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PYNQ で遊ぶ : 1. LED を点滅させる

Last updated at Posted at 2020-08-04

これは何か

PYNQ-Z1 を使って遊んでみます。

まずは、以下ができるようになる事を目指します。

  • vivado を使って動く bit ファイルを作れるようになる
    • IP Integrator を使って IP の配置や配線をする
  • jupyter を使ってコンフィグレーションし、python から操作できるようになる
関連記事:

する事

  • LED を点滅させる
    • AXI GPIO を利用し、CPU から LED を操作する

1-1. まずはじめに

PYNQ とは

  • PYNQ は Zynq を python/jupyter から試験できる環境をとても簡単に提供する、Xilinx のオープンソースプロジェクトです。
    • 提供されるブートイメージを SD カードに書き込んで、起動するだけで、Linux と jupyter が立ち上がるのですぐに取り組めます
  • Zynq は、1 チップの上に FPGA と CPU が同居した SoC (System on a Chip) です。FPGA で処理したデータを CPU で直接読み取れるので、ソフトウェアとの同居が容易です。

PYNQ-Z1 とは

役に立ちそうなリンク集

1-2. 開発の準備

開発に取り掛かる前に、環境の準備をします。

pynq のセットアップ

  • [公式ドキュメント : PYNQ-Z1 Setup Guide] (https://pynq.readthedocs.io/en/latest/getting_started/pynq_z1_setup.html#prerequisites-for-the-pynq-z1)を参考に、セットアップします。
  • 手順は次の通りです:
    1. image を公式サイト (PYNQ Boot Image) からダウンロード
    2. image を SD カードに書き込む
      • mac なら、balenaEtcher などのソフトを使うと簡単で安心です
    3. 公式ドキュメント の通りに、ボード上のジャンパを設定
    4. SD カードを挿入して起動
      • IP : 192.168.2.99
      • サブネットマスク : 255.255.255.0
      • として起動する
    5. 手元の PC のネットワーク設定を PYNQ-Z1 と同じ設定にする
      • 例えば、IP: 192.168.2.10, サブネットマスク: 255.255.255.0
    6. PC と PYNQ-Z1 を繋ぐ
      • 直接 LAN ケーブルで繋ぐ場合は、クロスケーブルにする必要があるかもしれません
      • PC -- スイッチングハブ -- PYNQ と繋ぐ場合はどの LAN ケーブルでもいけるはず
    7. PYNQ を起動する
      • 起動完了すると、LED が派手に光ります。1 分ほどかかります。
      • CPU は速くないので、起動完了まで待ってから作業に取り掛かる方が無難な印象です。
    8. PC から web ブラウザで http://192.168.2.99:9090 へアクセスを試み、jupyter のページが表示されれば成功です
    9. jupyter の [New] -> [Terminal] を選択するか、ssh でログインし (その場合、 user : xilinx, password: xilinx)、IP アドレス設定を変更しておくと、いいでしょう
      • sudo vi /etc/network/interfaces.d/eth0
        • IP アドレスを適当に変える
    10. その後、手元の環境のネットワークに接続できます
      • Internet へアクセス可能になったら、まず最初に、update しておくといいと思います
        • sudo apt update
        • sudo apt upgrade -y
        • 結構時間がかかります。upgrade 中は待ちましょう。裏で upgrade が走っていたら競合してエラーが出ます。その場合は、待ちましょう。

vivado の準備

  • 公式ページ から、適当な Vivado のバージョンを選び、ダウンロードして、インストールします。

    • この記事では、Vivado Design Suite - HLx Edition 2019.1 Full Product Installation を Linux 自己解凍型ウェブインストーラでインストールしました
    • 新しいバージョン Vivado Design Suite - HLx Edition - 2020.1 などでも大丈夫だと思います
  • vivado での bit ファイル生成 (倫理合成・配置配線・ファイル生成) は、結構 CPU を食うので、用意できるなら、良い CPU を搭載した PC を開発マシンにできるといいでしょう。

    • マルチプロセスには対応しているようですが、いつも、1 プロセスだけ処理が終わるまでに時間かかっているので、クロックが速い CPU の方が有利かもしれません

PYNQ-Z1 関連ファイルの準備

以下のファイルをダウンロードして準備しておきます。

1-3. プロジェクトの作成

例えば、デスクトップのアイコンをクリックします。

スクリーンショット 2020-08-04 10.55.10.png

Vivado が起動します。

「Create Project」 をクリックして、プロジェクトを新規作成しましょう。

スクリーンショット 2020-08-04 11.00.54.png

プロジェクトの名前と場所を指定します。asobu ディレクトリの asobu01 プロジェクトとしました。

スクリーンショット 2020-08-04 11.04.53.png

RTL (Register Transfer Level) プロジェクトを選択します。

スクリーンショット 2020-08-04 11.07.55.png
  • ボードを選択します
  • Boards をクリックし、検索窓に pynq と入力すると絞り込まれます
  • PYNQ-Z1 をクリックし、Next をクリックします
スクリーンショット 2020-08-04 11.17.30.png

これで、プロジェクトの初期設定が完了です。

スクリーンショット 2020-08-04 11.18.52.png

このような画面になるはずです。

スクリーンショット 2020-08-04 11.28.26.png

1-4. IP Integrator で IP を配置する

では、ここから、IP Integrator を使って、開発していきます。

大まかな手順は下記です:

  • ZYNQ (CPU) の IP を配置する
  • AXI GPIO の IP を配置する
  • AXI GPIO の output に LED を接続する
  • AXI GPIO -- ZYNQ の間を接続する (自動)

1-4-1. ZYNQ の IP を配置する

  • IP INTEGRATOR の Create Block Design をクリックします
  • ウィンドウが出てきます
  • 名前はなんでもいいですが、とりあえずそのままにしておきましょう
  • OK をクリックします
スクリーンショット 2020-08-04 11.26.50.png

モードが、PROJECT MANAGER から BLOCK DESIGN に切り替わります。

スクリーンショット 2020-08-04 11.30.32.png
  • Diagram 内の、ADD IP をクリックし、
  • zynq で検索して、
  • ZYNQ7 Processing System をダブルクリックします。
スクリーンショット 2020-08-04 11.31.38.png

IP が配置されました

スクリーンショット 2020-08-04 11.34.48.png

1-4-2. AXI GPIO の IP を配置する

同じ要領で、AXI GPIO を配置します。

スクリーンショット 2020-08-04 11.35.47.png

IP が追加されました。

スクリーンショット 2020-08-04 11.37.03.png

1-4-3. AXI GPIO の出力に LED を接続する

GPIO を LED に接続しましょう。
まず、LED ポートを作ります。

スクリーンショット 2020-08-04 11.39.10.png

名前を LED にして、Direction は Output, Type は Data にしておきます。

スクリーンショット 2020-08-04 11.40.33.png

LED ポートが追加されました。

スクリーンショット 2020-08-04 11.41.55.png

GPIO の出力を 32 ch から 1 ch に変更します。

スクリーンショット 2020-08-04 11.44.38.png
  • GPIO IP の設定ウィンドウが出てきます
  • IP Configuration タブをクリックし、
  • All Outputs を ON
  • GPIO Width を 1 に変更し、
  • OK します
スクリーンショット 2020-08-04 11.46.09.png

GPIO が出力のみ、1 ch になりました。

スクリーンショット 2020-08-04 11.48.05.png

GPIO の gpio_io_o[0:0] の出力部分にマウスカーソルを持っていき、鉛筆マークになったら、ドラッグして、LED と繋ぎます。

スクリーンショット 2020-08-04 11.49.48.png

1-4-4. ZYNQ と AXI GPIO を接続する

  • Diagram 上部の、Run Connection Automation をクリックします
  • そのまま、OK をクリック
スクリーンショット 2020-08-04 11.52.41.png

自動配線されます。
Regenerate Layout をクリックして、見た目を整理します。
ZYNQ と GPIO が AXI Interconnect を介して配線されました。

スクリーンショット 2020-08-04 11.54.33.png

Run Block Automation も実行しておきます。

スクリーンショット 2020-08-04 11.56.42.png

デザインが完成しました。

スクリーンショット 2020-08-04 11.57.35.png

Validate Design を実行して、エラーがない事を確認しておきます。

スクリーンショット 2020-08-04 11.58.43.png

1-5. HDL Wrapper を生成する

作ったデザインを HDL Wrapper にします。

Sources から、デザインの上で右クリックし、Create HDL Wrapper をクリックします。

スクリーンショット 2020-08-04 12.00.05.png

デフォルトで OK します

スクリーンショット 2020-08-04 12.01.44.png

wrapper が作られました

スクリーンショット 2020-08-04 12.02.13.png

#1-6. 制約ファイルを設定する

デザインで定義した port を、実際の FPGA のピンと対応付けする制約を設定します。

Sources の Constraints で右クリックし、Add Sources をクリックします。

スクリーンショット 2020-08-04 12.04.28.png

次へ

スクリーンショット 2020-08-04 12.05.53.png

テンプレートファイルを追加したいので、Add Files を選択

スクリーンショット 2020-08-04 12.06.39.png

pynq-z1-関連ファイルの準備 でダウンロードしておいた、PYNQ-Z1_C.xdc ファイルを選択して、OK

スクリーンショット 2020-08-04 12.07.13.png

xdc ファイルが追加されているので、ダブルクリックして開きます。

スクリーンショット 2020-08-04 12.11.11.png

PYNQ-Z1 に実装されている、全ての端子の記述例が記載されています。
デフォルトでは、全てコメントアウトされているので、適宜、コメントアウトを外して設定していきます。

スクリーンショット 2020-08-04 12.11.47.png

今回は、LED ポートを LED に接続したいので、27 行目のコメントアウトを解除して、get_ports の指定を LED に変更しました。

スクリーンショット 2020-08-04 12.14.06.png

#1-7. 生成する

設定が全て完了したので、bit ファイルを生成しましょう。

Flow Navigator の PROGRAM AND DEBUG から、Generate Bitstream をクリックします。

倫理合成・配置配線・ファイル生成が実行されます。少し時間がかかります。

スクリーンショット 2020-08-04 12.15.54.png

問題なければ、正常に終わったと告げるウィンドウが出てきます。
失敗した場合は、エラーが出るので確認します。

スクリーンショット 2020-08-04 12.18.42.png

Open Implemented Design をクリックすると、実装を確認できます。

スクリーンショット 2020-08-04 12.19.48.png

#1-8. PYNQ で実行する

PYNQ から生成した bit ファイルを実行するために、次の手順を踏みます:

  • .bit ファイルと .hwh ファイルを pynq にアップロード
  • pynq の python 上で pynq モジュールを import してプログラミングする

1-8-1. ファイルのアップロード

FPGA にコンフィグレーションする .bit ファイルと、python の pynq.overlays モジュールから参照させるために使う .hwh ファイルの 2 つをアップロードする必要があります。

ここでは、この 2 つのファイルを、pynq のモジュールの所定の場所にコピーする事で、どこからでも参照できるようにします。

以下、手順です。

  • pynq に xilinx ユーザーでログインします
    • ssh の場合は、ssh xilinx@(設定したIPアドレス: 以下、仮に 192.168.2.99 とします)
    • jupyter から terminal を立ち上げる場合、root ユーザーとなるので、以下のコマンドを実施後に、chown で所有者を変更しておくと良いです
  • /home/xilinx/pynq/overlays 以下に、プロジェクトのフォルダを作ります
    • mkdir /home/xilinx/pynq/overlays/asobu01
  • 次に、Vivado で作業していた PC に移ります
  • まず、~/vivado/asobu/asobu01/asobu01.runs/impl_1 の中にある、design_1_wrapper.bit を、pynq の /home/xilinx/pynq/overlays/asobu01/asobu01.bit としてコピーします。
    • 例えば、scp ~/vivado/asobu/asobu01/asobu01.runs/impl_1/design_1_wrapper.bit xilinx@192.168.2.99:pynq/overlays/asobu01/asobu01.bit
  • 続いて、~/vivado/asobu/asobu01/asobu01.srcs/sources_1/bd/design_1/hw_handoff の中にある design_1.hwh ファイルを、pynq の /home/xilinx/pynq/overlays/asobu01/asobu01.hwh コピーします
    • 例えば、scp ~/vivado/asobu/asobu01/asobu01.srcs/sources_1/bd/design_1/hw_handoff/design_1.hwh xilinx@192.168.2.99:pynq/overlays/asobu01/asobu01.hwh

1-8-2. jupyter で実行

jupyter にログインし (http://192.168.2.99:9090 へアクセスします。パスワードを聞かれたら、xilinx と入れます) 、適当なノートブックファイルを生成します。

スクリーンショット 2020-08-04 13.48.26.png

その後、ファイル名をクリックして、ノートブックを開きます。
そして編集します。コードを入力後、Shift+Enter で実行できます。

スクリーンショット 2020-08-04 13.51.52.png
import pynq    # pynq モジュールをインポート

fpga = pynq.Overlay('asobu01.bit')  # asobu01.bit をコンフィグレーションし、
                                    # python から扱えるように初期化します

gpio = pynq.MMIO(fpga.ip_dict['axi_gpio_0']['phys_addr'], length=0x1000)
                                    # GPIO へのアクセスを得ます

gpio.write(offset=0, data=0)       # データを書きます。
gpio.write(offset=0, data=1)       # data=0 で消灯、data=1 で点灯するはずです
スクリーンショット 2020-08-04 14.01.06のコピー.jpg
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