「Versionを上げればいい」
この言葉を、何度聞いたことか。
ライブラリのアップデートって、一見すると
「ファイルを差し替えて終わり」
のように感じます。
しかし、実際は
“レガシーの歴史全部と向き合う作業”。
そう強く実感するきっかけがあったので、今回はその学びを記事にしていきます。
どの現場でも発生しやすい「レガシー化」の事情
システム構築当初は、
- 安定したライブラリを入れて
- 脆弱性のない状態で
- 正しく動く状態を作り上げる
というのが通常です。
しかし年月が経つと、必ずこうなります。
- ライブラリの脆弱性が発見される
- メンテナンス対象になる
- それに対応するリソースは簡単には確保できない
結果として、
重要性は分かっているけど手がつけられない
という状態が続き、気付けばレガシー化していきます。
これはほとんどの現場で起きる“あるある”だと思います。
Version を上げなければならない時は必ず来る
どれだけ放置されていても、いつかはアップデートが必要になる瞬間が来ます。
特に、
- 脆弱性診断
- 書庫化したパッケージのリスク報告
- サポート終了
- 依存ライブラリの更新
こういった外部要因は避けられません。
しかし、いざ更新しようとすると大問題が発生します。
「新しいバージョンを入れただけ」で普通に壊れる
単純に最新版を入れれば動くかというと、そんな簡単ではありません。
例えば、
- 関数の仕様変更
- 廃止されたメソッドの存在
- プラグインが古いバージョンに依存している
- JSフロント側の挙動が変わる
特に JavaScript / jQuery まわりは、
アップデートで容赦なく API が変わる
ため、非常に影響が大きいです。
「ただ差し替えたら動かない」
というのは日常茶飯事です。
今回の経験から得た教訓
バージョンアップ対応を通して、「これだけは必須」と感じたものがあります。
1. ファイル全検索(特定文字での全体調査)
- バージョン指定箇所の洗い出し
- 廃止された関数の検知
- 依存関係の把握
レガシーほど、一箇所だけで動いていないことはまずありません。
2. 公式ドキュメントを必ず参照する
ブログ記事やQiitaではなく、
“公式の移行ガイド・Breaking Changes”
を最優先に読むこと。
3. 開発ツールの使い方が全てを左右する
- ブラウザコンソール
- スタックトレースの読み方
- イベント発火のトレース
- NetworkタブでのAJAX確認
JSのバージョンアップはほぼ間違いなく“画面が動かなくなる”ので、開発ツールが使えないと何もできないです。
まとめ
結局のところ、
- 脆弱性診断は定期的に行うべき
- アップデート作業は必ず発生する前提でシステムを作る
- 影響調査と検知の仕組みを作っておくと楽になる
というのが今回のまとめです。
Version を上げるだけ――
そんな簡単な話じゃないからこそ、
仕組み化・習慣化が長期的な資産になる。
そんなことを強く感じた出来事でした。