この記事は「Zoom AI Services API "Wave 4"」の ハブ記事 です。
この半年で増えた API を一枚のマップに整理しつつ、コードを書く前に Zoom Developer Portal / Zoom.AI )で全体像を体感するところまで進めます。
新 API を実際に叩く回は 2本目、 3本目で単独に扱う予定です。
Zoomtopia 2026 で、AI Services が一気に増えました
Zoom の AI Services(録音・音声・テキストを AI で処理する API 群)を、この春から記事にしてきました。Scribe(文字起こし)、Summarizer(要約)、Translator(翻訳)あたりですね。
その AI Services が、2026年10月20日の Zoomtopia 2026 で大きく拡張されました。 社員なので発表自体はもちろん追っていたのですが、開発者ドキュメントとして改めて並べてみると、なかなかの物量です。
ざっくり、開発者まわりで何が発表されたかというと——
- Developer Portal … AI Services・Video SDK・Co-Browse SDK をまとめた統合ポータル(Available now – Zoom.AI )
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AI Services への新サービス追加(公式いわく15)。本シリーズで扱うのはこのあたりです。
- Speech Summarization … 録音 → 構造化された要約
- Decisions … テキスト/画像を基準に照らして、構造化された判定結果を返す
- Interpreter … near-real-time の speech-to-speech 通訳
- Voice Agent … 音声認識+LLM+TTS を一体化したパイプライン
- MCP の拡張 … Claude / GPT などに加えて Microsoft 365 Copilot 連携、コンテキストを引く Search / Ask API など
既存の Scribe / Translator も強化されています。Scribe は自動言語判定・Text Polishing・時刻同期キャプションなどが追加され、Translator も「英語⇔8言語」から「任意の2言語間 + EU公用語24言語」の規模へ広がりました。
発表を一通り見たうえで思ったのは、「これはもう、一度ちゃんと地図を描き直したほうがいい」でした。というわけでこの記事では、
- いま何があるのか を一枚のマップに整理して、
- その前に ノーコードで全体像を体で覚える(ここがメイン・ハンズオンです)、
- 既存 API のアップデート差分を回収して過去記事に繋ぐ
ところまで進めます。各 API を実際にコードで叩くのは次回以降。まずは地図を持ちましょう、という回です。
まず手を動かす:Zoom Developer Portal でノーコード体験
いきなり API キーを発行して cURL を叩き始める前に、Portal で「どの API が何を返すか」を目で見ておく と、後のコーディングが一気に速くなります。入力を放り込むと出力が返る、という流れを SDK なしで体験できるためです。
ここからハンズオンに入ります。
Step 0. 用意するもの
- Zoom アカウント(まずは無料〜で大丈夫です。有料機能に当たったら、そのタイミングで課金を判断すればOKです)
- 試したい素材を1つ。今回は 自分で録った商談風の音声ファイル(mp3 / m4a)を使います
- 手元になければ、スマホのボイスメモで2〜3分「商談ごっこ」を録るだけでも十分です
Step 1. Portal にログインして、サービス一覧を眺める
まずはログインして、どんな機能カードが並んでいるかをざっと見てみます。この「カードの顔ぶれ」が、そのまま後述の全体マップに対応しています。Zoomtopia 2026 で発表された新サービスは軒並み Available now なので、気になったものはその場で触れます。
Step 2. 音声ファイルを投入する
録っておいた商談音声をアップロードします。Portal 側が「文字起こし → 要約」まで裏で面倒を見てくれるので、こちらは待つだけです。
ここで注目していただきたいのが テンプレート(出力の型)の選択 です。「自動」「既定」のほかに「カスタム」があり、出力の形を自分で指示できます。これが後で API(Speech Summarization)を叩くときの template パラメータに直結します。ノーコードで触っておくと、API のパラメータが「あの画面のアレか」と腑に落ちます。
Step 3. 出力を受け取って、中身を読む
処理が終わると、要約が返ってきます。ここで見ておきたいポイントは2つです。
- Markdown で構造化 されて返ること(見出し・箇条書きの型)
- 根拠(引用)への参照 が付くこと = 「この要約は文字起こしのどこを根拠にしたか」が辿れること
この「引用付きで返る」挙動は、あとで業務システムに組み込むときに地味に効いてきます。要約の裏取りが人力でレビューしやすくなるためです。
Step 4.(おまけ)同じ素材を別サービスにも通してみる
余力があれば、同じ音声を Translator や Scribe にも通して みてください。「入力は同じでも、サービスごとに返るものが違う」というのが一番の学びになります。文字起こしだけ欲しいのか、要約が欲しいのか、翻訳が欲しいのか——自分のユースケースがどのカードに対応するか が、ここで見えてきます。
ハンズオンのねらい
ここまでで「入力 → サービス → 出力」の対応関係が、ひととおり身についたはずです。次回(2本目)は、これを API で自動化 します。Portal で見た「テンプレート」「引用付き出力」が、そのままコードのパラメータ・レスポンスとして出てくるので、Portal は API の GUI 版プレビュー だと捉えていただくと分かりやすいです。
2026秋・AI Services 全体マップ
手触りを掴んだところで、全体像を一枚にまとめておきます。
本記事で扱う新 API は、いずれも Zoomtopia 2026 時点で「Available now(GA)」として発表されています。 とはいえステータスや仕様は今後更新されうるので、実装前に必ず最新のドキュメントでご確認ください。
| 区分 | API | ざっくり何をする | 入出力の型 |
|---|---|---|---|
| 既存 | Scribe | 音声 → 文字起こし | Fast / Batch / Live(WebSocket) |
| 既存 | Summarizer | テキスト → 要約 | 同期 |
| 既存 | Translator | テキスト → 翻訳 | Fast / Batch |
| 🆕 | Speech Summarization | 録音 → 文字起こし → 要約(Markdown) | SSE ストリーム / テンプレート・引用付き |
| 🆕 | Decisions | テキスト/画像 → 型付きの質問にまとめて回答 | 同期・構造化(確率/選択/スコア) |
| 🆕 | Interpreter | 音声 → near-real-time の speech-to-speech 通訳 | 文字起こし+翻訳+音声合成の一体型 |
| 🆕 | Voice Agent | 双方向の音声対話 | 音声認識+LLM+TTS の一体型(自前LLMも可) |
この他に Enterprise Search もありますが、手元で検証しづらい性質のため本シリーズでは扱いません。
また Clinical Notes(録音→臨床ノート)はまだ一般提供前のため、本マップからは一旦外しています。GA になりましたら、別途取り上げる予定です。
既存 API、しれっと強くなっていた差分
「新 API」ばかり注目されがちですが、既存 API のアップデートもかなり効いています。過去記事を書いた方・読んでくださった方向けに、差分だけ回収しておきます。
Scribe(文字起こし)の追加分
- Custom Vocabulary … 固有名詞・専門用語・社名などを事前登録して認識精度を上げる機能
- Text Polishing … フィラー(えー・あのー)除去や体裁整えで、文字起こしを「読める文章」にしてくれる機能
- 話者ラベル付け … 誰の発話かを区別(議事録用途でかなり効きます)
→ 基本の叩き方は、過去記事をご参照ください。
Translator(翻訳)の規模が変わりました
- 以前:英語 ⇔ 8言語
- 現在:任意の2言語間で直接翻訳(英語を経由しない)+ EU公用語24言語 を含む
英語ピボットが要らなくなったのは、日本語⇔他言語を扱う私たちからすると、素直に嬉しい変化です。
→ 基本の叩き方。
Summarizer(要約)
- ハンズオンは既出です。今回リリースされた Speech Summarization(録音→要約まで一気通貫)とは別物です。
→ 基本の叩き方。
補足:開発者サイト(developers.zoom.us)のリニューアル
AI Services のトップ導線・ナビゲーションが刷新されていました。過去記事の スクショやメニュー位置が現行と食い違う 可能性があります。本シリーズでも、画面キャプチャは「執筆時点のもの」としてご理解ください。リンク切れを見つけられた際は、コメントで教えていただけると助かります🙏
次回予告
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2本目:1リクエストで完結する新 API —「Speech Summarization × Decisions」
商談音声を Speech Summarization(SSE)で要約し、その結果を Decisions に渡して「受注見込み(score)」「次のアクション(choice)」を 構造化判定 させるパイプラインを作ります。- ⚠️ 事前検証タスク:Speech Summarization の日本語音声対応 と Decisions の日本語入力。ここが通らないと題材を差し替えるので、2本目の冒頭で結果を報告します。
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3本目:Voice Agent(単独)
音声認識+LLM+TTS を一体化したパイプライン(自前 LLM も差し込めます)。Live Scribe(WebSocket)回の続編として繋げます。
まとめ
- Zoomtopia 2026 で AI Services は 新サービスが一気に追加(Speech Summarization / Decisions / Interpreter / Voice Agent など)され、既存 API(Scribe / Translator)も強化 されました
- コードを書く前に ** でノーコード体験** しておくと、「入力→サービス→出力」の地図が頭に入り、実装が速くなります
- Portal の テンプレート選択・引用付き出力 は、そのまま API のパラメータ・レスポンスに対応します
- 新 API は発表時点でいずれも Available now ですが、仕様・画面は今後更新されうるので、実装前に最新ドキュメントでご確認ください
参考リンク
Zoom broadens its developer platform with new AI Services, MCP expansion, and a unified Platform Studio(Zoomtopia 2026 / 開発者向け発表)
AI Services - Zoom Developer Docs
筆者の過去記事一覧 - Qiita







