の熱量を共有することで、その後の意思決定がスムーズになるはずです。
現地参加のコストに見合った成果がすぐに出ることは少ないと思います。しかし、現地で得た経験と視座は、個人にとっても会社にとっても、長期的な資産となります。
これは単なる「学習」ではなく、事業成長のための「投資」です。参加者の長期的な行動次第で、かかった費用以上のリターンを生み出すチャンスが十分にあります。
高いハードルかもしれませんが、希望者が一人でも多く re:Invent へ行けることを願っています。
私自身も、今回得た熱量を業務に還元し、さらにパワーアップして、またラスベガスに戻れるよう励みます。




