はじめに
ZennとQiitaは、それぞれエンジニアの情報共有の場として人気のあるプラットフォームです。両方のプラットフォームを活用することで、より多くの人に記事を届けられると思います。しかし、同じ記事を両方のプラットフォームに投稿する場合、二重の管理が必要となります。このような二重管理は手間がかかるだけでなく、変更の漏れなどの問題が生じる可能性があります。
このような問題があるため、私が記事投稿を始めた当初は、一つのプラットフォームにだけ投稿するのが良いのかなと考えていました。GitHubリポジトリで記事を管理することに魅力を感じていたため、Zenn CLIを使って管理するようにしました。
しかし、最近、QiitaからQiita CLIというツールが公開され、Qiitaの記事もGitHubリポジトリで管理することが可能となりました。
そこで、Zenn CLIとQiita CLIを組み合わせると、ZennとQiitaの記事を一つのGitHubリポジトリで一元管理することができるのではないかと考え、その仕組みづくりを行いました。次の章で、今回作成した仕組みについて説明していきます。
私は記事の投稿を始めたばかりで、今回は私にとって必要最低限の仕組みしか作っていません。そのため、これまでにたくさんの記事を投稿されている方にとっては不十分な点があると思いますが、あらかじめご了承ください。
今回の実装は、以下のGitHubリポジトリで公開しています。この記事では実装の細かい部分までは説明していないので、詳細はリポジトリをご覧いただければと思います。
今回作成した仕組み
今回作成した仕組みの概要は次のとおりです。Zennの記事からQiitaの記事を自動生成することで、できるだけ二重管理を避けるようにしています。
- Zenn / Qiitaの記事を別のファイルとして管理する
 - Zennの記事 → Qiitaの記事に変換するスクリプトを作成する
 
Zenn / Qiitaの記事を別のファイルとして管理する
ZennとQiitaのマークダウン記法には、それぞれに独自の記法があります。そのため、同一の内容であっても、記事を同じファイルで管理することはできません。そこで、別ファイルとして管理することにします。
Zennについては、私が調べた限りではルートディレクトリで管理する以外の方法はないようです。一方で、Qiitaについては、少し工夫する必要がありますが、ルートディレクトリ以外で管理することができます。
そこで、以下のように、Zennはルートディレクトリで、Qiitaはqiitaディレクトリで管理することにします。
.
├── articles
│   └── <Zennの記事>
├── images
│   └── <記事内で参照する画像>
├── qiita
│   ├── public
│   │   └── <Qiitaの記事>
│   └── ....
└── ....
それぞれの管理ディレクトリでZenn CLI / Qiita CLIのセットアップコマンドを実行して、必要なファイルを作成しています。
ただし、これだと二重管理になってしまうので、後述するスクリプトを使って、Zennの記事からQiitaの記事を自動生成できるようにします。
Zennの記事 → Qiitaの記事に変換するスクリプトを作成する
以下のようなスクリプトを作成します(分かりやすさのため、重要ではない部分は簡略化しています)。
import { zennMarkdownToQiitaMarkdown } from './lib'
function main() {
  // Zennの記事を読み込む
  const inputContent = readFileSync(inputPath, 'utf8')
  // Zennのマークダウン記法をQiitaのマークダウン記法に変換する
  const outputContent = zennMarkdownToQiitaMarkdown(
    inputContent,
    outputFilepath,
  )
  // 変換結果をファイルに書き出す
  writeFileSync(outputPath, outputContent, 'utf8')
}
main()
このスクリプトは、zennMarkdownToQiitaMarkdown関数を呼び出し、Zennのマークダウン記法をQiitaのマークダウン記法に変換します。
zennMarkdownToQiitaMarkdown関数は、次のように実装しています。
import { convertFrontmatter } from './convert-frontmatter'
import { replaceImagePaths } from './replace-image-paths'
import { replaceMessageToNote } from './replace-message-to-note'
export function zennMarkdownToQiitaMarkdown(
  inputContent: string,
  outputPath?: string,
): string {
  const pipeline = [
    convertFrontmatter(outputPath),
    replaceImagePaths,
    replaceMessageToNote,
  ]
  const output = inputContent
  for (const fn of pipeline) {
    output = fn(output)
  }
  return output
}
この関数は、次のような変換用の関数を順番に実行します。
- 
convertFrontmatter関数は、マークダウンのfrontmatterを変換しています。不要な情報の削除や、Qiitaの記法に沿った情報の書き直し(topics→tagsなど)を行っています。また、updated_atやidなどのQiitaにしかない情報については、引数のoutputPathで指定したパスに既にファイルが存在する場合は、そのファイルの値を使用します。そうでない場合は、nullを設定します。 
---
title: Zenn / Qiitaに投稿する同じ記事を一元管理するためのGitHubリポジトリを作りました
emoji: 📝
type: tech
topics:
  - zenn
  - zenncli
  - qiita
  - github
published: false
---
---
title: Zenn / Qiitaに投稿する同じ記事を一元管理するためのGitHubリポジトリを作りました
private: true
tags:
  - zenn
  - zenncli
  - qiita
  - github
updated_at: null
id: null
organization_url_name: null
---
- 
replaceImagePaths関数は、Zennが対応している/imagesディレクトリ内にある画像を指定する記法の代わりに、GitHubリポジトリにアップロードした画像パスを指定する記法に変換します。一度GitHubリポジトリに画像をプッシュしないといけませんが、これでQiitaの記事にも同じ画像を使うことができます。 
# `/images`ディレクトリ内の画像パスを指定する (Zenn用の指定方法)


# GitHubリポジトリにアップロードした画像パスを指定する (Qiita用の指定方法)


- 
replaceMessageToNote関数は、Zennのメッセージ記法を、QiitaのNote - 補足説明記法に変換します。 
このようなスクリプトを使うことで、Zennの記事からQiitaの記事を自動生成できるようになりました。
私は記事投稿を始めたばかりなので必要な変換はこれだけでしたが、あらゆる記事に対応するとなると、より多くの変換が必要になります。例えば、さまざまな独自記法に対応する必要があります。その場合は、ここに変換用の関数を追加していくことになると思います。
これらの仕組みを使うことで、できるだけ二重管理を避けつつ、ZennとQiitaの記事を一つのGitHubリポジトリで一元管理できるようになりました。変更をプッシュすると、両方の記事が自動的に更新されます。
今回作成した仕組みは、以下のGitHubリポジトリで公開しています。簡略化していないスクリプトの全体像や、それぞれの変換用の関数の実装などをご覧いただけます。
さいごに
この記事では、私がZennとQiitaの同じ記事を一つのGitHubリポジトリで一元管理するために行った仕組みづくりを紹介しました。ひとまずは今後もこの仕組みで記事を管理していき、必要に応じて仕組みをアップデートしていきたいと思います(マークダウン記法を変換する部分など)。
みなさんも、ZennとQiitaの記事を一つのGitHubリポジトリで一元管理したいと思ったら、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
参考記事・リンク