はじめに
「業務のふりかえりは大事」と分かっていても、いざ一人でやってみると時間ばかりかかり、結局モヤモヤが残る──そんな経験はありませんか?
私自身、これまで様々なふりかえり手法を試してきましたが、最近はNotion AIを活用することで、効率的かつ深い内省ができるようになりました。本記事では、Notion AIを使った業務ふりかえりの実践ノウハウと、その効果をご紹介します。
結論 : Notion AIで「ふりかえり」の効率と深さを両立できた
Notion AIを活用すれば、日々の業務ふりかえりは 「できる」 だけでなく、深い内省と実用的なアウトプット の両立が可能です。ただし、延々と続く“内省の沼”にハマらないためには、AIへの指示方法 と タイムボックス(時間制限) の徹底が鍵となります。
特に「時間制限付きの対話型プロンプト」と「AIによる最終整理」を組み合わせることで、心理的安全性を確保しつつ、実践的な成果を短時間で得ることができました。
なぜ「内省の沼」にハマるのか?
AIとの対話が心地よすぎる問題
最近の生成AIは、ユーザーに問いかけを繰り返し、内省をどこまでも深めてくれます。新しい気づきもどんどん与えてくれるので、気づけば「無限ループ」に陥りがちです。
たとえば…
私:「今日のプレゼン、もっとうまくできたかも…」
AI:「どの部分が改善できたと思いますか?」
私:「構成かな…いや、話し方も…」
AI:「具体的にはどんな風に?」
(以下、無限ループ)
実際、四半期の振り返りで「本当は30分の予定が90分もAIと対話してしまった」「思考は深まったが、散らかったまま終わった」などの失敗も経験しました。
解決策:時間制限付き対話+AI整理術
ポイント1:AIに「タイムキーパー」をお願いする
AIにタイムキープまで任せてしまえば、内省を適切なタイミングで終わらせることができます。
実際のプロンプト例:
今から15分間、私の振り返りの壁打ち相手になってください。
以下のルールを厳守してください:
1. 時間配分
- 0-5分:今日の出来事の整理(3つの質問まで)
- 5-10分:気づきと学びの深掘り(2つの質問まで)
- 10-15分:明日への具体的アクション設定
2. 各フェーズで「残り○分です」と教えてください
3. 15分経ったら「時間です。最後にまとめをお願いします」と促してください
4. philosophical(哲学的)になりすぎず、実践的なアドバイスを心がけてください
ポイント2:「好き勝手話した後の整理」をAIに任せる
AIの最大の強みは、「思い出すコストが人間より圧倒的に少ない」こと。
やり方はシンプル:
- とりあえず思いついたことを全部吐き出す
- 構造化や整理は後でAIに丸投げ
- その安心感から、本音や深い気づきが出やすくなる
プロンプト例:
【ステップ1:ブレインダンプ(10分)】
今から10分間、今日の振り返りを自由に話します。
構造は気にしないので、相槌を打ちながら聞いてください
【ステップ2:AI整理(5分)】
今までの内容を以下の形で整理してください:
1. 主な出来事(3つ)
2. 重要な気づき(3つ)
3. 明日のアクション(3つ)
4. 一言サマリー
実践例:ある日のふりかえりセッション
このテクニックを活用すると、どんなふりかえりになるのか?
実際の対話例(ブレインダンプ方式):
私:「今日はもう色々ありすぎて…朝の会議でプレゼンしたけど、反応イマイチだったし、でも午後の1on1は良かった。あ、そういえば新人が面白いアイデア出してきて…(以下、とりとめなく10分)」
AI:「10分経ちました。内容を整理します。
【主な出来事】
1. 朝の会議でのプレゼン(反応は控えめ)
2. 午後の1on1(手応えあり)
3. 新人からの新しいアイデア提案
【重要な気づき】
1. プレゼンの構成より、聴衆分析が不足していた
2. 1対1の対話の方が深い議論ができる
3. 新人の視点が組織に新鮮な風を吹き込んでいる
【明日のアクション】
1. プレゼン資料を聴衆視点で見直す(30分)
2. 重要な提案は事前に個別説明を実施
3. 新人のアイデアを具体化するミーティング設定
【一言サマリー】
集団より個の対話を重視し、多様な視点を活かす一日」
なぜこの方式が効果的か
- 心理的安全性:「きれいに話さなきゃ」というプレッシャーがなく、本音が出やすい
- AIの強み最大活用:人間は感情や直感を含めた生の情報を提供し、AIは論理的な構造化と要約を担当
- 時短効果:自分で整理する時間が不要なのに、深い振り返りができる
自分にとってNotion AIが「ふりかえり」に適していた理由
Notion AIは、単なるテキスト生成だけでなく、ワークスペース全体の情報構造や過去の文脈を理解しながらサポートしてくれる点が他のAIツールと比べた強みです。
たとえば、
- 過去の記録をいつでも参照できる
- プロジェクトやチームの文脈を踏まえた対話ができる
- 関連する過去の気づきを引用してくれる(記憶の補強)
そのため、継続的な改善サイクル(PDCA)が自然と回るだけでなく、整理された振り返り内容をそのままチーム共有資料としても活用できます。
まとめ:AIは効果的な「整理整頓パートナー」
「人間は感じて話し、AIは壁打ち相手&タイムキーパー」という役割分担を定義することで、深い内省と実用的なアウトプットの両立が実現できました。
成功の3原則:
- 時間制限を明確に設定(ダラダラ防止)
- 好き勝手話してOKという心理的安全性(本音を引き出す)
- AIによる構造化で実用的な成果に(散らかったままにしない)
Notion AIは振り返りに便利なツールの一つですが、万能ではありません。他のツールと比較検討したり、自分に合った使い方を見つけることが大切です。思考の発散と収束を効率的に行えるこの方法、ぜひ試してみてください。