はじめに
色々あって物理の話を用意することになったので高校生でも楽しめるような内容を持ってきました。今回の記事はそれを簡単にまとめています。
QiitaでTeXを使うとすぐ重くなってしまうので記事を幾つかに分けます。
記事の流れ
全部で5つの記事がありますので先に内容をまとめておきます。
・本記事(1/5)
高校の力学
・2/5 (https://qiita.com/nefu_chem/items/1aeea4d9e58539c23e0d)
Taylor展開
振り子の周期の導出に戻ってみる
・3/5 (https://qiita.com/nefu_chem/items/3788f6512a19c9f5b3e3)
振り子の周期の厳密解を求める
・4/5 (https://qiita.com/nefu_chem/items/0b887e7757fbd2cdeb7f)
振り子の運動
・5/5 (https://qiita.com/nefu_chem/items/31351ac54b8577333eea)
第一種完全楕円積分
周期の再考
高校の力学
皆さんは「振り子の等時性」というフレーズを聞いたことがありますか?無かったらもう帰ってもらっていいんですけど,「振り子の等時性」というのは振幅があまり大きくないときに振り子の周期が
T=2 \pi \sqrt \frac{l}{g}
になることを指します。とりあえず高校の力学の復習という意味も込めて,この式を導出します。
図を見ながら運動方程式を書くと以下のようになります。
m \frac{d^2(l \theta )}{dt^2}=-mg \sin \theta
$\omega _0 ^2= \frac{g}{l}$とおいて整理すると
\frac{d^2(\theta )}{dt^2} + \omega _0 ^2 \sin \theta = 0
となります。高校では振幅が小さな場合,つまり$\sin \theta \approx \theta $の近似が成り立つ場合を考えるので以下のようになります。
\frac{d^2(\theta )}{dt^2} + \omega _0 ^2 \theta = 0
これは線形なので直ぐに解けます。最大振幅を$\theta _m$とおいて
\theta = \theta _m \sin (\omega _0 t)
となります。この運動の周期は$\sin $の中身が$2 \pi $となるような値なので
T = \frac{2\pi }{\omega _0}
となって周期の式が得られました。