運用設計って、名前は聞くけど実際なにをどう設計するのかよくわからない……。
そんな状態だった運用初心者の私が、書籍や実務を通して学んだ「運用設計の基礎と実践ポイント」を、自分なりに整理してまとめました。
- 運用設計とは何か
- なぜ運用設計が必要なのか
- 設計不足によるトラブル例とその対策
など、初学者でもイメージしやすい内容になるよう意識しています。
これから運用設計を学びたい方、実務の中で迷っている方の参考になれば嬉しいです。
※書籍に沿って基礎からまとめていますので、入門編の内容も一部含みます。ご了承ください
📖 本記事は「運用設計の基礎知識まとめてみた」シリーズの一部です。
👉 シリーズ全体:運用設計を体系的に学ぶシリーズ|入門から実践まで
運用と運用設計:現場を守るための第一歩
運用とは何か?
ITシステムにおける「運用」とは、単にトラブル対応やメンテナンス作業を指すものではありません。
運用は、システムがリリースされた瞬間からサービス終了まで続く、長期にわたる活動です。
運用には以下のような要素が含まれます:
- 障害発生時の初動対応
- 問い合わせ対応や利用申請の受付
- 定期メンテナンスやパッチ適用
- 利用状況の記録・監視・報告
運用がなければ、システムは放置され、やがて使われなくなり、せっかくの投資が無駄になってしまいます。
運用設計とは何か?
運用設計とは、システムを長く安定して使い続けるために、運用上のルールや手順、管理対象をあらかじめ決めておくことです。
例として、次のような設計項目が挙げられます:
- 申請や問い合わせのフロー
- 障害発生時の初動手順
- 特権アカウントの管理方法
- 監視対象・対応ルール
明確な運用設計がなければ、運用担当者は何をどうすべきか分からず、特に障害発生時には混乱が生じ、サービス品質の低下を招きます。
運用設計の目的
運用の目的は「サービスを安定的・効率的に提供すること」。
そのために、運用設計の目的は「サービスの目的に合わせて、運用を最適化すること」です。
たとえば:
- 24時間365日利用されるサービス → 常時監視・自動復旧の設計
- 平日9〜17時のみ利用される社内システム → 業務時間帯のみ対応可能な設計
重要なのは、サービスの性質に合わせて必要十分な運用体制を作ることです。やりすぎても足りなくても非効率になります。
運用設計がもたらす効果
正しく運用設計されたシステムは、以下のようなメリットをもたらします:
課題が発生しがちな例 | 運用設計による改善 |
---|---|
運用範囲が不明 | どこまで運用するか明確化 |
誰に連絡すべきかわからない | 障害時の連絡体制が整備 |
属人化して負荷が偏る | 手順書・ドキュメントの整備で平準化 |
作業の質にばらつきがある | 手順書の粒度をそろえて品質安定 |
改善しようにも何が問題か不明 | 運用状況が可視化され、改善しやすい |
また、サービス開始時から設計されていれば、初期の混乱も最小限に抑えられ、運用チームの負担も軽くなります。
まとめ:運用設計は現場の盾であり剣
運用設計は、単なる「準備」ではなく、現場を守り、サービスの品質と信頼性を支える土台です。
現場が疲弊しないよう、導入時からしっかり設計し、継続的に見直していくことが求められます。
📚 参考文献
近藤誠司『システム運用の教科書 改訂新版』技術評論社
※本記事は書籍内容を参考にしつつ、筆者の視点で再構成・要約したものです。