「明日までにDR環境構築しといて」って正気ですか?
ある日、上司から飛んできた一言。
「災害対策(DR)、すぐ作って。できれば明日まで」
オンプレ時代なら――
- サーバーの調達
- ストレージ構築
- ネットワーク設定
- レプリケーションソフトのライセンス手配
- 切替テストの計画
どう考えても数週間はかかる案件だ。
胃がキリキリしながら作業計画を作ろうとした、その時だった。
ADBでボタンぽち→DR構築完了?
ADBのコンソールに「ディザスタ・リカバリ」というセクションがあった。
説明を読んで、俺は二度見した。
「ディザスタ・リカバリによって、別の可用性ドメインまたはリージョンにピア・データベースが提供され、データベース・インスタンスが保護されます。」
設定項目は――
- どのリージョンにスタンバイを置くか
- ディザスタ・リカバリ・タイプの設定
それだけ。
ADBの災害対策には2つの奥義がある。
一つはAutonomous Data Guard。
別リージョンに常時同期されたスタンバイDBを構え、障害時は即座に切り替える"分身の術"だ。
もう一つはバックアップベース・ディザスタ・リカバリ。
定期的な自動バックアップから復旧する、いわば"巻き戻し魔法"だ。
どちらを使うかは、求める復旧速度とコスト次第ーー
まさに戦略の選択ってわけだ。
ぽちっと有効化してコーヒーを飲んで戻ってきたら、DR環境がもう動いていた。
しかも同期も監視も自動
プライマリとスタンバイ間のデータ同期は自動
接続先切替も自動またはワンクリック
ヘルスチェックやラグ監視も自動
オンプレ時代に汗だくでやってたDR切替訓練が、
画面のボタンひとつに置き換わっていた。
※ Autonomous Data Guardの詳細は、OCI公式チュートリアルに手に載っています。
https://oracle-japan.github.io/ocitutorials/adb/adb212-audg/
俺、泣いていいですか
DR構築のために夜を徹してケーブルを繋ぎ、
移行前のテストで冷や汗をかき、
切替後の戻し作業で休日が消えたあの頃。
ADBでは、その全部が消えていた。
次回予告(最終話)
第10話|チートDBAへの進化:転生しても、俺たちは生き残れる!
オンプレで鍛えられたスキルは、クラウドでこそ輝く。
ADB時代のDBAが目指すべき“進化形”とは?
俺たちの旅は、ここから始まる――!