はじめに
2020年に「Windows 10 May 2020 UpdateでHyper-VやWSL2、VMwareを共存させる」という記事を投稿させていただきました。WindowsにおいてWSL2は(記事執筆当時でも)非常に魅力的でしたが、VMwareと共存できないという制限が長く続いていたのですが、Windows 10 May 2020 Updateで解消されたのでした。
その後、Windowsのバージョンは11になりましたが、VMを他プラットフォームと共用する場合、ホストとしてWindowsのみをサポートするHyper-Vではなく、VMwareを使用したいというニーズは今もあるかと思います。
本記事では、Windows11におけるVMwareのインストールとHyper-VやWSL2との共存について、検証していきます。
VMWare Workstationインストール
初期状態
Windows 11 Pro 21H2 (22000.652)にHyper-V, WSL2をインストールした状態から、WMWare Workstationをインストールしていきます。なお、Hyper-Vのインストールに関しては、別記事にて取り上げています。
VMware Workstationインストール
本稿作成時の最新版(VMware-workstation-full-16.2.3-19376536.exe)をダウンロードし、インストールしました。
ようこそ
使用許諾契約書
互換性のあるセットアップ
Hyper-V(WSL2を含む) または Device/Credential Guard が有効になっている場合、Windows Hypervisor Platform (WHP)をインストールする必要がある(またはHyper-Vを削除する)旨、表示されるので、Windows Hypervisor Platform (WHP)の自動インストールをチェックした上で、次に進みます。
カスタム セットアップ
デフォルトではチェックされていませんでしたが、私は拡張キーボードドライバをチェックして、次に進みました。
ユーザー エクスペリエンスの設定
私は(デフォルトで選択済みになっている)選択肢を両方チェックして、次に進みました。
ショートカット
インストール準備完了
セットアップ ウィザード完了
仮想マシンインストール(Windows 11 Pro)
Windows 11 Proを仮想マシンとしてインストールしました。こちらに関しては、WHPだから何か気を付けなければならない、というポイントは特にありません。これまでと同様の方法でインストールしていきます。
VMware Workstation起動
VMware Workstationを起動して、新規仮想マシンの作成をクリックします。
新規仮想マシン作成ウィザード
ゲスト OS のインストール
インストーラ ディスク イメージ ファイルに、Microsoftのサイトからダウンロードしておいた、Windows 11のISOイメージファイルを指定します。OSの種類の検出に失敗していますが、次に進めましょう。
ゲスト OS の選択
ゲスト OS に Microsoft Windows を指定します。ただし、バージョンには Windows 11 は用意されていないため、ここでは Windows 10 x64 を選択して、次に進みます。
仮想マシンの名前
デフォルトの仮想マシン名が Windows 10 x64 でしたので、Windows 11 に変更しました。筆者はDドライブに仮想マシンを格納していますが、ここは適宜、変更してください。
ディスク容量の指定
マイクロソフトが公開しているWindows 11 の 要件によれば、インストール時に64GB以上の使用可能記憶域が必要ということなので、デフォルトで提示されている(Windows 10 x64向けの)推奨サイズ 60GBでは足りないものと思われます。ディスク容量を適宜修正し、ファイル分割の有無を指定して、次に進みます。
仮想マシンを作成する準備完了
画面には 仮想マシンを作成する準備完了 と表示されています。Windows 11のインストールに必要なカスタマイズが未完了なのですが、いったん完了ボタンをクリックして、終了します。
仮想マシンの設定を編集
Windows 11の この仮想マシンをパワーオンする の下に 仮想マシンの設定を編集する が用意されているので、仮想マシンの設定を編集していきます。まずは、(最初に表示されているハードウェアタブではなく)オプションタブの項目から編集していきます。
オプション
- アクセス コントロール: Windows 11 の要件であるTPM (Trusted Platform Module) 2.0を満たすために、まず、アクセス コントロールから仮想マシンを暗号化します。パスワードを設定し、忘れないようにします。
ハードウェア
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メモリ: Windows 11 の要件では4GB以上となっているので、推奨の2GBでは不足しています。適宜、指定し直してください。
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プロセッサ: Windows 11 の要件では2つ以上のコアとなっているので、適宜、指定し直します。VMの中でもWSL2を使用するというのであれば、Intel VT-x/EPT または AMD-V/RVI を仮想化をチェックする必要があります。
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Trusted Platform Module: 画面下の 追加 をクリックし、Trusted Platform Module を追加します。
ここまで設定したら、OKボタンをクリックし、仮想マシン一覧画面に戻ります。
Windows 11のインストール
この後、仮想マシン一覧画面のWindows 11から この仮想マシンをパワーオンする をクリックすることで、仮想マシンが起動し、(仮想マシン内で何かキーを押すことでCD-ROMイメージからブートし)Windows 11のインストールが行われます。
できあがり
最後はこんな感じでWindows 11上のVMwareでWindows 11を使いながら、WSL2でUbuntu 22.04を使うことができるようになりました。
おわりに
1台の仮想マシンをWindowsでもMacでもLinuxでも持ち運んで使いたいといった用途など、Hyper-VでなくVMwareを使いたい状況はいろいろあるかと思いますが、Windows 11の魅力の一つでもあるWSL2との共存ができるようになったのは、私にとっては本当にありがたい話です。Hyper-VとWSL2の共存問題がWSL2を始めるうえでのハードルになっていた、という方には特におすすめします。それでは。