はじめに
IBM Application Modernization Accelerator(AMA)のDiscovery Toolを使用して、Db2データベースのSaaS移行アセスメントを試してみました。
今回は検証用のDb2環境を用意し、Discovery Toolの実行方法と、AMAで確認できる情報を紹介します。
なお、今回実施するのはDb2の移行そのものではなく、SaaS移行を検討するための事前分析です。
AMAとは
IBM Application Modernization Accelerator(AMA)は、既存のアプリケーションやミドルウェア環境の情報を収集・分析し、モダナイゼーションやクラウド移行の検討を支援するツールです。
Discovery Toolを対象環境で実行することで、構成情報や依存関係、移行時に確認すべき項目、複雑さ、推定対応工数などを可視化できます。
(AMAの画面の例)
今回は、AMAを使用してDb2環境を分析し、Db2 SaaSへの移行時に考慮すべき項目を確認します。
検証環境
主な検証環境は以下のとおりです。
- OS:CentOS Stream 10
- Db2:Db2 12.1.5.0
- Db2インスタンス:
db2inst1 - 対象データベース:
AMADB - AMA Discovery Tool:4.6.0
- CPU:4コア
- メモリー:7.5 GiB
Db2上には検証用として、テーブルやビューを含むSALESスキーマを作成しました。
本記事では検証目的でCentOS Stream 10を使用しています。
本番環境で使用する場合は、Db2およびAMAの最新のシステム要件を確認してください。
Discovery Toolのダウンロードと配置
事前にAMAの環境を構築し、ワークスペースを作成しておきます。
AMAの環境構築方法については、以下の記事を参照してください。
参考:IBM Application Modernization Acceleratorを構築してみた
ワークスペースを作成したら、ソースOSとしてLinuxを選択し、Discovery Toolをダウンロードします。
ドメインには、今回のスキャン対象であるIBM Db2を選択します。
ダウンロードしたDiscovery ToolをDb2サーバーへ転送し、db2inst1ユーザーの作業ディレクトリーへ展開します。
mkdir -p /home/db2inst1/ama-work
tar xvfz DiscoveryTool-Linux_db2test.tgz \
-C /home/db2inst1/ama-work
展開したディレクトリーへ移動します。
cd /home/db2inst1/ama-work/ama-discovery-4.6.0
以降のコマンドは、Db2インスタンス所有者であるdb2inst1ユーザーで実行します。
Db2への接続確認
Db2インスタンスが停止している場合は起動します。
db2start
対象データベースへ接続できることを確認します。
db2 connect to AMADB
db2 connect reset
Db2スキャンの実行
AMAの画面で分析対象としてIBM Db2を選択すると、Discovery Toolを実行するためのコマンドが表示されます。
今回の環境では、次のコマンドを実行しました。
./bin/ama-discovery --db2 AMADB
実行途中でライセンスへの同意が求められるため、内容を確認してyesを入力します。
今回のスキャンでは、主に以下の情報が収集されました。
- Db2のバージョンとインスタンス情報
- データベース構成
- OS、CPU、メモリー情報
- データベースサイズ
- テーブル、ビュー、プロシージャーなどの情報
- HADR、ログアーカイブ、バックアップの設定
- DB CFG、DBM CFG、レジストリー変数
スキャン結果のアップロード
スキャンが完了すると、今回の環境ではAMADB.zipが生成されました。
ls -lh AMADB.zip
AMAとDb2サーバーが別の環境にある場合は、ZIPファイルをAMAへアクセスできる端末へ転送します。
scp db2inst1@<Db2サーバー>:<AMADB.zipの絶対パス> .
アップロードと分析が完了すると、対象データベースの分析結果が表示されます。
分析結果
今回の環境では、移行の複雑さは「中程度」と評価されました。
分析結果には、Db2 SaaSへの移行時に確認または対応が必要となる可能性がある項目が表示されます。
表示された項目の具体例は以下の通りです。
(ここに記載した以外にも色々な項目が表示されていました)
- リソース構成
- 現行環境のCPU、メモリーや、現在の環境に応じた適切なデータベースサイズが表示されました。
- 廃止機能と非推奨機能
- Db2の過去のバージョンで廃止または非推奨となった機能が表示されます
- バックアップ
- バックアップとリストアがサポートされることと、最低14日分のバックアップ保持が推奨事項として表示されました。
まとめ
今回は、IBM Application Modernization AcceleratorのDiscovery Toolを使用して、Db2 SaaSへの移行アセスメントを実行しました。
Discovery Toolを利用することで、以下のような情報をまとめて確認できました。
- Db2とOSの構成情報
- CPU、メモリー、データベース容量
- DB CFG、DBM CFG、レジストリー変数
- 廃止機能と非推奨機能
- バックアップに関する情報
- 移行の複雑さと推定対応工数
実行コマンドはシンプルで、Db2へ接続できる環境とDiscovery Toolを用意すれば、比較的容易に分析を開始できました。
AMAは移行を自動的に行うツールではありませんが、Db2 SaaSへの移行を検討する際に、現行環境と追加調査が必要なポイントを整理するための初期アセスメントとして活用できそうです。






