1. モデル アップデート(Model Updates)
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Anthropicとの協業によるAzureネイティブ統合
- Azure環境(Microsoftバックボーンネットワーク)内で、OpenAIに加えAnthropicモデルが利用可能に
- 提供モデル: claude-sonnet-4.5, claude-haiku-4.5, claude-opus-4.1
- 提供チャネル: Foundry Model catalog、Azure REST API、Azure Databricks runtime
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その他サポートモデルの追加
- ラインナップ: Grok 4, MAI-DS-R1, DeepSeek-V3.1 など
2. Microsoft Foundry および Agent Service 機能強化
Hosted Agentの提供
- フレームワーク対応: LangGraph、LangChainを含むあらゆるフレームワークに対応。
- プロトコル対応: Custom API、MCP(Model Context Protocol)、A2A(Agent to Agent)を含む全プロトコルに対応。
- ホスティング: Azure Container Registry上のコンテナイメージを利用
Foundry IQ によるコンテキスト強化(Managed Vector DB (AI Search)ベース)
- ナレッジベース化: 単一エンドポイントで、Foundry内の会話履歴や外部データソースを統合して検索可能に。
- 自動化: 組み込み済みSLM(Small Language Models)により「検索計画→情報取得→統合→回答生成」のプロセスを自動化。
マネージド メモリ管理機能(AI Search組み込み・無償提供)
- 長期メモリ: エージェントの長期記憶を管理。テキスト内容を最適化して保存。
- 検索・管理: 自然言語でのメモリ内検索が可能(SDK/REST API経由)。Scope設定による範囲管理や、Metadata/Description付与に対応。
開発ライフサイクルとガバナンス(Foundry Control Plane)
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M365連携:ワンクリックでMicrosoft 365 CopilotやTeams、Web UI(REST APIベース)へ公開可能。
- EntraにAgent ID登録の上、Entraアクセス権が継承され、Microsoft Entra ID アプリ、Azure Bot Service リソース (選択した場合)が作成される
- 管理機能: Agent ID/EntraベースのID管理、GitHub連携やバージョン管理機能。Agent365を拡張したControl Planeを提供。
- セキュリティ: Defender, Purviewによるコンプライアンス強制、Telemetryログ収集
- LLM Ops: 各種指標SDKによるパフォーマンス評価。
- エコシステム: 1,400以上のMCP対応コネクタ(API Center経由)やAzure Logic Appsコネクタを統合。
統合SDKとワークフロー定義
- SDK統合: Semantic KernelとAutoGenを単一のオープンSDKに統合。
- 耐久性: 再起動後も処理を自動回復する耐久性のある長期実行ワークフロー。
- GUIツール: GUIベースでのワークフロー定義(YAML保存対応)
Model Router(モデルルーター)のGA
- 最適化: 最新版(2025-11-18)にて、品質・コスト・バランスを選択式で最適化するルーティングモードを提供。
- 新モデル対応: Claude, Grok-4, DeepSeek-V3.1, gpt-oss-120bなどをルーティング対象に追加可能。
- その他、Responses APIベースのv2の提供など
3. API Management および MCP 管理
3-A. API ManagementのAI Gateway統合(Public Preview)
- Foundry側からAI Gatewayを“その場で”プロビジョニングできるUI連携が実現。エージェントサービスから企業ゲートウェイ背後のモデルへの接続が容易に。
- Foundry UIからのプロビジョニング: FoundryのコントロールプレーンからAPIM Basic v2/Standard v2などを用いてGatewayを作成し、モデル呼び出しのホスト名をGatewayに切り替え。
- 「Bring Your Own AI Gateway」: Foundry Agent ServiceからAPIM接続を作成し、企業ゲートウェイ背後のモデルへ接続。ネットワーク分離のガイド公開。
3-B. AI Gatewayの機能強化(LLMポリシー GA、セマンティックキャッシュ GAなど)
- トラフィック制御(LLMポリシー GA): トークンレート制限/クォータ(TPM単位)、バックエンド負荷分散、サーキットブレーカ、セッションアフィニティ(Realtime含む)。
- 安全性とキャッシュ: セマンティックキャッシュ(GA)、Azure AI Content Safetyポリシーによるプロンプトの自動モデレーション。
- 対応エンドポイント: Foundryモデル、Azure AI Model Inference API、OpenAI互換エンドポイント、セルフホストモデル、MCPサーバー/A2AエージェントAPIに対応。
3-C. 既存機能:MCP連携とAPI Managementの役割
- API Managementには、MCPサーバの開発・発行・利用を支援する以下の既存機能が備わっています。
- 開発サポート: Azure Functions を使用したリモート MCP サーバの開発支援。
- API発行: 既存のAPIをMCP化し発行する機能。
- カタログ化: Azure API Center による MCP カタログ機能。
- セキュリティ: MCP クライアントから MCP サーバへの OAuth2 認証機能の提供。
- ガバナンス/観測性: MCP サーバのオブザーバビリティプラットフォームへのロギングとメトリクス。
4. Azure Speech Service アップデート
- Voice Live API(一般提供)
- リアルタイム音声会話開発のための統一API。
- gpt-realtime 等の生成AIモデルやFoundry内独自モデルが利用可能。
- Live Interpreter API(一般提供)
- Teams会議で使用されているリアルタイム音声翻訳技術をAPI化。
- 日本語含む76言語を自動検出・低遅延翻訳し、話者のトーンやスタイルを維持。
- LLM Speech API
- LLMを用いて音声入力から直接「意味抽出・処理」を実行する次世代機能。
- タスク: 音声認識(Transcribe)と翻訳(Translate)。
- 対応: 日本語含む9言語。WAV, MP3, OPUS/OGGフォーマットに対応。
5. Data 関連サービス
SQL Server 2025
- AI機能: ベクトルデータ型、ベクトル関数、ベクトルインデックス機能の搭載。
- クエリ: 正規表現関数をサポート。
- 連携機能: Microsoft Fabricへのミラーリング(ニアリアルタイム同期)、Event Hubsへの変更イベントストリーミング。
- ライセンス: Standard Developer Edition(開発用無償ライセンス)の提供。
Azure HorizonDB(Private Preview)
- フルマネージド PostgreSQL 互換データベース。
- スケール: 最大3072 vCore、128 TBストレージまでのスケールアウト。
- 機能: ベクトルインデックスやFoundry埋め込みモデル統合。Entra ID認証、データ暗号化等のエンタープライズ機能完備。
Azure DocumentDB
- MongoDB互換サービス(旧 Azure Cosmos DB for MongoDB vCore)。
- OSS化: MITライセンスでOSS公開され、現在はLinux Foundationが管理。
- 柔軟性: オンプレミス、他クラウドでの実行が可能。ダウンタイムなしの自動シャーディング、即時のスケールアップ/ダウン/アウトに対応。
6. Microsoft Fabric アップデート
Fabric データベースのGA(一般提供)
- 対応DB: Fabric内で利用可能な「SQL Database」および「Cosmos DB」が一般提供開始。
- OneLake統合: データは自動的にOneLakeへレプリケートされるため、分析ワークロードから即座に利用可能。
Fabric IQ のプライベートプレビュー
- オントロジー機能: プロセス、人、アクション、ルールなどの各エンティティと、それらの関連付けを定義。
- 自動作成: 既存のセマンティックモデルをベースに自動作成が可能。
- 構成: 既存のFabric内 Graph DBや、Power BIセマンティックモデルと組み合わせて構成。
7. その他 注目サービス(Logic Apps / M365 Copilot)
Azure Logic Apps Standard:Agent Loop のGA(一般提供)
- ループ制御: Logic Apps内でエージェント(LLM)に繰り返し処理を実行させるための制御アクション。
- 推論フロー: 「次アクションの判断 → 実行 → 結果を評価」というループを自動化。ルールベースでは難しい業務フローを推論ループで実行。
- 終了条件: ループを抜ける条件判定をLLM自身に任せることが可能。
Azure Copilot エージェント
- 概要: 特定の運用シナリオに対応するエージェントが、複数ステップの推論に基づいて回答・支援を実行。
- 提供エージェント: デプロイ エージェント、オブザーバビリティ エージェント、最適化 エージェント、Resilience エージェント
- トラブルシューティング エージェント
Appendix:Fabric Conference 注目アップデート
※Fabric Conference 注目アップデートがIgniteでも再びご紹介されておりますので、以下ご紹介いたします。
- データ統合とモデリング
- データミラーリング拡張: Oracle、Google BigQuery、SAPに対応。
- Web Modelling in Power BI: ブラウザ上でのモデリング機能。
- Translytical Task Flows: トランザクションと分析を統合したタスクフロー。
- 開発者ツールとCI/CD
- CLI & Terraform: Fabric CLIおよびTerraformプロバイダーの提供。
- Extensibility Toolkit & Fabric MCP: CI/CDおよびAI駆動アイテム開発を支援。
- 全項目のCI/CDサポート: すべてのFabricアイテムに対応。
- AI とリアルタイム分析
- Real-Time Intelligence機能拡張: Anomaly Detector
- Map、Graph機能の提供
- Azure AI Search と OneLake の連携: Azure AI Foundryポータルから、OneLakeデータを活用した文脈豊かなエージェント開発を簡素化。