よくある状態:「◯◯を修正して」とだけ伝えて実装させ、出てきたものを見てから「そうじゃない」「そこは触らないでほしかった」と直しの往復が始まる。
こうする
計画段階で、AIに「受け入れ条件」と「スコープ外」を明文化させる。
- 受け入れ条件:何ができたら完了か。あとで「満たした/満たしていない」を判定できる具体さで書き出す
- スコープ外:今回やらないこと。触らないファイル・変えない挙動・対応しないケース
書くのはAIです。人間はそれを見て「やってほしいこと/やってほしくないこと」を確認・修正してから実装に進ませる。
実例
タスク「パスワードリセット機能を追加する」の計画書冒頭のイメージ:
# パスワードリセット機能の追加
## 受け入れ条件
- [ ] 登録済みメールアドレスを入力すると、リセット用リンクがメールで届く
- [ ] リンクから新しいパスワードを設定でき、以降は新パスワードでログインできる
- [ ] リンクには有効期限があり、期限切れ・使用済みのリンクではエラーメッセージが表示される
- [ ] 未登録のメールアドレスを入力しても、登録の有無が相手にわからない応答になる
- [ ] 既存のログイン・ログアウトの挙動が変わっていない
## スコープ外(今回やらない)
- 2要素認証・SMS認証の導入
- パスワードポリシー(強度ルール)の変更
- ログイン画面のデザイン変更
- 管理者による強制リセット機能
ポイントは、「未登録でも登録の有無がわからない応答」のようなセキュリティ上の暗黙の期待や、「既存の挙動が変わっていない」のような**「壊さないこと」の条件**まで書き出すこと。人間が頭の中で当然と思っていることこそ、明文化しないとAIには伝わりません。スコープ外の「デザイン変更はしない」も、AIが気を利かせて画面を「改善」してしまう事故を防ぎます。
なぜ:一度書けば、5回効く
この1枚の表が、開発の流れ全体で使い回されます。
- 人間が着手前に確認できる——「やってほしいこと・やってほしくないこと」の認識合わせが、実装後ではなく実装前にできる
- 実装AIの迷いが消える——何をするべきで、今回は何をしないのかがはっきりわかる。AIの実装が最も暴走するのは、完了条件が曖昧なとき
- AIが自己チェックできる——実装後に「本当に自分の仕事は終わったのか」「余計なことをしていないか」を条件表と突き合わせて確認できる
- レビューAIも同じ観点で見られる——レビューの基準が「レビュワーの気分」ではなく条件表になる
- 人間の最終レビューも同じ観点——そして「これを満たしていたら成功」。完了の定義で揉めない
つまり、関わる全員(人間・実装AI・レビューAI)が同じものさしを持つ、ということです。
運用のコツ
- 計画書の冒頭に置く。付録ではなく一番目立つ場所に。以降の全工程がここを参照する
- スコープ外を空にしない。「やらないこと」が書けないのは、範囲を考えていないサイン。「隣接するあの機能は触らない」だけでも書く
- 条件はテストに落とす。受け入れ条件の多くはそのままテストコードにできる。「条件表を満たすテストを書いて」まで頼めば、自己チェックが機械化される
お知らせ
この記事は、イデアライブ社内の「AI駆動開発の考え方」ドキュメント(全12本)をシリーズとして公開しているものです。

