はじめに
Oracle Integration(OIC) は、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)が提供するiPaaS(Integration Platform as a Service)です。Oracle SaaSやOCIサービス、オンプレミスシステムなどを連携し、業務プロセスの自動化やAPI連携を実現します。近年では、MCP ServerやHuman in the Loop(HITL)などAIエージェント向けの機能も強化されており、AIエージェントからERPやSaaSを安全に呼び出し、業務処理を実行できるプラットフォームとしても活用できます。
この記事では、以下ドキュメントを元に、OICでAIエージェントを構築する際の基本要素(プロジェクト、統合、ツール、エージェント・パターン、AIエージェント)の作成方法を、ステップ・バイ・ステップで紹介します。
また、OICにおけるAIエージェントの概要を、以下のブログ記事でも紹介しています。あわせてご確認いただけると、さらに理解が深まります。
チュートリアル全体像
作業ステップ
1. 事前準備
2. AIエージェントの設計
3. プロジェクトの作成
4. AIエージェントから利用する統合(ツール)の作成
5. AIエージェントの構築
6. AIエージェントの実行
作業
1. 事前準備
1.1 制限事項の確認
以下のドキュメントを確認し、OICインスタンス作成に関する制限事項を確認します。
また、Oracle Integrationチュートリアルにも、作成時の事前準備が記載されていますので、参考にしてください。
1.2 OICインスタンスの作成
以下ドキュメントを確認し、OICインスタンスを作成します。
また、Oracle Integrationチュートリアルにも、OICインスタンスの作成手順が記載されていますので、参考にしてください。
今回は以下条件で作成しました
- リージョン: us-ashburn-1
- バージョン: Oracle Integration 3
- 消費モデル: Universal Credits
- Edition: Enterprise
- シェイプ: 開発
- ライセンス・タイプ: 新しいOracle Integrationライセンスのサブスクライブ
- メッセージ・パック: 1
作成したOICインスタンスのユーザー・インタフェースを開きます。OICインスタンスの詳細画面からコンソールを開くをクリックします。

OICインスタンスのユーザー・インタフェース(デザイン・ランタイム)が開きます。

2. AIエージェントの設計
以下ドキュメントの通りに、AIエージェントの作成計画を立てます。
2.1 AIエージェントの目的
このチュートリアルでは、経費申請を承認または却下するシンプルなAIエージェントを作成します。このAIエージェントは、50米ドル以下の経費は自動的に承認し、50米ドルを超える経費は却下します。

2.2 AIエージェントで利用するツール
AIエージェントが利用する統合(ツール)は1つだけです。承認するか却下するかの判断はAIエージェント自身が行い、統合は自動承認処理のみを担当します。

- ツール名: Auto Approve Expense Report
- 目的: ユーザーが提出した経費申請を自動承認する
- 入力パラメータ: AmountClaimed(文字列)。ユーザーが申請した金額(ドル)
{ "AmountClaimed" : "" }
- 出力パラメータ: AutoApproveResponse(文字列)。経費申請が承認されたかどうかを返します。自動承認のみで利用されるため、値は常に
Expense Report claimed for <AmountClaimedで指定した経費の金額> is automatically approvedを返します
{
"AutoApproveResponse" : ""
}
3. プロジェクトの作成
プロジェクトを作成します。ここで作成したプロジェクトの中で、AIエージェントやツール(統合)を作成します。

プロジェクトとは
統合、AIエージェント、B2B、デシジョン・モデル、ヘルスケア、ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)、RPAなど、自動化ソリューションの設計・管理・監視を行うための、すべての関係者向けの単一のワークスペースを提供します。さらに、プロジェクトは堅牢なライフサイクル管理と、事前構築済みの統合に対する効率的なアップデートを提供します。
(※参考)Get Started with Projects
-
OICインスタンスのユーザー・インタフェースを開きます。
4. AIエージェントから利用する統合(ツール)の作成
OICで作成した統合はAIエージェントのツールとして利用できます。また、AIエージェントは直接業務システムを操作するのではなく、OICでツールとして登録された統合を呼び出して、利用します。
ここでは、最初にAIエージェントから利用する統合を作成し、その後、作成した統合をツールとして登録します。

4.1 統合の作成
ユーザーが提出した経費申請を自動承認する統合(Auto Approve Expense Report)を作成します。
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OICインスタンスを開き、
Simple Expense Approval Projectのワークスペースを開きます。 -
設計タブが選択され、縦方向のナビゲーションメニューで統合が選択されていることを確認します。統合セクションの 追加 をクリックします。

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統合キャンバスが開き、トリガー接続を作成するオプションが表示されます
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RESTアダプタのの作成画面が開きます。以下の通りに入力(選択)し、作成をクリックします。
-
接続のセキュリティ設定画面が開きます。以下の通りに選択します。
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保存をクリックします。
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統合キャンバスに戻ります。続けてトリガー・接続を作成します。画面中央の + をクリックし、先ほど作成したREST_TRIGGER_FOR_AUTO_APPROVALを選択します。

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Basic Infoの構成が開きます。「エンドポイントにどのような名前をつけますか。」に、AutoApproveExpense を入力し、続行をクリックします。

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Resource Configurationの構成が開きます。以下の通りに入力し、続行をクリックします。 -
リクエストの構成が開きます。リクエスト・ペイロード書式の選択でJSONサンプルを選択します -
Enter JSON sampleに以下の通りに入力し、続行をクリックします{ "AmountClaimed" : "" } -
続行をクリックします
-
レスポンスの構成が開きます。リクエスト・ペイロード書式の選択でJSONサンプルを選択します -
Enter JSON sampleに以下の通りに入力し、続行をクリックします{ "AutoApproveResponse": "" } -
続行をクリックします
-
-
統合キャンバスに戻ります。マップのメニュー・アクションをクリックし、編集をクリックします。

-
マッピング・キャンバスが開きます。Sourcesの
AutoApproveExpense Request(REST)のRequest Wrapperを開きます。 -
Targetの
AutoApproveExpense Request(REST)のResponse Wrapperを開きます。 -
Sources→AutoApproveExpense Request(REST)→Request WrapperのAmount Claimedをクリックし、ドラッグ&ドロップ操作でTarget→AutoApproveExpense Request(REST)→Response WrapperのAuto Approve Responseとマップします。

-
マッピング・キャンバス下部の次の式: Auto Approve Responseの右端の切替アイコンをクリックし、表示モードから開発者ビューに切り替えます

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定義されている式を
concat ("Expense Report claimed for ", <定義されている式> , "is automatically approved")で囲みます。以下入力例です。concat ("Expense Report claimed for ", /nstrgmpr:execute/ns20:request-wrapper/ns20:AmountClaimed, " is automatically approved") -
検証ボタンをクリックします。正常に検証されることを確認します。
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-
作成した統合をアクティベートします。統合セクション内の
Auto Approve Expense Reportのメニューをクリックし、アクティブ化をクリックします。


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Auto Approve Expense Reportをテスト実行します。統合セクション内のAuto Approve Expense Reportのメニューをクリックし、実行をクリックします。

4.2 作成した統合をツールとして登録
前の手順で作成した統合Auto Approve Expense ReportをAIエージェントが利用するツールとして登録します。
-
統合セクションの
Auto Approve Expense Reportのメニューをクリックし、エージェント型AIツールの作成をクリックします。

-
名前や識別子は自動的に設定されます。必要に応じて変更もできます。 -
説明を入力します。ここではAutomatically approves submitted expenses. と入力し、作成をクリックします。

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ツールの詳細画面が開きます。
説明に先ほど入力した文章が表示されていることを確認します。説明に入力した文章は、システムプロンプトの一部として大規模言語モデル(LLM)に送信されます。 -
パラメータ構成に入力パラメータが表示されます。表示が選択されているAmountClaimedパラメータは、LLMにその値が送信されます。

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保存をクリックします
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正常に登録されたことを確認し、左上の 戻る(<) をクリックします。
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左ナビゲーションのAIエージェントをクリックします。
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ツールセクションに、先ほど登録した
Auto Approve Expense Reportがツールとして登録されていることを確認します。

5. AIエージェントの構築
5.1 エージェント・パターン(Thinking Pattern)の作成
AIエージェントは、推論のためにさまざまな思考パターンを使用できます。OICではこれらの思考パターンをエージェント・パターンとして定義します。エージェント・パターンは、AIエージェントがどのように推論し、ツールを利用するかを定義するテンプレートです。
なお、エージェント・パターン毎に利用可能なLLMが定義されています。以下ドキュメントを参考に、利用するエージェント・パターンとLLMを選択してください
ここでは、ReAct for OCI GenAIパターンを利用します。LLMはus-ashburn-1リージョンのOCI Generative AIの xAIモデル(xAI Grok 4.3) を利用します。
5.1.1 ReAct for OCI GenAIパターン利用時の事前準備
以下ドキュメントに従い、ReAct for OCI GenAIを利用するための事前準備をします。
この設定はOICインスタンスからOCI Generative AIを利用するための権限設定です。各項目の詳細な説明は割愛し、ここではドキュメントどおり設定します。
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OICインスタンスの紐付けを行なったアイデンティティ・ドメインのユーザーで、OCIコンソールにログインします
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Oracle Cloudサービスタブをクリックします。
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検索フィールドにOICインスタンスの名前を入力し、検索を実行します。OICインスタンス名と同じ名前のアプリケーションをクリックします。

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動的グループタブをクリックします。
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左ナビゲーションメニューのポリシーをクリックします。
5.1.2 エージェント・パターンの作成
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OICインスタンスを開き、
Simple Expense Approval Projectのワークスペースを開きます。 -
左ナビゲーションのAIエージェントをクリックします。
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名前に ReAct for Simple Expense Approval Agentを入力します。 -
識別子とバージョンは自動生成されたものをそのまま利用します。 -
パターン・レシピより、ReAct for OCI GenAI (26.4.4) を選択します。
-
詳細画面が開きます。
ガイドラインに入力されている内容を全て削除し、以下の文をコピー&ペーストで入力します。Strictly follow all guidelines. It is mandatory that you reflect on all guidelines provided. You should follow the ReAct agent pattern (Reason + Act) when generating a response. Pattern: Think - using your internal reasoning. Action - Invoke tools to get information, including additional human input. Observe - Process tool response using your internal reasoning. Repeat - Repeat until finished. At each step you provide your think, action, and observe rationale. You should always attempt to get the most relevant information based on tool use. Do not guess or infer tool arguments except for the following reasons: You are given specific guidance by the tool on inferring a tool argument. You have previous context to make a reasonable assumption. -
モデル・タイプを指定します。ここでは xai.grok-4.3 を入力します。 -
戻る(<) をクリックします
5.1.3 ルックアップの編集
エージェント・パターンReAct for OCI GenAIが利用するOCI Generative AIのパラメータをルックアップで指定します。
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左ナビゲーションの統合をクリックします
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Compartment_OCIDに、OICインスタンスが稼働するコンパートメントのOCIDを入力します。 -
Regionに、AIエージェントが利用するOCI Generative AIのリージョンを入力します(ここではus-ashburn-1を入力)。 -
正常に保存されたことを確認し、**戻る(<)**をクリックします
5.2 AIエージェントの作成
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OICインスタンスを開き、
Simple Expense Approval Projectのワークスペースを開きます。 -
左ナビゲーションのAIエージェントをクリックします。
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エージェントの作成画面が開きます。以下の通りに入力・選択し、作成をクリックします
-
AIエージェントの詳細画面が開きます。以下の通りに入力します。なお、ロールとガイドラインに入力した文は、システムプロンプトとしてLLMに送信されます
- ロール:
You are an expense approval agent. Your role is to approve or reject expense claims. - ガイドライン:
1. The user submits a request for approval of expense claims. 2. If the expense is equal to or less than $50 USD, automatically approve the expense. 3. If the expense is more than $50 USD, reject the expense.
- ロール:
-
ツールの 追加(+) をクリックします。
-
ツールの追加画面が開きます。Auto Approve Expense Reportを選択します。
-
保存をクリックします。
-
正常に保存されたことを確認し、戻る(<) をクリックします。
-
AIエージェントをアクティベートします。エージェント・セクションの Simple Expense Approval Agentのメニューをクリックし、アクティブ化 をクリックします。

-
Simple Expense Approval Projectワークスペースの右上のリフレッシュアイコンをクリックします。Simple Expense Approval Agentがアクティブ状態であることを確認します。

6. AIエージェントの実行
作成したAIエージェントSimple Expense Approval Agentを実行し、テストします。
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OICインスタンスを開き、
Simple Expense Approval Projectのワークスペースを開きます。 -
左ナビゲーションのAIエージェントをクリックします。
-
エージェント・セクションのSimple Expense Approval Agentのメニューをクリックし、実行をクリックします。

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エージェントのテストページが開きます。 -
プロンプトに I bought a desk chair for $45 and would like to claim it as an expense. と入力します。この場合、$50以下なので自動承認が実行される ことを確認します。
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しばらくすると、AIエージェントが実行されます。リフレッシュアイコンをクリックすると、AIエージェントの実行状況を確認できます。

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AUTO_APPROVE_EXPENSE_REPORTのツールが実行され、AIエージェントから、Your expense claim for $45 has been automatically approved.と応答があり、自動承認されたことが確認できます。

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もう一度実行します。新規実行を選択し、プロンプトに I bought a desk chair for $200 and would like to claim it as an expense. を入力し、実行します。この場合、$50を超えるので拒否される(自動承認は行われない) ことを確認します。

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しばらくすると、AIエージェントから
Expense is rejectedの旨の応答があり、拒否されたことが確認できます

おわりに
このチュートリアルでは、Oracle IntegrationでAIエージェントを作成し、ツールを利用して業務ロジックを実行する一連の流れを体験しました。実際の業務では、今回作成したシンプルな統合をERPやCRMなどの業務システムと連携させることで、実践的なAIエージェントを構築できます。
今回紹介した構成は最小構成ですが、Human in the Loop(HITL)やMCP Serverなどの機能と組み合わせることで、人による承認や外部システムとの連携を取り入れた、より高度な業務エージェントへ発展させることもできます。
次回以降、MCP ServerやHuman in the Loop(HITL)を組み合わせた、より実践的なAIエージェントの構築方法についても紹介していきます。



















































