「クラウド?いやいや、うちはオンプレで十分なんで」
つい数年前まで、そう豪語していた俺がいる。
自社のデータベースサーバは俺が構築して、俺がチューニングして、俺がバックアップしていた。
夜中に電話が鳴っても、ログインして、RMANで即復旧できる。そう、俺が最強のDBAだった(と信じてた)。
その俺に、ある日突然上司がこう言い放つ。
「次のプロジェクト、クラウドでADB使ってね。自動で全部やってくれるから簡単でしょ?」
簡単だと?ふざけるな。
DBAをなめるな。
データベースというのはな、ちゃんと温度管理されたサーバルームの中で、俺が手をかけて初めて動くんだ。
と、心の中で3回唱えた。
そして、クラウドの波が押し寄せた
そうは言っても、時代の波には逆らえない。
周りを見れば、すでにAWSやOCIに踏み出したチームもある。
インフラエンジニアはTerraformを覚えて、「もうSSHしないんすよ」なんて言ってる。
DBAだけが取り残されている気がしていた。
でも俺は、心のどこかで思っていた。
「クラウドに移行したら、DBAの仕事がなくなるんじゃないか?」
ADBという異世界の扉が開く
調べてみた。
Oracle Autonomous Database、通称ADB。
・バックアップ自動
・パッチ自動
・スケーリング自動
・SQLのチューニングも自動(!?)
……ちょっと待ってくれ。
これ、俺の仕事、全部じゃん。
でも、同時に思った。
「こんな化け物みたいなDB、本当に使えるのか?」
「“自動”の裏側はどうなってる?」
そして俺は、自らの意思でOCIのコンソールを開いた。
これはもはや、クラウドという名の異世界への転生。
俺たちはこの先、どうすればいいのか?
オンプレDBAの俺は、ADBの登場に動揺した。でも、同時にワクワクもした。
チューニングがいらない?構成が勝手に決まる?
それはつまり、俺の知識と経験が“別の形”で必要になる世界なのかもしれない。
次回予告
第2話|異世界(OCI)召喚:ADBという名のチート級データベースとの出会い
ADBとは何か?そしてそれは、旧世界の武器を無力化するのか。
俺のクラウド転生物語が、いま始まる。
あとがき
このシリーズでは、「オンプレDBAの自分」が感じた戸惑い・疑問・そして前向きな気づきをベースに、クラウド時代におけるDBAの新しい姿を追っていきます。