📚 参考書籍
※この記事は書籍の一部をベースに再構成しています。もう少し踏み込んだ内容(設計や具体例)は書籍の中でまとめているので、気になる方はそちらもどうぞ。
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⚡Azure Databricks入門⚡ IaC設計の基本:TerraformとBicepによる環境標準化と構成管理
Azure Databricksの本番運用では、IaC(Infrastructure as Code)が重要になります。
IaCは単なる構築の自動化ではありません。
環境差分を防ぎ、運用ルールをコードで統制するための仕組みです。
今回は、TerraformとBicepの違いから、本番環境での標準化、State管理、構成ドリフト対策まで整理します。
1. なぜDatabricksにIaCが必要なのか
Databricks環境は、一度構築すると長期間利用されます。
しかし、手作業中心の構築では次の問題が発生します。
- dev / stg / prodで設定差分が生まれる
- 誰が設定を変更したか追跡しにくい
- 障害時に環境を再現できない
- Portalの手動変更でDriftが発生する
特にAzure Databricksは、Azure側のリソースとDatabricks側の設定が組み合わさって構成されます。
そのため、Azureのインフラだけでなく、Databricks内部の設定まで管理することが重要です。
2. TerraformとBicepの違い
Azure DatabricksのIaCでは、主にTerraformとBicepを利用します。
| 比較項目 | Terraform | Bicep |
|---|---|---|
| 対象 | マルチクラウド | Azure中心 |
| 得意領域 | Azure・Databricks横断管理 | Azure基盤の標準化 |
| 状態管理 | Stateファイルが必要 | Azure側で状態を管理 |
| 変更確認 | terraform plan | what-if |
| 活用場面 | 基盤と内部設定 | Azureリソース構築 |
Terraformの特徴
Terraformでは、主に2つのProviderを使い分けます。
- azurerm:Azureリソースを管理
- databricks:Databricks内部を管理
例えば、
azurerm → Workspace作成 → databricks → Unity Catalog設定
という構成です。
AzureとDatabricksを一気通貫で管理しやすいことが特徴です。
Bicepの特徴
BicepはAzure Resource Managerを利用する宣言型IaC言語です。
主に次のリソースを管理します。
- Resource Group
- Databricks Workspace
- Virtual Network
- Storage Account
- Access Connector
- Private Endpoint
- 診断設定
Azure PolicyやRBACと組み合わせやすく、企業のAzure標準をコード化する用途に適しています。
3. IaCで標準化すべき項目
IaCで重要なのは、コードを書くことではなく、何を組織標準として固定するかです。
代表的な項目は次のとおりです。
- 命名規則
- リージョン
- タグ
- SKU
- ネットワーク接続方式
- Access Connector
- ストレージ接続方針
- 監査ログ出力先
- 環境分離ルール
これらが曖昧では、IaCを導入しても環境ごとの差分が残ります。
標準化されたコードを再利用することで、構成の一貫性を高められます。
4. TerraformではProviderとModuleを分離する
Terraform設計では、責務分離が重要です。
例えば、次のModule構成を考えます。
- Azure基盤Module
- Databricks Workspace Module
- Unity Catalog Module
- 権限管理Module
このように分割すると、変更の影響範囲を限定し、レビューや再利用が容易になります。
また、構築順序も重要です。
- azurermでWorkspaceを作成する
- Workspace URLやIDを取得する
- databricks Providerを設定する
- Unity Catalogや権限を構築する
このProvider間の受け渡しが、Terraform設計の重要なポイントです。
5. Terraform Stateを安全に管理する
Terraformでは、Stateファイルが実環境とコードの対応関係を管理します。
Stateを適切に管理しなければ、誤ったリソース変更につながる可能性があります。
本番環境では、次の原則が重要です。
- Azure Blob StorageなどのRemote Backendを利用
- State Lockingを有効化
- dev / stg / prodのStateを分離
- Stateへのアクセス権限を制限
- Stateのバックアップと復旧手順を整備
2026年現在、Terraformのazurerm BackendはAzure Blob StorageによるState Lockingをサポートしています。
また、Stateには機密情報が含まれる可能性があるため、安全な保管が必要です。
6. BicepとTerraformの推奨構成
実務では、主に2つの構成が考えられます。
パターン①:BicepとTerraformを併用
Bicep
- Workspace
- ネットワーク
- ストレージ
- Access Connector
Terraform
- Unity Catalog
- Storage Credential
- External Location
- ユーザー・グループ
- 権限設定
Azure管理チームとDatabricks管理チームの責務を分離しやすい構成です。
パターン②:Terraformで一元管理
- azurermでAzure基盤を構築
- databricksで内部設定を構築
- CI/CDで変更を一元管理
Databricks主体で環境構築を進める組織に適しています。
どちらが正解というわけではなく、組織の運用体制や管理責任に応じて選択することが重要です。
7. 環境分離とDrift対策
IaCでは、dev / stg / prodで同じテンプレートを再利用し、環境差分を変数で管理します。
また、本番環境では次の運用が有効です。
- Portalは原則参照用
- 設定変更はIaC経由
- terraform planで変更内容を確認
- Bicepではwhat-ifを活用
- 例外的な手動変更もコードへ反映
IaCを導入するだけではDriftは防げません。
コードを唯一の管理基準とする運用ルールが必要です。
まとめると
TerraformとBicepによるIaC設計では、次の点が重要です。
- TerraformはAzureとDatabricksの横断管理に強い
- BicepはAzure基盤の標準化に適している
- ProviderとModuleで責務を分離する
- Stateを安全に管理する
- 共通テンプレートで環境差分を防ぐ
- Portalでの手動変更を統制する
IaCの本質は、環境を素早く作ることではありません。
**「設計をコードとして固定し、再現可能で統制された環境を維持すること」**です。
