目次
1.はじめに
2.E資格とは
3.E資格を取ろうと思った理由
4.JDLA認定講座
5.受験にかかった費用
6.勉強方法
7.試験本番
8.合格後に思うこと
9.今後
はじめに
2025年9月19日、E資格の合格通知がメールにて届きました。人生でこんなに大変な試験はもう受けることも無いと思います。これから取得を目指す方にとって少しでも参考になればと思い、体験記として残そうと思います。
私の属性
- メーカー勤務の研究職
- 要素研究や技術開発をする中で、機械学習も扱っています
- 保有資格:G検定、データサイエンティスト検定(E資格受験前)
私は数年前まで、完全なるAI未経験で、AIどころかプログラミングさえもやったことがなかったのですが、気づいたらどっぷりとAIに関わる人生を送るようになっていました。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)今では本業での研究開発やマナビDXQuestのサポーターとしてスキルを活かして活動しています。
E資格とは
E資格とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定する、ディープラーニング(深層学習)を適切に実装する能力を持つAIエンジニアであることを証明する資格です。E資格を取得するには、まずJDLAの認定プログラムを受講修了し、ディープラーニングの応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境などに関する幅広い知識と実装スキルを証明する必要があります。(生成AI回答)
…ということで、この資格を取ることによって、機械学習だけでなく深層学習に対しての深い知識やPythonを用いた実装スキルを有していることを証明できます。G検定はジェネラリストであるのに対して、E資格はエンジニアという位置づけですね。
合格率
合格率はどのくらいかと言うと、▼こんな感じ

(JDLA公式サイトより引用)
2018年から2025年#2までの統計データで見ると約70%の合格率になっています。(詳細はJDLA公式サイトをご覧ください)数字だけみると案外高いように見えますが、それは罠です。試験自体の難易度はめちゃくちゃ高いので容易に受かるものではありません。E資格を受けるような方は、一定のハードルを超えたガチ勢が多いため自然と合格率が高めになってしまうのだと推測しています。
E資格を取ろうと思った理由
去年くらいまではそんなに資格にも興味がなく、仕事ができればいいやという考えだったのですが、AIエンジニア、データサイエンティストの方との関わりが増えていく中で刺激を受け「資格っていいのかも」と思うようになったのがきっかけです。
最初からE資格はハードルが高いので、まずはG検定を取り、次にデータサイエンティスト検定をはさみ、そして、いつかはE資格に挑戦しようという想いでした。
資格取得時系列
| 資格名 | 取得日 |
|---|---|
| G検定 | 2024年9月4日 |
| DS検定 | 2025年1月8日 |
| E資格(New) | 2025年8月31日 |
この記事を書いていて気づきましたが、ちょうど1年で目標が達成できているんですね
JDLA認定講座
上記のように誰でもというわけではなく、JDLAが認定した講座をきちんと修了した人だけが受験することができます。(これも受験ハードルが高い理由)
その認定講座にもいろいろあって、様々な民間企業が独自の教材でE資格合格を目指した講座を展開しています。しかも、どれも数万円~十数万円という有料講座の中でも高額な部類かと思います。(受験資格を得るためにこんなに高額を払わないといけないなんてつらいですよね…)
選択した認定講座
その中でも私が選択したのはAVILENです。合格率が高いということで割と単純に決めました。

(AVILEN公式サイトより引用)
選択したプラン
ここはちょっと悩んだところです。ある程度機械学習をやっているので、E資格講座のみかスピードコースかなぁと最初は考えました。ただ、やっぱり落ちたくないですし、せっかく受けるなら機械学習まできちんと復習しようと思い、全人類がわかる機械学習講座+全人類がわかるE資格講座【Pytorch版】のセットを申し込みました。
受験にかかった費用
合計:230,230円
- 講座代 :168,300円
- 全人類がわかる機械学習講座+全人類がわかるE資格講座【Pytorch版】
- オンライン模試:16,280円
- 参考書代1 :6,050円(黒本)
- 参考書代2 :6,600円(白本)
- 受験料 :33,000円
私が勤務している会社はIT系でもなく、E資格の前例などあるはずもなかったのですが、この費用を全額負担してくれたのはめちゃくちゃありがたかったです。その分プレッシャーもありました。
勉強方法
申し込みを済ませたら早速勉強開始です。
狙うは2025年8月度の試験。2月末に申し込みを済ませたので、3月から学習をスタートさせたいと思っていました。機械学習の基礎知識には多少自信がありましたが油断は禁物。
以下の流れで勉強計画を立てました。
結果的にはほぼ計画通りに学習を進めることができましたが、特に気を付けた点は何事も早めに取り掛かること。AVILENが推奨する学習スケジュールを出してくれているのですが、常に前倒しで進めることを心がけました。おそらく通常パターンよりも2か月くらい早く講座を修了し、残りの時間をフルに試験対策に使えたことが合格に繋がったのだと振り返ります。
勉強時間
細かく記録を取っていたわけではないのでおおよその時間ですが
- 平日:3~4時間
- 休日:6~7時間
くらいは勉強していたので、6ヶ月で少なくとも700時間は費やしたかと思います。
修了条件
当然ですが、講座を無事に修了しなければ本番の受験資格が得られないので、最優先で修了を目指しました。AVILENの場合、以下の4つに合格する必要があります。
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コーディング演習
Pythonの部分的なコーディングを行う課題です。CNN、RNN、LSTM、GANなど様々なタスクにおいて課題が出されます。初学者は面食らうかもしれませんが、講師の方が丁寧な解説をしてくれる動画が見れるのでヒントはたくさん得られます。ただ、課題の数は結構多いので早めに着手した方が絶対にいいです。結構大変でした。
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プロダクト開発演習
Pythonで実際に何らかのモデルを開発をします。テーマはなんでもいいのですが、予め参考テーマが用意されているのでその中から選択することも可能です。私は比較的簡単と言われているCIFAR-10の分類モデルを選択しました。
全くコーディングができないと少々つらい課題とは思いますが、何をやっていいかわからない人でも、生成AIなどのアドバイスを基に進めることもできるので頑張れば合格できると思います。
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修了試験_5科目(機械学習)
機械学習分野は最初の1か月でサクッと終わらせました。何度も挑戦できるので合格は難しくありません。
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修了試験_深層学習
最難関と言われる最終試験。チャンスは2回。7割以上の得点率で合格となります。1回目で受かる人、2回目で受かる人は50:50くらいらしいです。(3回目からは有料になります)
私の場合、様子見も兼ねて60%くらいの準備で1回目を受験しましたが、やっぱり落ちました。正直かなり難しく、生半可な理解では合格できそうになかったため、1週間しっかり復習を行いなんとか2回目で合格することができました。AVILENの修了試験は難しいと聞いていたのですが、まさにその通りでした。
修了試験後の学習
AVILENの修了試験は難易度が高く、修了できれば本番も合格できるとよく言われますが、正直私はまだいける気がしていなかったため、残りの2か月間でしっかり対策を行いました。
E資格では特に理論を深く聞いてくるということなので、「覚える」ではなく「理解する」を大事に学習しました。AVILENの公式教材は穴が開くほど何度も読み返したのと、それ以外のものでは以下の教材を使用しました。
- 書籍
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ゼロから作るディープラーニング①
本書は以前から持っており読了していたので、わからなくなったときに辞書的に使う形でした。AVILEN教材の中でも本書を基にしたコードが出てきます。絶対に読んだ方がいい、というか必須アイテムです。
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ゼロから作るディープラーニング②
本書も持っていましたが全部は読んでいなかったので、今回を機に最初から読み直しました。RNNやLSTMの構造についてかなり詳しく理解できたと思います。できればこれも読むことをおすすめします。
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深層学習教科書 ディープラーニング E資格精選問題集 (白本)
私は必須ではないと思う本です。現状、想定問題集として出ているのは黒本と白本ですが、黒本はシラバスが変わりすぎているのでほぼ使いませんでした。パラパラめくってふーん、て眺めただけです。本書はレビューでよく言われていますが誤植が多いです。下の方で詳しくコメントしています。早くシラバスに完全対応したまともな問題集が出て欲しいものです。
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ゼロから作るディープラーニング①
- その他
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ChatGPT壁打ち
これが理解の補間にかなり役立ちました。「〇〇についての仕組みを教えて」から始めて、自分が納得するまで何度も質問を繰り返すことができます。私はChatGPT-Plusを使用していたのでハルシネーションは感じず、安心して壁打ちすることできました。講師に対して質問することも可能なのですが、返信に1日程度時間がかかる場合があるので、よっぽどでない場合以外はChatGPTに頼り切りでした。
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インターネット記事
自然言語処理、特にTransformerの構造についてはこちらの記事【Transformerの基礎】Multi-Head Attentionの仕組みを参考にさせてもらいました。めちゃくちゃわかりやすくて、この説明を聞いてからアーキテクチャ全体のイメージと共に頭にしっかり定着したのを感じました。(今はYouTube版が無くなっているようです)
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ChatGPT壁打ち
参考リンク
白本についてよく言われること
Amazonのレビューを読んでいただければわかると思いますが、かなり誤植が多いです。単なる誤字脱字だけでなく、解説の内容が間違っているなど致命的なミスもあります。ある程度理解した人なら気づけるとは思いますが、初学者が最初にこの本で勉強するのはおすすめしません。一方で、解説のボリュームはしっかりしているので、AVILENの教材で理解しきれなかった部分を補間するのに役に立ちました。工夫した勉強法
一番の工夫点は自分なりのノートを作ることでした。ノートと言ってもデジタルノートです。👉Amazon Kindle Scribe
AVILEN教材、あるいは調べたことを自分なりに理解し、改めてノートに書き起こすこと。その際、なるべく1ページに収まるように情報を取捨選択し、簡潔に書くことです。それをPDFでPCに送って紙で印刷したり、iPadで閲覧。(Kindle単体だとページ送りがちょっとやりづらいので)そうすることで、あとで振り返りやすくすごく復習しやすかったです。なんだかんだ、気づいたら90ページくらい書いていました。

本番1ヶ月前
修了試験からおよそ2週間の勉強を経て、本番1ヶ月前の実力を測るべくオンライン模試を受けました。結果は…


1090点中、890点で十分合格圏内であることがわかり、少しほっとしました。一方で、苦手分野の数学の得点率が低かったです。(実装では計算問題解くわけじゃないのでやりたくないんですけどね…)
ここで安心して手を緩めるのも怖いので、本番まで同じペースで勉強は続けました。とにかく反復。いつも間違える問題、正解しても説明できない問題、数式の理解など、自分の中の不安要素が消えるまで修行のように繰り返しました。この本番までの残り1か月間がすごくつらかったです。詰め込めば詰め込むほど、前の知識が抜ける感覚。もう今すぐ受験したいとさえ思いました。
本番2日前
最後の大詰め。予め有給休暇を取っていました。
普通、2日連続で休みを取ることはあまりないのですが「E資格の対策をしたいので」と上司に伝え理解をいただきました。
やったことは、今まで疎かになっていた分野の補間、解いた問題の最終チェックなどです。このタイミングで頑張ってもしょうがないかもと思いましたが、最後まで油断せずできることはやろうと思い詰め込みました。意外と抑えていなかった部分に気付くことができたので、一定の効果はあったと感じます。
試験本番
本番当日は特に何もしませんでした。今までやってきたことを信じようと思ったので。
身分証明書のチェックと遅刻しないように気を付けたくらいです。30分前に会場に着いたので、予定よりもちょっと早めに試験を受けることができました。「半年間、この日のために頑張ってきたから絶対大丈夫!」と自分に言い聞かせ、いざ開始。
試験受けてみて
ぶっちゃけ「落ちたかも」としばらくショック状態でした。思ったほど手応えがなかったからです。もしかすると50%くらいかも…?とかなり弱気。思い出すほど間違った箇所に気づき、あれも間違ったんじゃないか、これも間違ったんじゃないかとネガティブな思考に陥って何も手につきませんでした。
難易度的には、AVILENの修了試験よりも難しく感じました。まぁ、初めて修了試験を受けたときも同じくらい難しいと思ったかもしれません。何度も解き直ししたことで過学習していた部分は多少あります。修了試験と同じくらいの難易度と聞いていたので「話が違うよ…」と言いたくなりました。
合格通知
よかった。本当によかったです。
憧れ続けたE資格が取れたんだと。資格が取れたことももちろんうれしいですが、半年間毎日勉強を続けてこれたこと、途中で投げ出さなかった自分を褒めたいと思いました。
いやただ、相変わらず応用数学が低くて恥ずかしい。講座の中では、毎年計算問題は減ってきているから深層学習を優先しましょう、的なことを聞いていたので、ぶっちゃけ油断していました。とはいえ、ちゃんと対策していなかった自分の責任なので少し反省しています。
合格後に思うこと
E資格を通して得たもの
確実にスキルは身についたと感じます。
仕事上、AIには触れていたのですが、ここまで体系的にAI全体について学ぶ機会が得られたのはとても貴重な経験でした。E資格のコンセプトが、AIエンジニアとしての知識やスキルを習得することなので、一連の学習を通してそれを体感できたことは私にとっても財産となりました。
私自身も付け焼き刃の知識ではなく、現場で使える本当のスキルを得たかったので、納得いくまで突き進んだ過程が合格にうまく結びついたのだと振り返ります。
AVILENはどうだったか
いろんな認定講座がある中で、AVILENを選んだことは大正解でした。
宣伝通り合格率が高い理由も頷けます。テキスト、動画、コード解説など、どれも質が高く申し分ありません。修了試験に合格したあとは、過去の修了試験を何度も解くことができる点も大変ありがたかったです。結果的に、試験に対するトレーニングとしては、ほぼAVILEN講座内の練習問題だけに頼った形になりましたが、十分合格できるレベルと感じました。(一応、白本も2周したのですが、実際に点数に繋がったかは微妙です)
それと、CTOの吉川さんの説明がめちゃくちゃわかりやすくて、セリフを覚えちゃうくらい何度も何度も繰り返し動画を視聴しました。特に、オンライン模試の全ての問題に対して解説してくれた動画はまさに神です。
本当にお世話になりました。
今後
ようやく自信を持って「AIを作ってます」と言える気がしています。
今までもそれなりに信念や熱意を持って取り組んできたので、そこの品質は変わらないですが、今まで以上に良いものを作っていきたいなと、そういう気持ちです。
これをきっかけに自社でも新たな道を切り開いていきたいですね。ファーストペンギンとして。





