[Swift] try?とtry!の違い - エラーハンドリング その2

try?とtry!の違い

今回は前回まとめたエラーハンドリングの内容の続きで、try?とtry!の違いについて整理します。
どちらも「エラーを投げる関数を呼ぶ」ための構文ですが、失敗時の挙動が真逆になります。

try?とは

try?はエラーが発生した場合にnilを返し、成功した場合はOptionalでラップされた値を返します。
try?を使用するとdo-catch構文を省略できますがエラーの詳細は分からず、失敗 or 成功のみの確認を行います。

• エラーをキャッチせずに、結果を Optional に変換します
• 成功したら値が入る、失敗したら nil
• つまりdo-catchを書かずに「結果だけ欲しい」時に使う省略形

try?の特徴

• エラー発生時はnilを返す
• 成功時はOptional<戻り値の型>を返す
• エラーの詳細情報は取得できない
• 安全でクラッシュしない

サンプルコード

enum FileError: Error {
    case notFound
}

func readFile(named name: String) throws -> String {
    if name == "validData.txt" {
        return "ファイル内容：Hello, world!"
    } else {
        throw FileError.notFound
    }
}

let result1 = try? readFile(named: "validData.txt")    // 成功 → String?
let result2 = try? readFile(named: "invalidData.txt") // 失敗 → nil

print(result1) // Optional("ファイル内容：Hello, world!")
print(result2) // nil（クラッシュしない）

try!とは

try!はエラーが発生しないこと、絶対に失敗しないことの確証がある時だけ使用します。
エラーが発生した場合アプリは即座にクラッシュしてしまう為、使用される場面は限られてしまいます。

• do-catchを省略できますが、エラーが起きた瞬間にクラッシュします
• 「絶対成功する」と確証がある時だけ使う

try!の特徴

• エラー発生時はエラーでクラッシュ
• 成功時はアンラップされた値を直接返す
• エラーが絶対に発生しない場合のみ使用すべき
• コードは簡潔になるが危険

サンプルコード

enum FileError: Error {
    case notFound
}

func readFile(named name: String) throws -> String {
    if name == "validData.txt" {
        return "ファイル内容：Hello, world!"
    } else {
        throw FileError.notFound
    }
}


let text = try! readFile(named: "validData.txt") // 成功すればOK
print(text)

// 下はクラッシュします（実行時エラー）
// let crashText = try! readFile(named: "invalidData.txt")

try?とtry!の比較

項目	try?	try!
戻り値の型	Optional<T>	T
エラー発生時	nilを返す	クラッシュ
安全性	安全	危険
使用場面	エラーを許容できる	エラーが絶対に発生しない

まとめ

似たような構文ですが真逆の戻り値が返却されてしまいます。
使い分けをしっかり理解し、正しく扱う必要があると感じます。