はじめに
本記事は、2025年10月29日(水) に実施された「JAWS-UG AI/ML #32:Generative AI / ML LT大会」 LT枠で発表した「Amazon Q Developer CLI解体新書」(以後解体新書と略す)についての紹介記事になります。
Amazon Q Developer CLI(以後 Q CLIと略す)は、AWSが提供する開発者向けAIエージェントで、Amazon Bedrock上のClaude Sonnet3.5、4、4.5モデルを利用可能であり、AWSサービスとの統合やセキュリティ機能を備えています。AWSエンジニアの方でまだQ CLIを使ったことの無い方に、この記事をきっかけに「試してみよう」と思っていただければ幸いです。
Q CLI ユーザーガイド
Q CLI GitHub
Q CLIの更新履歴
この記事は「猫でもわかるAmazon Q Developer CLI」3部作シリーズの第2部になります。11月には完結編「猫でもわかるAmazon Q Developer CLI(できる子編)」をJWS-UG朝会 #75で発表予定です。
【猫でもわかるQ CLIシリーズ一覧】
| # | タイトル |
|---|---|
| 1 | 猫でもわかるQ Developer CLI(CDK開発編)+ちょっとだけKiro |
| 2 | 猫でもわかるQ Developer CLI解体新書(本記事) |
| 3 | 猫でもわかるQ Developer CLI(できる子編)(近日公開) |
発表概要
解体新書作成のきっかけは、筆者がQ CLIのAWS公式情報は現時点では基本的な内容に留まっているからです。そこで「OSSならGitHubを解析すればいいのでは?」と思ったのが始まりです。最初はQ CLIがどこまでできる子なのか確認しようという軽い気持ちでした。2025年10月上旬作成開始から約1か月たって内容がそれなりに充実してきたのでJAWS-UG AI/ML #32 LTで発表させて頂きました。
発表当日はYouTubeでライブ配信され、アーカイブも公開されていますので、ぜひご覧ください。詳細はGitHubの「解体新書」リポジトリで確認できます。
発表時の動画
発表資料
猫でもわかるAmazon Q Developer CLI解体新書
「猫でもわかるAmazon Q Developer CLI解体新書」とは
なぜ解体新書を作成したのか
Q CLIは、開発効率を劇的に向上させる強力なツールです。しかし、その真の力はまだ十分に知られていないと感じています。
解体新書では、Q CLI自身を使ってQ CLIのソースコードを解析することで、Q CLIの可能性を示す実例となることを目指しました。公式ドキュメントには載っていない深い知見を発見し、体系的にまとめることを最終目的にしています。
目指したのは、初心者でも理解できる分かりやすさと、実務で即使える実践的な内容の両立です。
AWSエンジニアとして、Q CLIの可能性をもっと多くの人に知ってもらい、実際に使ってもらいたい。その思いが、解体新書作成・更新の原動力です。
ドキュメト構成
コンテンツは初心者の方にも分かりやすい内容を心がけて作成しました。
【ドキュメント構成】
docs/
├── 01_for-users/ # ユーザーガイド(73文書)
│ ├── 入門・機能・設定・ベストプラクティス
│ ├── デプロイ・トラブルシューティング
│ └── リファレンス・ガイド・セキュリティ・仕様
├── 02_for-developers/ # 開発者ガイド(11文書)
│ ├── コントリビューション(4文書)
│ └── アーキテクチャ(4文書)
├── 03_for-community/ # コミュニティ(15文書)
│ ├── アップデート情報(5文書)
│ ├── コミュニティ(3文書)
│ └── 分析レポート(3文書)
├── 04_issues/ # 課題管理(1文書)
└── 05_meta/ # メタドキュメント(14文書)
└── 品質保証・コントリビューション
おすすめコンテンツ
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コンテキスト管理(必読)
AIエージェントを使う上でコンテキスト管理は最重要テーマです。Q CLIでは、プロンプトの精度や回答の一貫性を左右する要素となります。
特に「コンテキストの本質」は必ず目を通しておくことをおすすめします。これを理解すれば、/usageコマンドで表示されるコンテキスト使用率の意味が分かるようになります。
コンテキスト使用率確認画面
| # | ドキュメント | 対象 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 1 | コンテキストの本質 | 初級 | コンテキストとは何か / Q CLIのコンテキストモデル / 3つのコンテキストアプローチ |
| 2 | コンテキストの仕組みと管理 | 初級〜中級 | コンテキストのライフサイクル / トークン管理の詳細 / コンテキストの優先順位 / Q CLIでの管理方法 |
| 3 | コンテキストの効果と特徴 | 初級〜中級 | コンテキストがもたらす効果 / Agent Resources/Session Context/Knowledge Basesの特徴 / 制限事項と注意点 / 3つのアプローチの比較 |
| 4 | ベストプラクティスの考え方 ⭐ | 中級 | コンテキスト設計の基本原則 / アプローチ選択の思考プロセス / ファイル選定の思考プロセス / パス指定の思考プロセス / パフォーマンス最適化の思考プロセス / セキュリティ設計の思考プロセス |
| 5 | 実践ガイド | 中級 | 基本設定の実装 / プロジェクトタイプ別実装 / 応用実装パターン / 実装時の注意点 |
| 6 | トラブルシューティング | 中級 | 問題の診断 / よくある問題と解決方法 / デバッグ手法 |
| 7 | 高度なトピック | 上級 | コンテキストの最適化戦略 / チーム開発での活用 / 実装の内部詳細 |
| 8 | 参考情報 | 中級〜上級 | コマンドリファレンス / 設定リファレンス / 技術仕様 / 用語集 / FAQ |
| 9 | ワークフロー自動化 | 中級〜上級 | Agent Hooksによる自動化 / 実践的な自動化パターン / スクリプト作成方法 / パフォーマンス最適化 |
⭐ = 最重要章
2. Agent機能
Q CLIの真価はAgent機能の活用にあります。
Agentごとに役割を定義し、必用なMCPサーバ設定をすることで回答精度が大幅に向上します。v1.19.0以降では、Agent設定のプロンプト指定がファイル参照可能になり、運用がさらに容易になりました。
おわりに
Q CLIを業務で本格的に使い始めてから約5か月、今ではQ CLI無で仕事をすることが想像できないくらい非常に頼れる相棒になりました。
Q CLIは、AWS開発の効率を飛躍的に高める強力なツールです。
本記事が、AWSエンジニアの方だけでなく、より多くの方に「Q CLIを試してみよう」と思っていただけるきっかけになれば幸いです。
参考情報
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/amazonq/latest/qdeveloper-ug/command-line.html
https://github.com/aws/amazon-q-developer-cli



