はじめに
DCC(Digital Command Control)で使用する電力線通信信号とマイコンの波形をオシロスコープで同時に波形を観察する場合、信号線のコモンの違いからDCC信号は差動プローブで観測、マイコン信号はパッシブプローブでの観測が必要になります。
パッシブプローブは安価で購入できますが、差動プローブとなると数万円出さないと購入できません。
と言うわけで安価な差動プローブを自作してみました。
現在の進捗
2024/10/28 Elecrow にガーバーデータ提出
2024/10/30 LCSC に使用する部品を発注(色々)
2024/11/02 Aliexpress に使用する部品を発注(コネクタとBNCケーブル)
2024/11/06 Aliexpress からBNCケーブルが到着
2024/11/07 LCSC から部品が到着
2024/11/08 Elecros から基板とステンシルが到着
2024/11/09 リセットICをプッシュプルタイプを買っていたので再手配
2024/11/17 リセットICをオープンドレインタイプに交換し正常動作
分圧抵抗を買い忘れていたのがあったけど大きさが違う抵抗を取り付け
とりあえず動いた。
スペック
設計方針は、安価に作られるように考慮、100均一のケースに納める、計装アンプを使用して部品点数低減、9V電池駆動
計装アンプ
秋月電子で入手できる計装アンプ AD620ANZ 2780円 帯域1MHz、CMRR 90dB、入力バイアス電流 2nA または、LT1167 1240円 帯域 1MHz、CMRR 90dB、入力バイアス電流 0.35nA
部品はLCSCで購入しますので AD620ARZ-REEL7、AD8421ARZ-R7 を選定
AD620ARZ-REEL7 帯域1MHz、CMRR 90dB、入力バイアス電流 2nA
AD8421ARZ-R7 帯域1MHz、CMRR 94dB、入力バイアス電流 500pA
ピンアサインが異なる2種類の差動アンプが実装できるようにする。
このシリーズでグレードが高いタイプが購入できれば、帯域は10MHzまで広げられます。
https://www.lcsc.com/
周波数帯域
10kHz ±12VのDCC信号が観測できれば良いので、帯域は5倍して50kHzを目指す。
使用する計装アンプのスペックになると思いますが、使用する計装アンプのスペックによりますね。
とりあえず、周波数帯域 1MHz
入力
DCC信号は±12Vくらいなので、デバイダー比は 1:10 で十分ですが、商用AC100Vがついでに見ることができても良いかなと言う事で、1:100。
抵抗デバイダ部 1 : 100 9.9MΩと100kΩの分圧比としたが、抵抗の本数が多くなるので、4MΩと40.2kΩにした。
コンデンサ部 5.5pF : 550pFとした。
【参考資料】正しい波形が観察できるプローブの回路はどっち?
https://cc.cqpub.co.jp/system/contents/1246/
計測レンジ
計装アンプ側に1倍と10倍のゲイン切り替えを実装
・AC100V時 →1:100 → AC1V(±1.41V) → 1倍→ AC1V(±1.41V)
・±12V時 →1:100 → ±0.12V →10倍→ ±1.2V
計装アンプのRg端子に抵抗値を変えてゲインを変更
電源
9V電池 or DC12V ACアダプタ
レールスプリッタ TLE2426CLPR で仮想COMを用意し、±4.5V電源を作る
9V電池が接続された状態で外部電源が誤って接続されても、9V電池を充電しないように逆流防止ダイオードを実装。
電源監視
リセットICを使って9V電池終始電圧5.6V以下になったらLOWER LED点灯
電源スイッチがONになったら、POWER LED点灯
計装アンプの入力保護回路
大きさ
100mm x 66mm x 21mm
コネクター
計測電圧入力部:2EDGK-3.81-2P + 2EDGR-3.81-2P 2EDGK 2EDGR
計測電圧出力部:RG58,RG316 の同軸ケーブル直接ハンダつけ
基板のアートワーク
基板の大きさは、95mm x 57mm
分圧抵抗部分は基板にスリットを開けて気休めの耐圧確保
計測部分は両面ベタアース(賛否両論ありますが・・・)
レジストの色は黒、シルクは白色とした。
到着した基板
到着した部品
到着したステンシル
レールスプリッタ動作確認
シールド線接続部確認
RG316のシールド部分をねじねじしてハンダあげ。
シールド用パッドに半田付けして芯線も半田付け。
結束バンドで固定するのですが取り付けられることだけ確認
ルータカット部
今回入れたルータカットですがアートワーク時にカドを直角にして大丈夫かなとちょっと思っていました。
結果角の座標にルータードリルの中心が一度開けるようなので基板のような感じになるようです。
なので直角で切り抜かないでRを付けると良さそうですね。(データは直した)
0805サイズの390Ω
手元にないので大きさが違うけど390Ωを無理やり実装。
1MΩが誤差±1%なので4つ直列時に3.82MΩだった(精度の良くないハンディDMMで測定)
低圧部は40kΩ
よって、0.010362倍(1/103.62)もうちょっとぴったりにしたいね。
組み立てづらい
基板とケースがぴったりなので組み立てられない課題
ケースを思いっきり引っ張りながら押し込みました。