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DeepLab v3+でオリジナルデータを学習してセグメンテーションできるようにする

Last updated at Posted at 2018-09-08

Googleの実装コードであるこちらを参考に、オリジナルのデータを学習させてセグメンテーションできるようにします。

なお、筆者はWindows環境でAnaconda Navigatorを使いながら確認しました。
(Jupyter Notebookで動きを確認しつつ、Terminalで実行しました)

パスの設定

今回のモジュールはdeeplabとslim以下のモジュールを使用します。
そのため、パスに「master\research」「master\research\slim」を追加する必要があります。

WindowsのAnaconda環境であれば「PYTHONPATH」にパスを通す必要があります。

SET PYTHONPATH=master\research;master\research\slim

※本当はフルパスで指定

なお、コードに直接、

# From tensorflow/models/research
import sys,os

cur_dir = os.getcwd()
sys.path.append(cur_dir + "/slim")

でもOKです。

エラーメッセージ

うまくパスが通ってないと、以下のようなエラーメッセージが表示されます。

Traceback (most recent call last):
  File "deeplab/train.py", line 22, in <module>
    from deeplab import common
ModuleNotFoundError: No module named 'deeplab'

環境の準備

まずは学習データを用意するところから。
学習データは、以下の3種類が用意されています。

  • PASCAL VOC 2012
  • Cityscapes
  • ADE20K

今回は「PASCAL VOC 2012」を使用します。
(これをまねして、オリジナルの学習データを用意すればよいということ)

※「tensorflow/models/research/deeplab/datasets」フォルダにある、「download_and_convert_voc2012.sh」を実行すればよいのですが、せっかくなので、その内容を記述していきます

学習データのダウンロード

こちらからファイルをダウンロードします。
「tensorflow/models/research/deeplab/datasets」フォルダの下に「pascal_voc_seg」というフォルダを作成し、そこに保存します。
保存したら、同じところにTARファイルの中身を展開します。

すると、こんな階層のフォルダ構成になっているはずです。
image.png

この中の「JPEGImages」が入力データ、「SegmentationClass」がセグメンテーションされているデータになります。また「ImageSets/Segmentation」に使用するファイル名(拡張子なし)のリストが設定されています。

データ変換

この「SegmentationClass」にある画像には、インデックスカラーでセグメンテーションされているので、グレースケール画像(RGBそれぞれに同じインデックス値を設定)に変換(つまり256クラスに分類)して「SegmentationClassRaw」というフォルダに保存しておきます。

※この処理は「remove_gt_colormap.py」のことになります

これと同じことをして、「SegmentationClassRaw」にオリジナルデータのグレースケール画像を設定すればOKということになります。
なお、色とインデックス値とクラスとの関係はこちらを参考にしてください。

次に、学習時に読み込みやすいように、データセットをTFRecords形式に変換します。
保存されているデータは、画像ごとに以下の通りです。

  • オリジナルの画像データ
  • ファイル名
  • 画像フォーマット("jpg"とか)
  • 画像高さ
  • 画像幅
  • チャンネル数(RGBなら3)
  • セグメンテーション画像のデータ
  • セグメンテーション画像のフォーマット("png"とか)

これらを、例えばトレーニング用、評価用、トレーニング+評価用の3種類用意します。
それぞれ4ファイルに分割されています。(4ファイルに分ける理由は不明)

※この処理は「build_voc2012_data.py」「build_data.py」のことになります
 (引数等の説明は省略)

注意事項

読み込む学習データ数が「segmentation_dataset.py」にハードコーディングされています。

_PASCAL_VOC_SEG_INFORMATION = DatasetDescriptor(
    splits_to_sizes={
        'train': 1464,
        'train_aug': 10582,
        'trainval': 2913,
        'val': 1449,
    },
    num_classes=21,
    ignore_label=255,
)

_DATASETS_INFORMATION = {
    'cityscapes': _CITYSCAPES_INFORMATION,
    'pascal_voc_seg': _PASCAL_VOC_SEG_INFORMATION,
    'ade20k': _ADE20K_INFORMATION,
}

オリジナルのデータを使用する場合は、ここも修正する必要があります。

修正例
_ORIGINAL_INFORMATION = DatasetDescriptor(
    splits_to_sizes={
        'train': 2000,
        'eval': 100,
        'vis': 10,
    },
    num_classes=4,
    ignore_label=255,
)

_DATASETS_INFORMATION = {
    'cityscapes': _CITYSCAPES_INFORMATION,
    'pascal_voc_seg': _PASCAL_VOC_SEG_INFORMATION,
    'ade20k': _ADE20K_INFORMATION,
    'original': _ORIGINAL_INFORMATION ,
}

【注意】クラス数を変えた場合、学習時に以前のチェックポイントが残っているとエラーになります。ちゃんとチェックポイントを消してから学習し直してください。

事前学習済みデータのダウンロード

さらに、初期値として事前学習済みのデータを使用しますので、ここからダウンロードしておきます。TAR+ZIPになってますので、解凍・展開しておきます。

学習

準備したデータを使用して学習を行います。
学習は、事前学習済みデータを初期値として、用意した学習データを使用して学習を進めていきます。

※この処理は「train.py」のことになります

実行例
python deeplab/train.py \
  --logtostderr \
  --train_split="train" \
  --model_variant="xception_65" \
  --atrous_rates=6 \
  --atrous_rates=12 \
  --atrous_rates=18 \
  --output_stride=16 \
  --decoder_output_stride=4 \
  --train_crop_size=513 \
  --train_crop_size=513 \
  --train_batch_size=64 \
  --fine_tune_batch_norm=false \
  --tf_initial_checkpoint="./data/init_models/deeplabv3_pascal_train_aug/model.ckpt" \
  --initialize_last_layer=false \
  --last_layers_contain_logits_only=true \
  --train_logdir="./data/log/train" \
  --dataset_dir="./data/tfrecord" \
  --dataset="pascal_voc_seg"

代表的な引数

引数名 意味 値(例)
logtostderr ログ出力の有無
training_number_of_steps 学習回数 30000
train_split 使用データ train, val, trailval
model_variant 識別モデル種類 xception_65, mobilenet_v2
atrous_rates Atrous畳み込みの比率
※複数回設定可能
6
output_stride 出力ストライド(atrous_rateとの組み合わせ) 16
decoder_output_stride 入出力の空間解像度の比率 4
train_crop_size 画像の切り出しサイズ
※XYの2回指定
513
train_batch_size ミニバッチのサイズ 64
fine_tune_batch_norm Batch Normalizationの実行 true, false
※GPUで学習するときはfalse
dataset データセット名 cityscapes, pascal_voc_seg, ade20k
tf_initial_checkpoint 学習済みモデル名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\init_models\deeplabv3_pascal_train_aug\model.ckpt
initialize_last_layer 最後のレイヤーの初期化 true, false
クラス数を変えたときはfalse
last_layers_contain_logits_only logitsを最後のレイヤーとしてのみ考慮 true, false
クラス数を変えたときはtrue
train_logdir ログ出力フォルダ名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\exp\train_on_trainval_set\train
dataset_dir データセットフォルダ名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\tfrecord

「train_crop_size」は「output_stride*k+1 (k>=1)」の値を指定してください。

エラーメッセージ

GPUメモリが足らないと、以下のようなエラーメッセージが表示されます。

ResourceExhaustedError (see above for traceback): OOM when allocating tensor wit
h shape[1,64,257,257] and type float on /job:localhost/replica:0/task:0/device:G
PU:0 by allocator GPU_0_bfc

実行結果

学習済みモデル(チェックポイント)がログ出力フォルダに作成されます。

checkpoint
model.ckpt.data-00000-of-00001
model.ckpt.index
model.ckpt.meta

評価

学習済みデータを使用して評価を行います。
識別率やloss値を確認します。
なお、評価用の画像データもTFRecords形式にしておく必要があります。

※この処理は「eval.py」のことになります

実行例
python deeplab/eval.py \
  --logtostderr \
  --eval_split="val" \
  --model_variant="xception_65" \
  --atrous_rates=6 \
  --atrous_rates=12 \
  --atrous_rates=18 \
  --output_stride=16 \
  --decoder_output_stride=4 \
  --eval_crop_size=513 \
  --eval_crop_size=513 \
  --max_resize_value=512 \
  --min_resize_value=128 \
  --checkpoint_dir="./data/log/train" \
  --eval_logdir="./data/log/eval" \
  --dataset_dir="./data/tfrecord" \
  --max_number_of_evaluations=1 \
  --eval_interval_secs=0 \
  --dataset="pascal_voc_seg"

代表的な引数

引数名 意味 値(例)
logtostderr ログ出力の有無
eval_split 使用データ train, val, trailval
model_variant 識別モデル種類 xception_65, mobilenet_v2
atrous_rates Atrous畳み込みの比率
※複数回設定可能
6
output_stride 出力ストライド(atrous_rateとの組み合わせ) 16
decoder_output_stride 入出力の空間解像度の比率 4
eval_crop_size 画像の切り出しサイズ
※XYの2回指定
513
max_resize_value 画像の最大サイズ 512
min_resize_value 画像の最小サイズ 128
dataset データセット名 cityscapes, pascal_voc_seg, ade20k
checkpoint_dir チェックポイントフォルダ名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\exp\train_on_trainval_set\train
eval_logdir ログ出力フォルダ名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\exp\train_on_trainval_set\eval
dataset_dir データセットフォルダ名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\tfrecord
max_number_of_evaluations 繰り返し数 1
eval_interval_secs 繰り返し待ち時間(秒) 0

「model_variant」「atrous_rates」「output_stride」「decoder_output_stride」は学習と同じにする必要があります。
「eval_crop_size」は「output_stride*k+1 (k>=1)」の値を指定してください。
「max_resize_value」は最大「vis_crop_size-1」を指定してください。
※「max_resize_value」を指定したら「min_resize_value」も指定してください

エラーメッセージ

「max_resize_value」を指定せずに「eval_crop_size-1」より大きい値の画像を指定すると、以下のようなエラーになります。

INFO:tensorflow:Error reported to Coordinator: <class 'tensorflow.python.framework.errors_impl.InvalidArgumentError'>, Shape mismatch in tuple component 1. Expected [513,513,3], got [3024,4032,3]
	 [[Node: batch/padding_fifo_queue_enqueue = QueueEnqueueV2[Tcomponents=[DT_INT64, DT_FLOAT, DT_STRING, DT_INT32, DT_UINT8, DT_INT64], timeout_ms=-1, _device="/job:localhost/replica:0/task:0/device:CPU:0"](batch/padding_fifo_queue, Reshape_3/_1607, add_2/_1609, ParseSingleExample/ParseSingleExample:1, add_3/_1611, batch/packed, Reshape_6/_1613)]]

実行結果

標準出力に、以下のように表示されます。

INFO:tensorflow:Evaluation [1/2]
INFO:tensorflow:Evaluation [2/2]
INFO:tensorflow:Finished evaluation at 2018-09-07-23:40:26
miou_1.0[0.194943964]

mIoU(mean Intersection over Union)とは、正しくセグメンテーションできた割合の評価画像全部の平均の値です。詳しくはこちらを参照してください。

可視化

学習済みデータを使用して、セグメンテーションした画像を取得します。
なお、可視化用の画像データもTFRecords形式にしておく必要があります。

※この処理は「vis.py」のことになります

実行例
python deeplab/vis.py \
  --logtostderr \
  --vis_split="val" \
  --model_variant="xception_65" \
  --atrous_rates=6 \
  --atrous_rates=12 \
  --atrous_rates=18 \
  --output_stride=16 \
  --decoder_output_stride=4 \
  --vis_crop_size=513 \
  --vis_crop_size=513 \
  --max_resize_value=512 \
  --min_resize_value=128 \
  --checkpoint_dir="./data/log/train" \
  --vis_logdir="./data/log/vis" \
  --dataset_dir="./data/tfrecord" \
  --max_number_of_iterations=1 \
  --eval_interval_secs=0 \
  --dataset="pascal_voc_seg"

代表的な引数

引数名 意味 値(例)
logtostderr ログ出力の有無
vis_split 使用データ train, val, trailval
model_variant 識別モデル種類 xception_65, mobilenet_v2
atrous_rates Atrous畳み込みの比率
※複数回設定可能
6
output_stride 出力ストライド(atrous_rateとの組み合わせ) 16
decoder_output_stride 入出力の空間解像度の比率 4
vis_crop_size 画像の切り出しサイズ
※XYの2回指定
513
max_resize_value 画像の最大サイズ 512
min_resize_value 画像の最小サイズ 128
dataset データセット名 cityscapes, pascal_voc_seg, ade20k
checkpoint_dir チェックポイントフォルダ名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\exp\train_on_trainval_set\train
vis_logdir ログ出力フォルダ名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\exp\train_on_trainval_set\vis
dataset_dir データセットフォルダ名 deeplab\datasets\pascal_voc_seg\tfrecord
max_number_of_iterations 繰り返し数 1
eval_interval_secs 繰り返し待ち時間(秒) 0

「model_variant」「atrous_rates」「output_stride」「decoder_output_stride」は学習と同じにする必要があります。
「vis_crop_size」は「output_stride*k+1 (k>=1)」の値を指定してください。
「max_resize_value」は最大「vis_crop_size-1」を指定してください。
※「max_resize_value」を指定したら「min_resize_value」も指定してください

実行結果

指定したログ出力フォルダの下の「segmentation_results」に、オリジナルの画像とセグメンテーションした画像のペアが保存されます。
ファイル名は順番に番号が振られ、オリジナル画像は「000000_image.png」、セグメンテーション画像は「000000_prediction.png」となります。

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