なんでこの本を読んだのか
- 最近アジャイルへのコーチングの適用についての本(※1)を読んでいるのですが、 コーチングの基礎 をしっかり学びきれていない感覚があったので純粋なコーチング入門書を読んでみることにしました
- ほかにもコーチングの入門書を何冊か読んだのですが、この本が一番しっくりくる内容だったので備忘録がてらまとめる事にしました
- ボリュームもコンパクトにまとまっていておすすめの一冊です
書籍概要
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アドラー 大学研究所の講師によるコーチング入門書
- 詳しくわからないけどアドラー心理学っぽいアプローチみたいです
- 書籍構成
- 前半では セルフコーチング のやり方を紹介
- セルフコーチングから始めるのはコーチングしたい人は誰でもコーチされることでコーチとして成長するためです
- 後半では一般的なコーチング(他の人と一緒に行うコーチング)の手法を紹介
- ※本記事では前半のセルフコーチングの内容についてまとめます
- ※本記事は現時点での私のコーチングの認識をまとめるために書いています。本書の内容をベースとしていますがほかの本で読んだ内容や私の意見もごちゃまぜの状態ですのでご注意ください(いわゆる「超訳」本的な書き方です)
- 前半では セルフコーチング のやり方を紹介
はじめに
コーチングを行う理由ですが、大前提として
「 自分は自分の人生の専門家。自分以上に自分を理解できている人はいない 」
という事があります。
人は 自分が腹落ちした事しか行動しません 。
一時的に納得しない内容を行動することはあるかと思いますが、それは長続きはしません。またモチベーションがわかないため効率も低くなります。
大きなゴールに向けて行動を変えて自分の人生をいい感じにするには、自分自身を納得させる必要があります。
自分の専門家としての知識を完全なものにするために
自分の「 価値観(=自分が重要だと思うもの) 」と「 強み(=才能) 」を把握する必要があります。
価値観
「価値観」は自分が向かうべきゴールを定めます。
人によって幸せの条件は様々です。
一般的な幸せの条件が必ずしもあなたにとっての幸せの条件と同じではありません。
社会的地位がありお金持ちで結婚して子供がいても幸せそうに見えない人は存在します。
盲目的に一般的な幸せの条件を追いかけるべきではありません。
辛い思いをしてその条件を達成しても心が満たされないリスクがあります。
自分にとって本当の幸せが何かを真剣に考えてください。
強み(=才能)
「強み(=才能)」はゴールに向かう速度に関係します。
自分の価値観を見つめてゴールが定まったら最速でそのゴールに移動したいですね。
ではどうすれば早く動くことができるのでしょうか?
そもそもゴールに向かうために使えるものは何でしょうか?
それは、自分自身だけです。
他人を直接動かすことはできません。
全て自分の行動を介して影響を与える事しかできません。
そのため、ゴールに早く移動するには自分自身の行動力を最大化するしかないのです。
そうなると出てくる疑問が「どうすれば自分の行動力を最大化できるのか?」という事です。
それに応えるのが「強み(=才能)」です。
「強み(=才能)」とは何でしょうか?
才能に特化したポッドキャスト「みんラボ」では才能を
「ついやってしまうこと」
と定義しています。
自然とやってしまうので、長期的には膨大な量の行動を実行することになります。
ゴールに向かう行動に「強み(=才能)」を絡める事で、
行動力を最大化してゴールに向かって突き進んでください。
コーチングの役割
「価値観」と「強み」が重要なことは分かりました。
ではコーチングはどのように関わってくるのでしょうか?
コーチングがかかわってくるのは主に下記の3点です
- 価値観を見つめる手助け(=ゴール決定補助)
- 現状を冷静に分析し「次にとるべき行動」を決断できるようになる手助け(=行動決定補助)
- 行動するためのやる気を引き出す(=行動力最大化補助)
ここで重要なのが、コーチングはあくまで補助であり、
主体はコーチングを受ける本人という事です。
ゴールに向かうのは本人であり、コーチではありません。
答えはコーチングを受ける人の中にあります。
答えを提供するのではなく本人の中から引き出してください。
ちなみに、具体的なアドバイスを出すのはコーチングではなくメンタリングに当たります。
まとめ
「価値観」を基に 人生に対するゴール を定めて、
「強み」を活かして 最適な行動を効率的に実行 してゴールに向かいましょう。
それらを実行するための補助となるのが「コーチング」です。
これまでの内容をゴルフに例えてみましょう。
旗のあるカップが目指すべきゴールです。
普通のゴルフではカップの位置は事前に決まっていますが、
人生においてはカップの位置は自分で定める必要があります。
また、ゴールが遠すぎる(大きなゴールが存在する)場合は、
1回の行動ごとに目指す少し先の小さいゴールを設定する事が重要となります
ボールをどちらに飛ばすか/どのゴルフクラブを使うか/どのように打つか等が行動の内容に当たります。
それを決めるにあたっては現在の状況(先の地形、風の吹き方等)を正確に把握する必要があります。
人生の行動を決めるにあたっても、
その時自分が置かれている状況を感情に流されることなく冷静に判断し、
最適な行動を選択する必要があります。
ボールの飛距離は行動力です。
適切な行動を選択できても、それを行動に移さなければ何も意味がありません。
選択した行動を最大の効率で実行しましょう。
そのためには自分の強み(=才能)と行動を絡めましょう。
ゴールが遠ければ遠いほど強み(=才能)の効果は大きくなります。
最後に、これらの内容は以下の考えをベースに行ってください
「 自分を信頼する 」
セルフコーチング
コーチングを始める前に
前述のとおり自分を一番理解できているのは自分です。
自分で自分をコーチングするところから始めてみましょう。
とはいえ、コーチングとはどういうものでしょうか?
良いコーチの4つの特徴
良いコーチの特徴として以下のような特徴があります
- 「寛容でフレンドリー」
- 「聞き上手」
- 「判断はしないが、好奇心が強い(いい質問をする)」
- 「行動をサポートする」
セルフコーチングではこの特徴を自分に向ければいいのです
- 「寛容でフレンドリー」
- 自分自身に対して寛容とはどういうことでしょうか?
これは”はじめに”の 最後に書いた「自分を信頼する」と言うことに尽きます。
自分を否定・卑下せず、自分の成長の可能性を信じて変化に導いてあげましょう
- 自分自身に対して寛容とはどういうことでしょうか?
- 「聞き上手、判断はしない」
- コーチングはセルフコーチングでも2人で行うコーチングのどちらにおいても、
気づきを見つけるのはコーチングを受ける側の人です。
コーチの意見や判断はノイズでしかありません。
コーチングを受ける人の話をよく聞き
話し手から得られる情報(話の内容/話すときの雰囲気等)のみを材料に
話し手の気づきを導けるような質問を投げかけることが重要となります
- コーチングはセルフコーチングでも2人で行うコーチングのどちらにおいても、
- 「好奇心が強い(=良い質問をする)」
- 「 コーチは鏡 」という事は聞いたことがある人が多いかと思います。
コーチングでは普段の自分が見えていない死角を見える化し、
自分に対する認識を更新する事が重要な要素です。
そのためにも、コーチはコーチを受ける人の発言を基に
死角を照らす適切な質問を投げかけるスキルが必要となります。
そのスキルは好奇心がベースとなります。
- 「 コーチは鏡 」という事は聞いたことがある人が多いかと思います。
- 「行動をサポートする」
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コーチングセッションが終わると、目的達成に向けた行動が定まります。
その行動がちゃんと実行されなければコーチングは絵に描いた餅になってしまいます。自分が心の底から納得した自分の人生の目的でないと行動を起こすモチベーションは沸きにくいです。
その点でも目的・目標の設定を精度良く行うことが重要となります。
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コーチングのNGワード「なぜ」
コーチング中に「なぜ」という問いかけは控えましょう。
「なぜなぜ分析」など、一般的に問題解決に使われる「なぜ」ですが、
コーチングにおいては問題解決につながることは少ないです。
自分自身に対する説明は真実のこともありますが、作られた物語のことも多いのです。
大抵の場合は自己正当化につながってしまい、行動に結びつくことは少ないです。
では次のセクションから具体的にセルフコーチングのやり方を見ていきたいと思います。
セルフコーチングは以下の4ステップからなります
- 人生で注力する8カテゴリを決める
- カテゴリを絞り込む
- 次の行動を決める
- 行動をフィードバックする
ステップ1「人生で注力する8カテゴリを決める」
コーチングの最初のステップは「ゴール」を定める事です。
続いてはゴールの決め方について説明します。
そもそも私たちは何のためにコーチングを受けるのでしょうか?
仕事の効率を上げるため?家族関係の改善?お金を稼ぎたい?
どんな理由であれそれらは全て「人生をより良くしたい」という共通のゴールに包含されるかと思います。
この「人生」という視点からトップダウンでゴールを細分化していきたいと思います。
具体的には、まずあなたにとっての「人生において重要と思う8大要素」を思い描いてください。
そして、下図のようにそれらの各要素に対する現在の満足度を10段階で評価して下さい。
ステップ2「優先順位を特定」
カテゴリの洗い出しができたので、まず取り組むべき領域を3つに絞り込みます
次の質問に該当する領域を3つを順位をつけて選んでください
「どの領域が改善されたらほかのすべての領域も最も改善するでしょうか?」
また、質問に答える際に考える以下の内容についても書き留めておいてください
- 領域の現在の状態に対して
- どのような状態か?
- どのように感じているか?
- 領域の状態が最高(10)になった場合に対して
- どのような状態か?
- どのように感じているか?
ステップ3「次の行動を決める」
ここまでで改善すべき領域の絞り込みができました。
続いては具体的な「次の行動」を決定します。
前章で明らかにした「現在の状態」と「最高(10)になった状態」との差異を埋めるためのステップを考えます。
とはいっても1回の行動で解決できることはほぼありません。
なので、行動を1日~1週間でできるサイズに分割します。
「〇〇に向けてできる次の一歩は何ですか?」と尋ねて次の行動を明らかにしてください。
このようにして今後1週間で達成する目標(=小さいゴール)を決定します。
その際には目標を SMARTに(具体的で、測定可能で、達成可能で、現実的で、期限がある)するよう気を付けてください。
ステップ4「行動をフィードバックする」
1週間のゴールを設定したら、実際に行動してその結果を管理します。
管理の方法は非常にシンプルでいいです。
TODOリストに個別の目標を書いたら、それが達成されたらその項目を完了とするだけです。
実施状況を管理するには他人に協力してもらうのも手です。
他人を介する事でサボったり記録をごまかしたりするのを防げます。
うまくいかないときは?
今までやったことない行動を行うのは骨が折れます。
なぜならば脳内の回路を変更する必要があるためです。
新しい目標を立ててもうまく行動できないときは必ず訪れます。
その際はどうすればいいのでしょうか?
主に3つのアプローチがあります
- 価値観やモチベーションを見直す
- 「もしわたしが〇〇を持っていたら△△していただろう」という問いを自分に投げかけ、 より深い動機を見つけてください。行動を深い価値観に根付いたものにアップデートしてください
- そうすれば行動するモチベーションがよりわきやすくなります
- 「もしわたしが〇〇を持っていたら△△していただろう」という問いを自分に投げかけ、 より深い動機を見つけてください。行動を深い価値観に根付いたものにアップデートしてください
- 「強み(=才能)」をもっと絡める
- 前述の「みんラボ」は才能に関する知見を深めるのにおすすめのコンテンツです
- 強味を分析する一番有名なテストとして「Strength Finder」があります。有料ではありますが自分の強み/弱みを把握するための有力な候補だと思います。
- 邪魔をしている情動を受け流す
- 人の心は「内臓から生成される感情(=情動)」と「情動を入力として脳が判断する感情」の2つの心があります
- 情動は体の状態を知らせる重要な情報ですが、必ずしもに流される必要はありません
- 情動に流されないための手法は様々にあります(「原始仏教/禅/マインドフルネス」「アドラー心理学」)。お好みの手法を使い、感情を冷静に保ち冷静に行動できるようにして下さい
さいごに
この本を読んでからコーチングの真似事を自分や知人に何回かやってみたのですが、普通に思考/会話しているだけでは見えてこなかった新しい発見(いわゆる「アハ体験」)を何度も得られて結構ビックリしました。
まだまだ上っ面をなぞっただけだと思いますので、もっと学んでいきたいですね。