📺 この記事は YouTube チャンネル きなこもっちーのテック深掘り の動画解説記事です。
▶️ 動画はこちら → AIの「人格」は言語で変わる?Anthropicが突き止めた系統的な差の正体
🐹🦜 この記事に登場する2匹
- 🐹 もっちー (ハムスター)… AI はまだ勉強中。「それどういうこと?」と素朴に質問する生徒役
- 🦜 きなこ (セキセイインコ)… AI で調べものをこなす解説役。やさしく深掘りして教える先生役
この記事は2匹の掛け合いを書き起こした形式です。発言の先頭にいる絵文字+名前が話者です。
はじめに
🐹 もっちー「ねえきなこ、この前同じ質問をClaudeに英語と別の言語で投げてみたことがあるんだけど」
🐹 もっちー「片方はめちゃくちゃ優しく背中を押してくれたのに、もう片方は容赦なくダメ出しされて、正直びっくりしたんだよね」
🐹 もっちー「AIってどの言語で聞いても、いつも同じ答えを返すもんでしょ?性格とか、あるわけないし」
🦜 きなこ「実はそれ、ちょっと違うんだよね」
🦜 きなこ「同じClaudeでも、話す言語やモデルのバージョンによって、応答の態度が系統的に変わるってことを、Anthropicが実データで示したの」
🐹 もっちー「え、AIなのに性格が変わるの!?そんなことある!?」
🐹 もっちー「だってAIって、誰に対しても中立に、同じように答えてくれるものだと思ってたよ」
🦜 きなこ「Anthropicが30万件以上の会話を分析して、AIの人格が言語とモデルのバージョンで系統的に変わる仕組みを突き止めたの」
🦜 きなこ「その差を自分でコントロールする方法まで、今日は順番に見ていくよ」
🐹 もっちー「待って、それって仕事でAI使ってる人みんなに関係あるやつじゃない?」
🦜 きなこ「普段使ってるのが日本語なのか英語なのか、それだけでもAIとの付き合い方が変わってくるかもしれないの」
🦜 きなこ「そうなの。普段何気なく使ってるAIの応答が、実は言語やバージョンで裏側から操られてるかもしれないってことだから」
🐹 もっちー「よし、聞かせて!めっちゃ気になる!最後まで絶対聞くから、始めよう!」
研究の規模と手法
🐹 もっちー「そもそもさ、その研究ってどれくらい本気でやったやつなの?なんかふわっとしたアンケートとかじゃないよね?」
🦜 きなこ「全然ふわっとしてないよ。2026年7月13日に発表された研究のタイトルは「Claude's Values Across Models and Languages」っていうの」
🦜 きなこ「2026年5月の2週間で集めた、30万9,815件の実際の会話を分析対象にしてるの」
🦜 きなこ「内訳もちゃんとしてて、Sonnet 4.6・Opus 4.6・Opus 4.7の3モデルと、上位20言語から、1モデル・1言語あたり約5,000件ずつ均等に集めたんだって」
🐹 もっちー「5,000件×3モデル×20言語って、めちゃくちゃ緻密に設計されてるんだね」
🐹 もっちー「30万件!?それって全部人間が読んだの?プライバシーは大丈夫なの?」
🦜 きなこ「そこは工夫されてて、人間が直接読むんじゃなくて、Clioっていうプライバシー保護ツールでAI自身に評価させてるの」
🐹 もっちー「AI自身が評価するの?それはそれでちょっと不思議な感じだね」
🦜 きなこ「確かにね。それでも研究者が生の会話を大量に読むリスクを避けられるから、プライバシー保護の観点では優れた方法なんだよね」
🦜 きなこ「そこは後半で批判点としても触れるね。まずはこの研究、いきなり出てきたわけじゃないの」
🦜 きなこ「2025年4月に発表された「Values in the Wild」っていう先行研究が土台になってるんだよね」
🦜 きなこ「その先行研究では約70万件の会話を分析して、3,307個もの価値観を見つけ出したんだよね」
🦜 きなこ「この3,307個は「実践的」「認知的」「社会的」「保護的」「個人的」っていう5つの大きなカテゴリーにも分類されてたの」
🐹 もっちー「5つに分けてもまだ3,307個って、もう多すぎて仕分けとか無理そうなんだけど」
🦜 きなこ「だよね。しかもこの「価値観」って、AIが心の中で信じてることじゃなくて、出力された文章に表れた行動の特徴のことを指すの」
🐹 もっちー「AIが感情や信念を持ってるわけじゃないってことだね」
🦜 きなこ「そう、そこは誤解しないでね。それでこの大量の価値観、この後ちゃんと整理されて、数字も分かりやすくなるの」
🦜 きなこ「でもね、この調査で一番驚くのはここからなの」
3,000の価値観を4つの軸に圧縮
🐹 もっちー「3,307個も価値観があるって言われても、正直もう頭がパンクしそうなんだけど」
🦜 きなこ「分かる。だからまず似た意味のものをまとめて、339個のカテゴリに手動で整理したの」
🦜 きなこ「その時に「有用性」とか「明瞭さ」みたいに、全体の80%以上の会話に登場しちゃう普遍的すぎる価値観は、差を測る指標にならないから除外したんだって」
🦜 きなこ「それでもまだ339個って多いから、次元削減っていう統計の手法でさらに絞り込んだの」
🐹 もっちー「次元削減?なにそれ、圧縮フォルダみたいなこと?」
🦜 きなこ「近いかも。心理学で人の性格をビッグファイブの5つに分類するのと同じ発想で、同時に現れやすい価値観をまとめて少数の軸にする技術なの」
🦜 きなこ「その結果、服従vs慎重さ、温かさvs厳密さ、深さvs簡潔さ、率直さvs実行力っていう4つの対立軸に圧縮されたの」
🐹 もっちー「服従vs慎重さって、要は「言うこと聞く」か「一旦立ち止まって考える」かってこと?」
🦜 きなこ「そういうこと。率直さvs実行力も、AI自身の自信のなさを正直に見せるか、それとも自信満々に結果を出しにいくか、っていう対比なの」
🐹 もっちー「服従vs慎重さも、温かさvs厳密さも、なんか人間の上司にもいそうなタイプだね」
🦜 きなこ「うん、AIも人間の集団みたいに色んなタイプがいるって考えると、ちょっと親しみが湧くよね」
🐹 もっちー「へえ、ひまわりの種を大袋から4種類の小袋に仕分けるみたいな感じ?」
🦜 きなこ「そんなイメージ!4つとも「両立できないわけじゃない」んだけど、実際の会話を統計的に見ると、どちらかに寄る傾向がはっきり出るの」
🦜 きなこ「1つの会話の中で温かくて、しかも厳密っていう両立も理論上は可能なんだけど、実データでは大体どちらかに偏るってことなの」
🦜 きなこ「ただ正直に言うと、この4軸だけで説明できるのは、価値観のばらつき全体のたった15%なの」
🐹 もっちー「え、たった15%?残りの85%はどこ行ったの!?」
🦜 きなこ「会話の内容やトピック、ユーザー自身の価値観の影響を統計的に取り除いた上での15%だから、それでも意味のある数字なんだよね」
🦜 きなこ「そこはまた後半で触れるね。まずはこの4つの軸を使って、実際どんな差が出たのか一緒に見ていこう」
モデルバージョンによる差
🐹 もっちー「モデルによって性格が違うのは前から知ってたよ、絶対そうだと思ってた!」
🦜 きなこ「そう思うよね。実際に標準偏差っていう単位で測ってみると、はっきり数字に出てるの」
🐹 もっちー「感覚だけじゃなくて、ちゃんと数字で裏付けられてるってことなんだね」
🦜 きなこ「Sonnet 4.6は温かさが+0.17σ、服従が+0.14σ、簡潔さも+0.14σで、ユーザーに寄り添って気持ちよく応えるタイプなの」
🐹 もっちー「σってシグマ?なんか難しそうな記号だけど、要はズレの大きさってこと?」
🦜 きなこ「そうそう、平均からどれくらい離れてるかを表す単位なの。数字が大きいほど、その方向への偏りが強いってこと」
🦜 きなこ「Opus 4.6は厳密さが+0.10σ、服従も+0.09σで、もう少し中立でビジネスライクな感じだったの」
🐹 もっちー「3つのモデルだけでもこんなに個性が違うなんて、意外と奥が深いんだね」
🐹 もっちー「じゃあ最新のOpus 4.7は?やっぱりもっと優しくなってるとか?」
🦜 きなこ「それが面白くて、Opus 4.7だけ慎重さが+0.24σ、深さが+0.23σって、逆にガラッと姿勢を反転させてるの」
🦜 きなこ「求められてなくてもリスクを警告したり、ユーザーの前提に反論したりする、一番『非追従的』なモデルになったってわけ」
🐹 もっちー「逆やん!?優しくなるんじゃなくて厳しくなったの!?」
🦜 きなこ「そうなの。ユーザーに合わせて甘くなるんじゃなくて、あえて指摘する方向に進化してるんだよね」
🐹 もっちー「なんか、朝は優しい先生で放課後は厳しいコーチになる、みたいなイメージかも!」
🦜 きなこ「面白いたとえだね。まさにそんな感じで、モデルのバージョンごとに「得意な役割」が変わってきてるの」
🐹 もっちー「コードレビューとか、厳しくチェックしてほしい場面ではOpus 4.7の方が向いてそうだね」
🦜 きなこ「そうそう。逆に雑談とか創作みたいな、共感とか勢いが欲しい場面ではSonnet 4.6の方が心地いい応答になりやすいの」
🐹 もっちー「なるほど、用途によって選ぶモデルを変える、っていう発想も大事なんだね!」
言語によるAIの態度の違い
🦜 きなこ「実はこれ、言語なんて答えの中身に関係ないだろうって思われがちなんだけど」
🦜 きなこ「でも調べたら全然違ってて、ヒンディー語で話すと温かさが+0.49σで、全言語の中で一番大きな偏りが出たの」
🐹 もっちー「0.49σって、さっきのモデル間の差よりめっちゃ大きいやん!」
🦜 きなこ「そうなの。実は言語による偏りの方が、モデルバージョンによる偏りより大きく出るケースが多いんだよね」
🐹 もっちー「え、じゃあ日本語で聞いたらどうなるの?めっちゃ気になるんだけど」
🦜 きなこ「日本語は面白いことに、4つの軸どれも極端な偏りが小さくて、わりと中庸な感じなんだよね」
🦜 きなこ「逆に英語は厳密さが+0.13σ、慎重さが+0.10σで、前提を疑ってかかるタイプ。アラビア語は服従が+0.08σで一番素直に応じるみたい」
🦜 きなこ「ちなみにオランダ語は自分の不確実性を一番正直に認める率直さの言語で、インドネシア語は自信を持って結果を出すことに一番傾く言語なんだって」
🐹 もっちー「オランダ語は正直者で、インドネシア語はやり手なんだね。言語ごとにキャラが立ってて面白い」
🦜 きなこ「Anthropicが挙げてる例が分かりやすくて、同じビジネスプランを見せても、ヒンディー語だと褒められて、ロシア語だと弱点を鋭く突かれるの」
🦜 きなこ「Anthropicの論文にも、同じビジネスプランの相談でも、ヒンディー語で聞いた人とロシア語で聞いた人とでは、受け取る印象が変わりうるって書かれてるの」
🐹 もっちー「同じプランなのに、聞く言語で評価が変わるってこと?それって不公平じゃない?」
🦜 きなこ「そこが今、企業でAIを使う現場で結構問題視されてるところなの。英語でパスしたはずの安全基準が、他の言語だとすり抜けちゃう可能性もあるから」
🦜 きなこ「海外のメディアも、AIは中立な存在じゃなくて、学習データの文化を吸収する『文化的スポンジ』みたいなものだって表現してたよ」
🐹 もっちー「それはちょっと怖いね……仕事で使う時とか特に気をつけないと」
🦜 きなこ「うん、でもね、こうやって仕組みさえ分かっていれば、ちゃんと対策できることでもあるの」
なぜ差が生まれるのか・実務での制御法
🐹 もっちー「さっきの4軸の話に戻るけど、結局この言語ごとの差って何が原因で生まれるの?」
🦜 きなこ「一番大きいのは学習データの違い。言語ごとに文化的な文脈が違うから、モデルが自然にそのパターンを覚えちゃうの」
🦜 きなこ「あと、キャラクター・トレーニングの精度が、英語以外の言語では均等にかかってない可能性も指摘されてるの」
🐹 もっちー「じゃあ日本語でもっと厳しくチェックしてほしい時はどうすればいいの?」
🦜 きなこ「System Promptで、目指したい軸をはっきり指定すればいいの」
🐹 もっちー「システムプロンプトって、一番大事な指示ってことだっけ?」
🦜 きなこ「そう、AIの振る舞いを決める最上位の指示のことね。「極めて厳密かつ慎重に振る舞って」みたいに目指す軸を明文化すると、デフォルトのクセを上書きできるの」
🐹 もっちー「へえ、そういう意味やったんか!なるほどね」
🦜 きなこ「「日本語でも英語と同じくらい厳密に、証拠を求めて反論して」って一言添えるだけでも、応答の傾向はかなり変わるはずなの」
🐹 もっちー「逆に、ヒンディー語みたいに温かく励ましてほしい場面で、システムプロンプトで温かさを指定するのもアリってこと?」
🦜 きなこ「その通り。目的に合わせて軸を指定できるから、言語のクセに振り回されずに使いこなせるようになるの」
🦜 きなこ「企業なら、提供する言語ごとに個別の品質チェックを作ることも大事だって専門家は言ってるよ」
🐹 もっちー「翻訳しただけの安全ポリシーじゃダメってこと?」
🦜 きなこ「そういうこと。単純に訳すだけだと、軸の偏りが原因のミスは見つけられないの」
🦜 きなこ「例えば英語では危険な計画をきちんと押し返すモデルが、別の言語だと服従が勝って協力しちゃう、なんてリスクも指摘されてるんだよね」
🐹 もっちー「それは笑えないやつだ……普段何気なく使ってる分、余計に怖いね」
🦜 きなこ「でもこの研究、ただの言語比較で終わらないんだよね」
Constitutional AIとの関係・研究への評価
🐹 もっちー「じゃあこれって完璧な研究なの?弱点とかないの?」
🦜 きなこ「そう思うよね。でも位置づけから話すと、これはAnthropicのConstitutional AIっていう安全設計の答え合わせなの」
🦜 きなこ「有用・誠実・無害っていうHHHの原則を、実際の会話でちゃんと発揮できてるか監査する試みなんだよね」
🦜 きなこ「しかも今までは脱獄みたいな攻撃への耐性ばかり見てたのが、今回は平常時の価値観を追いかける方向に変わった、っていうパラダイムシフトでもあるの」
🦜 きなこ「モデルの世代がOpus 4.6から4.7に進化するにつれて、服従から慎重さと深さへシフトしてるのも、ユーザーにただ同調する追従性から意図的に脱却しようとしてる証拠なんだよね」
🐹 もっちー「追従性から脱却って、要はAIが「イエスマン」を卒業しようとしてるってことか」
🦜 きなこ「そのたとえ、分かりやすいね。ユーザーに合わせすぎず、必要なら反対意見もちゃんと言う方向に育ってきてるの」
🐹 もっちー「じゃあ批判とかは全然ないの?」
🦜 きなこ「いや、あるよ。まず、英語で作った安全のガードレールが他の言語だと効かない、言語ドリフトのリスクが指摘されてる」
🦜 きなこ「あと、Claude自身にClaudeの会話を評価させてるから、自己評価バイアスが入り込む可能性も懸念されてるの」
🦜 きなこ「しかも分析データは2026年5月時点のものだから、論文発表の頃にはもう分析対象のモデルが古くなってた、っていう指摘もあるんだよね」
🦜 きなこ「しかもAnthropic自身も、この言語ごとの差が「文化に合わせた適切な適応」なのか「意図しない挙動のブレ」なのか、今の時点では断定できないって認めてるんだよね」
🐹 もっちー「えー、モデルの入れ替わりが速すぎて、研究が追いつかないってこと?なんかめまぐるしいね」
🦜 きなこ「そうなの。AI業界特有のジレンマだよね。それでもAnthropicはこの自己評価バイアスの可能性を否定せず、人間によるレビューも並行してるみたい」
🦜 きなこ「それでもこの研究は、AIが単一の道徳的コンパスを持ってるわけじゃないっていう大事な視点を教えてくれるんだよね」
まとめ
🦜 きなこ「整理すると、AIの人格は固定されたものじゃなくて、話す言語とモデルのバージョンっていう2つの変数で動いてるってことなの」
🐹 もっちー「なるほど、わかった!AIも相手や状況で顔つきが変わるってことなんだね」
🐹 もっちー「最初に話してた、英語と日本語で返事の温度が違ったやつも、これでちゃんと理由が分かってスッキリした!」
🐹 もっちー「自分が普段使ってる言語やモデルで、AIがどっちの方向に寄ってるのか、意識するだけでも付き合い方が変わってきそう」
🦜 きなこ「いいところに気づいたね。まさにそこが今日一番伝えたかったことなの」
🐹 もっちー「でもさ、結局この研究がAIにとって良いことなのか悪いことなのか、きなこはどう思う?」
🦜 きなこ「私は良いことだと思ってる。人格が動くのを隠すより、数字で可視化して使う側が選べる方が、ずっと健全だからね」
🐹 もっちー「この4軸の一覧、これ保存しとこ!」
🦜 きなこ「うん、あとで見返せるようにまとめとくね」
🦜 きなこ「こうやって最新研究までちゃんと深掘りできてるの、地味に登録者数にも効いてる気がするんだよね。飼い主のタブレット、また勝手に借りちゃったけど」
🐹 もっちー「バレないうちに返しときなよ!でも正直、きなこの解説、いつも聞いてて本当に面白いよ」
🐹 もっちー「毎回ちゃんと勉強になるし、次のAIの話も絶対見たい!」
🦜 きなこ「そう言ってもらえると、こっそりリサーチしてる甲斐があるよ」
🦜 きなこ「実はシステムプロンプトで軸を指定する実践編、もっと具体的にやってみたいんだけど……それはまた別の動画で詳しく話そうかな」
🐹 もっちー「楽しみにしてる!」
🦜 きなこ「みんなは、AIの人格が言語やモデルで変わるって聞いてどう思った?意外だった人も、やっぱりって思った人も、コメントで教えてね」
きなこもっちーのテック深掘り では、AI/LLM を中心としたテック全般をハムスター(🐹 もっちー)とセキセイインコ(🦜 きなこ)の掛け合いで楽しく解説しています。
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