はじめに
以前作成した差動プローブの周波数・位相特性を測定したいなと考えてて、仕事場の測定器で取得しても良いかなと思っていましたが、使い慣れているFFTアナライザがなくなっていました。
逸般の誤家庭用の測定器を用意しますか・・・
FFTアナライザの購入
いろいろあって小野測器のCF-5220を入手しました。
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/data/cf5220z.html
CF-5220とCF-5220Zの2種類があるようですがCF-5220の方の情報はみつかりませんでした。
chatGPTに聞くと、
CF-5220とCF-5220Zの主な違いは、「表示機能と視認性の向上」です。
CF-5220(おそらくカラー非対応モデル)
Ono Sokki CF-5220は、2チャンネルのFFTアナライザで、音響や振動の高速・高精度解析を行う機器です。追跡解析、リアルタイムオクターブ解析、サーボ解析、音響インテンシティ解析など多彩なオプションを利用可能です。ディスプレイはカラー液晶で「視認性に優れる」と記載されており、最大100 kHz(0.1 MHz)の周波数範囲に対応しています
CF-5220Z(“Z”は強化モデル)
CF-5220Zは、CF-5220の上位モデルと位置づけられており、特に視認性を重視した「10.4インチTFTカラー液晶ディスプレイ」を搭載しています。4画面表示、波形の重ね書き表示やカラーでの識別が可能で、測定データの視覚的理解がしやすくなっています
また、解析性能も高められており、リアルタイム分析レンジが最大32 kHz、ダイナミックレンジ90 dBという高スペックを実現。カーブフィット機能、高調波リスト表示、高解像度解析なども装備しています
結論まとめ
モデル 主な特徴
CF-5220 基本的な2ch FFTアナライザ。高精度・高速解析、多機能オプション対応。表示はカラー液晶ながら詳細不明。
CF-5220Z 大型TFTカラー液晶(10.4インチ)、視認性強化。高性能なリアルタイム解析レンジ、ダイナミックレンジ、解析精度など全体的に向上。
要約すると、CF-5220Zは表示性能と解析精度・操作性を強化した上位モデルです。もし用途に「視認性」や「詳細解析を視覚的に把握すること」が含まれる場合は、CF-5220Zの方が有利です。
素のFRF解析の確認
外部発信器でSin波を出力して、CH1、CH2に入力します。
周波数特性分析器(FRA)で無いので周波数スイープさせながらFRF解析ができないので手動で発信器の周波数を設定して、FFTアナライザのカーソルを使って発信器と同じ周波数にカーソルを合わせてゲインと位相を記録します。
その周波数毎のゲイン・位相のデータをグラフ化したものがこちらです。
50kHzまでゲインと位相はほぼフラットですね。
ゲイン(利得)、フェーズ(周波数)の取得方法
周波数位相特性の取得は以下の手順で行います。
1、周波数発生器に周波数を設定する
2、FFTアナライザの設定
DISPLAY -> CH A:TIME
DISPLAY -> SECOND
DISPLAU -> CH B:TIME
CH AとCH Bの入力設定をおこなう(AC/DCレンジ、入力レンジ)
下写真の様にCH AとCH Bの波形が確認できます。
3、周波数位相特性の取得
DISPLAY -> FRF
DISPLAY -> SECOND
DISPLAY -> PHASE
COMMAND -> AVG
COMMAND -> START
STARTボタンを押下すると測定が開始して10回のアベレージ処理を行います。
PAUSE LEDが点灯したら、CURSOR & SCALE -> SEARCH で、ノブを回して周波数発生器で設定した周波数にカーソルを合わせます。
下写真は1kHzに合わせてゲインは-20.11dB、位相は-0.14deg が読み取れます。
4、周波数ステップについて
周波数を刻むときはデケード(decade)という対数スケールで使う単位を刻みますが、値をセットするのがめんどくさいので、今回は適当に1,2,5,10で振りました。
等比数列の一般項の式は以下になります。
例:6ステップ/デケード(粗め)
$𝑀=6+1=7$
刻み比 $𝑟=10^{1/6}≈1.467799$
周波数リスト(kHz)
1.000
1.468
2.154
3.162
4.642
6.813
10.000
という感じに6ステップで対数スケールを設定する場合は上記の数値を使用します。
(10kHz〜100kHzは、x10倍する値を使用します)
本題の差動プローブの結果は・・・
接続図
信号発生器の出力をFFTアナライザのCH Aおよび差動プローブ(EUT)の入力端子に接続します。
信号発生器のFG端子とEUTのGNDを接続しているのは、信号発生器がバッテリー駆動でアースから浮いているためです。
この状態だと差動プローブの出力に商用周波数ノイズが重畳してしまうため、ノイズ対策として両者を接続しています。
結果はこちら
差動プローブのアッテネータは1/10と1/100の2種類があるため、それぞれで測定を行いました。
1/10が-20dB、1/100が-40dBなので、0.01dBの位がパラパラしている程度なのでグラフ上は結構動いているけど、波形で見る分は全然問題ないレベルですね。
位相も、10kHz ±12VのDCC信号が観測できれば良かったので、問題ないレベルでした。
計装アンプはAD8421を使用していますので、2.2MHzまで行けるのですがFFTアナライザの最大が100kHzまでなのでこれ以上の周波数は見られませんが、3dB落ちるまではまだ余裕がありそう。
最後に
内容あっていますかね?(^^;