はじめに
Oracle Integration(OIC) は、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)が提供するiPaaS(Integration Platform as a Service)です。Oracle SaaSやOCIサービス、オンプレミスシステムなどを連携し、業務プロセスの自動化やAPI連携を実現します。近年では、MCP ServerやHuman in the Loop(HITL)などAIエージェント向けの機能も強化されており、AIエージェントからERPやSaaSを安全に呼び出し、業務処理を実行できるプラットフォームとしても活用できます。
この記事では、以下ドキュメントを元に、OICのMCPサーバーを有効化し、MCPクライアントからの接続・実行をステップ・バイ・ステップで紹介します。
前提条件
以下のQiita記事で紹介したOICのAIエージェントのチュートリアルを実施済みであること。
チュートリアル全体像
OICのMCPサーバーについて
OICのMCPサーバーはプロジェクト単位に有効/無効を構成します。デフォルトは無効です。
MCPサーバーを有効にすると、プロジェクト内でエージェント型AIツールとして作成された統合が、MCPサーバー上で利用可能となります。これにより、OICで作成した統合をMCPのツールとして公開し、MCPに対応した外部のAIエージェントやクライアントから呼び出すことができます。
また、プロジェクト毎に固有のMCPサーバーのURLが払い出されます。URLのフォーマットは以下のとおりです。
https://<OICインスタンスのランタイムURL>/mcp-server/v1/projects/<プロジェクト識別子>/mcp
OICのMCPサーバーでサポートされる操作は、以下の2つです。
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tools/list: 利用可能なツールの一覧を取得 -
tools/call: 指定したツールを実行
なお、MCPクライアントから、OICのプロジェクトのMCPサーバーを利用するには、OAuth 2.0による認証が必要です。OICインスタンスが紐づけられたアイデンティティ・ドメインに対して、機密アプリケーション(Confidential Application) を作成し、スコープとロールを割り当て、アクティブ化する必要があります。
つまり、MCPクライアントがOICの統合を実行するための認証・認可を、機密アプリケーションとOAuthトークンを使って行います。
作業ステップ
1. 事前準備
2.プロジェクトでMCPサーバー機能を有効化する
3. MCPサーバーのURLを取得する
4. MCPクライアントから接続する
1. 事前準備
MCPクライアントからOICのMCPサーバーに接続するには、アイデンティティ・ドメインに機密アプリケーション(Confidential Application) の作成が必要です。また、作成した機密アプリケーションにはOICインスタンスのServiceInvokerアプリケーション・ロールを付与します。MCPクライアントはこの機密アプリケーションを利用してOAuthトークンを取得し、MCPサーバーを利用します。
OAuth認証の構成手順は、以下のQiita記事やYouTube動画も参考になりますので、あわせてご確認ください。
- OAuth2.0認証でOracle Integration CloudのREST APIを実行する
- OIC MCP 101: Turn OIC Integrations into Agent Tools— Setup and Testing Guide with Postman + Langflow
1.1 機密アプリケーションの作成
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OCIコンソールからOICインスタンスが紐付けられたアイデンティティ・ドメインを開きます。
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統合アプリケーションタブをクリックします。
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OAuth構成タブをクリックします。
1.2 機密アプリケーションにアプリケーション・ロールを付与
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OCIコンソールからOICインスタンスが紐付けられたアイデンティティ・ドメインを開きます。
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Oracle Cloudサービスタブをクリックします。
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Oracle Cloudサービスセクションで、OICインスタンス作成時に指定した名前を含むアプリケーションを探します。もしくは、検索ボックスにOICインスタンス名(ここではsnakaoic1)を入力し、検索を実行します。 -
アプリケーション・ロールタブをクリックします。
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アプリケーション・ロールセクションからServiceInvoker列の右端のメニューをクリックし、アプリケーションの管理を選択します。

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使用可能なアプリケーションから、前の手順で作成した機密アプリケーション(ここではOIC_MCP_Client)を選択します。もしくは、検索ボックスに機密アプリケーションの名前(ここではOIC_MCP_Client)を入力し、検索を実行します。 -
閉じるをクリックします。
OICには、機能へのアクセスを制御する標準のロール・セットが用意されています。今回利用したServiceInvokerを含むOICで使用可能なロールと、そのロールを割り当てられたユーザーやアプリケーションが実行できる一般的なタスクは、以下のページをご確認ください。
1.3 機密アプリケーションの有効化
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OCIコンソールからOICインスタンスが紐付けられたアイデンティティ・ドメインを開きます。
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統合アプリケーションタブをクリックします。
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1.1で作成した機密アプリケーション(ここでは
OIC_MCP_Client)を選択し、右端のメニューからアクティブ化をクリックします。

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確認ダイアログが表示されます。アプリケーションのアクティブ化をクリックします。
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アクティブ化を実行した機密アプリケーション(ここでは
OIC_MCP_Client)をクリックします。 -
OAuth構成タブをクリックします。
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リソースセクションで、スコープの末尾がurn:opc:resource:consumer::allのURL全体をコピーし、メモしておきます。

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OCIコンソールからOICインスタンスが紐付けられたアイデンティティ・ドメインを開きます。
1.4 OAuthトークンの発行
アイデンティティ・ドメインのOAuthトークン発行のREST APIを実行し、OAuthトークンを取得します。
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クライアントIDとクライアント・シークレットを利用してBase64エンコードを実行します。以下はクライアントID=12345、クライアント・シークレット:ABCDEFGの場合の実行例です。echo -n "12345:ABCDEFG" | base64 -w 0 -
前の手順で作成したBase64エンコードされた認証情報を利用して、OAuthトークンを取得します。以下のcurlコマンドの実行例です。
curl -i \ -H "Authorization: Basic <Base64エンコードしたClientID:ClientSecret>" \ -H "Content-Type: application/x-www-form-urlencoded;charset=UTF-8" \ --request POST "<コピーしたドメインURL>/oauth2/v1/token" \ -d "grant_type=client_credentials&scope=<コピーしたスコープのURL全体>" -
実行結果例です。
access_tokenがOAuthトークンで、有効期限は3600秒(1時間)です。なお、以下のaccess_tokenは説明用のダミー値です。{ "access_token":"eyJ4NXQjUzI1NiI6Ik1HS3B2UEl4OTlLYTN1VE5xOUgxUXZIRUc0dnN0NGlyUE. 〜省略〜 MAWvYUG94fKqTCMxqVTza8rjMCW2_caBwA01AJUe9VjdwLaCANTB2sAJpA", "token_type":"Bearer", "expires_in":3600 }
クライアント・シークレットや取得したOAuthトークンは認証情報のため、外部に公開しないよう注意してください。
2. プロジェクトでMCPサーバー機能を有効化する
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OICインスタンスを開き、前提条件のチュートリアルで作成したプロジェクト(ここでは
Simple Expense Approval Project)を開きます。 -
左ナビゲーションのAIエージェントをクリックします。
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ツールセクションに、以前に登録したツールが表示されることを確認します(ここではAuto Approve Expense Report)。

3. MCPサーバーのURLを取得する
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OICインスタンスを開き、前提条件のチュートリアルで作成したプロジェクト(ここでは
Simple Expense Approval Project)を開きます。 -
右上の編集アイコンをクリックします。
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取消をクリックします。
4. MCPクライアントから接続する
OICのプロジェクトで動作するMCPサーバーに、任意のMCPクライアントからアクセスします。ここではPostmanを利用した例を紹介します。
4.1 OICのMCPサーバーに接続する
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Postmanを起動します。
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Transport LayerをHTTPに切り替えます。 -
URL欄にMCPサーバーのURLを入力します。
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Authorizationタブをクリックします。 -
Auth typeで、Bearer Tokenを選択します。 -
Tokenに、前の手順で取得したOAuthトークンを入力します。
4.2 MCPクライアントからツールを実行する
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Messageタブをクリックし、続けてToolsタブをクリックします。
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ツールとして公開した
AUTO_APPROVE_EXPENSE_REPORTを選択します。 -
しばらくすると、応答が返されます。
AutoApproveResponseに、Expense Report claimed for $45 is automatically approvedと表示されることを確認します。

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AmountClaimedに設定する金額(ここでは $200)を変えて実行(Run)すると、AutoApproveResponseのメッセージの金額もあわせて変更されることを確認します。

なお、前回の記事ではAIエージェントが$50以下の場合のみ承認という判断を行っていました。今回はMCPクライアントから統合(ツール)を直接実行しているため、AIエージェントのガイドラインによる判定は行われず、$200を指定した場合でも統合自体は実行されます。
4.3 OICでMCPクライアントの実行結果を確認する
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OICコンソールのプロジェクト(ここでは
Simple Expense Approval Project)を開きます。 -
監視タブをクリックします。
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インスタンスタブをクリックします。
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MCPクライアントから実行した回数だけ、ログが取得されていることを確認します。一番上の
プライマリ識別子がAmountClaimed: $200の詳細の表示アイコン(アクティビティ・ストリーム)を開きます。

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ツールとして登録した
Auto Approve Expense Reportの統合が、正しく実行されていることを確認します。

アクティビティ・ストリームの一番上のログにWed Aug 19 04:16:46.411 PM JST 2026, c75935...によりトリガーのc75935...は事前準備で作成した機密アプリケーション(ここではOIC_MCP_Client)のクライアントIDと一致します。
これにより、機密アプリケーションOIC_MCP_Clientで認証されたクライアント・アプリケーション(今回はPostmanのMCPクライアント)から実行されたことが確認できます。
おわりに
このチュートリアルでは、Oracle IntegrationでMCPサーバーを有効化し、MCPクライアントからの接続・実行をステップ・バイ・ステップで紹介しました。
プロジェクト内で登録されたツール(統合)は、MCPサーバーを有効化することだけで、簡単にMCPクライアントから利用できるようになりました。これにより、外部のAIエージェントからOICの統合をツールとして利用することが容易になります。
また、MCPクライアントからのツール実行は、OIC側の実行ログとして記録されるため、いつ、どの統合が実行されたのかを確認できます。
次回以降、Human in the Loop(HITL)を組み合わせた、より実践的なAIエージェントの構築方法についても紹介していきます。
























