よくある状態:1つのAIセッションに調査も実装もレビューも全部やらせて、長くなるほど返答の精度が落ちていく。
「手離れ」には2層あります。人間がAIから手を離す(軸B全体のテーマ)と、メインのAIが実作業から手を離す(この記事)。この記事は後者——メインエージェントとサブエージェントの分業の話です。それが結果として前者を支えることは、最後に説明します。
こうする
メインのエージェントはオーケストレーション(段取りと判断)に徹させ、実作業はサブエージェントに委譲する。
- 調査・実装・テスト・レビューなど、まとまった作業単位で切り出してサブエージェントに投げる
- メインには「何を頼んで、何が返ってきたか」の要約だけが残る
- 独立した作業は複数のサブエージェントに同時にやらせる
なぜ
1. メインのコンテキストウィンドウを節約できる。
AIには一度に頭に入る量(コンテキストウィンドウ)に限りがあります。1セッションで全部やらせると、大量のファイル内容やログで頭がパンパンになり、タスクの後半で精度が落ちる。サブエージェントに作業を出せば、メインに戻ってくるのは結果の要約だけ。長いタスクでも精度を落とさず進められます。
2. 作業そのものが速くて正確。
サブエージェントは委譲された作業だけに集中した、余計な履歴のない状態で動きます。半日分の経緯を引きずったエージェントより、その作業について速く正確です。
3. フレッシュなコンテキストでレビューできる。
実装した本人(と同じ文脈を共有したエージェント)がレビューすると、思い込みごと見逃します。何も知らないサブエージェントに差分だけ渡してレビューさせると、先入観のない目で見るのでレビューの漏れがなくなる。これは多重レビューの部品でもあります。
運用のコツ
- 委譲の単位は「報告書で受け取れる仕事」。細かすぎる指示の往復が要る作業はまだ切り出さない
- サブエージェントには文脈を明示して渡す。彼らはメインの会話を知らない。受け入れ条件やコードの地図があると、この受け渡しが一気に楽になる
そして人間も手を離せるようになる
メインが自分で全作業を抱えていると、精度維持のために人間がこまめに介入する羽目になり、結局張り付きに戻ります。メイン=段取り、サブ=実作業の分業ができて初めて、タスク1本が人間の付き添いなしで最後まで走りきれる。
そうなれば、タスクを複数本同時に走らせて、人間は待ち時間に別のタスクを見ればいいだけ。メイン→サブの手離れは、人間→AIの手離れ(軸B)を成立させる土台です。
お知らせ
この記事は、イデアライブ社内の「AI駆動開発の考え方」ドキュメント(全12本)をシリーズとして公開しているものです。

