Chatworkが好きだ。
……と書くと回し者みたいだけど、最初から好きだったわけじゃない。むしろ「なんでSlackじゃないんだよ」と思っていた側の人間だ。
Chatworkerになるつもりはなかった
俺はもともとSlack派だった。エンジニアなら当然だと思う。
ところが、仕事で関わることになった現場が、ことごとくChatworkだった。波動療法の協会、健康食品メーカーの事務局、セラピストの養成講座。ITとは縁遠い世界。そこで何が使われているか。Chatwork。
理由は単純で、「LINEの延長で使える」から。Slackのチャンネル設計もスレッド構造も、ここでは必要ない。社長が「了解」とだけ打てるツール。それがChatwork。
最初は「まあ仕方ないか」くらいの気持ちだった。
問題は、ルームが増えたことだ。5つ、10、15……気づけば17ルーム。毎日全部に目を通すのは無理がある。既読が溜まる。大事な連絡を見落とす。「あのメッセージ見ました?」と聞かれて冷や汗をかく。
自動化するしかなかった。
そこでChatwork APIのドキュメントを開いた。正直、期待していなかった。でも、思ったより揃っていた。メッセージ取得、送信、タスク管理、ファイル操作、Webhook。必要十分。
n8nで17ルームを毎晩21時に自動巡回するワークフローを組んだ。全メッセージをMarkdownに変換して保存する仕組み。これで「見落とし」は消えた。
ここからが沼だった。
APIを叩くのが面白くなってしまった。
GASで全エンドポイントを試した。Google Driveに原液を溜め始めた。ルームの参加者データを引っ張ってきて、「誰と誰が同じルームにいるか」で人間関係マップを自動生成した。vis.jsで36人、155本のエッジ。
そこで止まればよかったのに、Dify × GAS × Chatworkで問い合わせの回答案を自動提案するシステムまで作った。Claude CodeのMCPでChatworkを直接AIに読ませることもやった。
必要に迫られて始めたはずが、気づいたらChatwork APIを使い倒していた。
Slack、Discord全盛の時代だ。エンジニアはみんなそっちにいる。技術記事も山ほどある。コミュニティも活発。情報に困ることはない。
俺はそこにいない。Chatworkという修羅の道を歩いている。
2026年にChatworkの技術記事を書いているエンジニアなんて、絶滅危惧種だと思う。Qiitaで「Slack」タグの記事は数千本。「Chatwork」は——まあ、数えないでおこう。
でも、導入企業は97万社、登録IDは792万を超えている。国内ビジネスチャットの利用者数は5年連続No.1。数字だけ見れば、Slackより使われている。なのに技術記事はスカスカ。
792万人が使っているのに、APIで遊んでいるエンジニアがほとんどいない。
この空白に気づいたとき、なんだか嬉しくなった。
距離が近い、という強さ
使い倒して気づいたことがある。Chatworkは、ユーザーとプロダクトの距離が近い。
SlackやDiscordはグローバルプロダクトだ。機能要望を出しても、海の向こうのバックログに積まれて終わる。Chatworkは違う。日本の会社が、日本の中小企業のために作っている。予約送信もリアクション機能も、ユーザーの声から生まれたものが多い。
足りないものは、それを使って何か面白いものを作るエンジニアだけだ。
だから俺が書く。
このシリーズで書くこと
Chatworkerシリーズでは、俺が実際に作ったものを一つずつ晒していく。
- Chatwork × n8nの自動巡回システム
- ルームデータから人間関係マップを自動生成する仕組み
- MCP × Claude Codeの連携
- GASで全APIを叩いた記録
全部、動いているもの。スクリーンショットもコードも出す。
Slackでもなく、Discordでもなく、Chatworkで。
Chatworkで面白いことやってる人がいたら、ぜひ教えてほしい。たぶん仲間は少ない。
Chatworkシリーズ
- #1 なぜ2026年にまだChatworkを使い倒しているのか(この記事)
- #2 chatwork-client-gas、ぶっちゃけいるの?
- #3 ルームの参加者データだけで、組織の人間関係マップを作った
- #4 「Chatworkに確定連絡が来たら請求書を送る」をGASで自動化する
- #5 Chatwork MCPを繋いだら、17ルームの未読が10秒で片付いた
- #6 MCP vs GAS — Chatwork自動化の「正解」はどっちか
- #7 コンタクト承認をn8nで自動化しようとしたら、3つの罠にハマった
- #8 ChatworkにAIチームを住まわせたら、勝手に会話が始まった
- #9 Chatwork 8ルームの全メッセージからFAQ429件を自動抽出した
- #10 Webhook署名検証を入れたら全メッセージが消えた
- #11 過去メッセージを全件取得しようとしたら、APIの「100件の壁」にハマった
- #12 Chatwork APIの「既読」は自分で制御できる
- #13 Chatwork APIのファイル機能、使ったことある?
- #14 n8nで全ルーム巡回
- #15 タスク機能をAPIで使い倒す
- #16 MCPを2アカウント同時接続したら、仕事用と事務局用が1画面で回った
- #17 【世界初かもしれない】ChatworkでClaude Code Channelsを実装してみた
- #18 Chatwork × Dify × GASで問い合わせ回答を自動提案する
- #19 RelationMapを夜間バッチで毎日自動更新する
- #20 17記事書いて見えた、Chatwork APIエコシステムに足りないもの
- #21 Googleフォームの回答をChatworkに自動投稿するGAS
- #22 Chatworkの会話を毎日AIが要約してくれる仕組みをn8nで作った話
- #23 chatwork-cliを入れたら、シェルからChatworkが操作できて世界が変わった
- #24 ChatworkのWebhookをn8nで受けるなら、HMAC署名検証は必ずやれ
- #25 Chatwork × GAS × Claude Codeで会員制講座の運用を自動化した