「共有」という言葉を、「共有」という意味以外で使っている人の方が多い空間にIT業界があるかもしれに。
共有は、共に有する。
なんらかの所有権がお互いにあることが条件。
共有という言葉を聞く時の、半分以上の場合が、「それ共有じゃなくて、情報の献上じゃね」と思うことがある。
歴史的にも、力のある方が、力のない方から、物を持ち去る時の常套手段かもしれない。
近年ではパワハラという用語で代表される、力による無理強いの一つとして、「共有」という言葉を使った人を判定するとよいかもしれない。
共有という言葉が使われたら、創作者は誰で、その権利を適切に評価しているかどうかについて仮説を立て、扱いが妥当であるか検証するとよいかもしれない。
語源(root)
共有を英語で検索すると、
co-ownership
joint ownership
common ownership
share
などが出てくる。
co-は、一緒にという感じ。主があって副という場合も
jointは、複数の主体が一緒にという感じ。
commonは、幅広くみんなでという感じ。
shareは、分け与えるという感じ。
歴史(history)
共有の具体例として入会権、水利権、漁業権と、ソフトウェアについて比較する。
入会権、水利権、漁業権とも資源の消費を伴う。
ソフトウェア、ソースコードの共有は、資源の消費を生じるのではなく、資源の拡大を生じる可能性がある。
そのため、付随して拡大する資源についての規定は、入会権、水利権、漁業権の規定は必ずしも参考になるとは限らない。
ソフトウェア(ソースコード)の共有を通じて得る、よい経験を蓄積し、習慣として定着して来た事項を基本的な考え方とするとよい。悪習を排除するためには、法律的な法制度がよいか、経済的な報奨制度がよいか、制度設計には明確な根拠があるとよい。
IPAの報奨制度「双方向型ネットワーク対応仮想空間共同構築システム」を発端とするWinnyが、ソフトウェアの共有に関して知的財産権を保護するのではない方向での展開が、よいソフトウェアへの改善の機会を奪ったことを反省点としたい。
「Winnyの技術」を読む
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/b6639c9f827be9a68a91
入会権
入会権と入会慣習 中村 忠 高崎経済大学論集 第45巻 第4号 2003 79頁~97頁
http://www1.tcue.ac.jp/home1/k-gakkai/ronsyuu/ronsyuukeisai/45_4/nakamura.PDF
民法上「共有の性質を有する入会権」
第二百六十三条 共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。
水利権
水利権について
http://www.mlit.go.jp/river/riyou/main/suiriken/index.html
http://www.mlit.go.jp/river/riyou/main/suiriken/seido/index.html
河川法施行規則 (昭和四十年建設省令第七号)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340M50004000007
漁業権・入漁権
漁業権について
http://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/gyogyouken_jouhou3.html
漁業法 (昭和二十四年法律第二百六十七号)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC0000000267_20181025_430AC0000000075&openerCode=1
第二章 漁業権及び入漁権
(漁業権の定義)
第六条 この法律において「漁業権」とは、定置漁業権、区画漁業権及び共同漁業権をいう。
2 「定置漁業権」とは、定置漁業を営む権利をいい、「区画漁業権」とは、区画漁業を営む権利をいい、「共同漁業権」とは、共同漁業を営む権利をいう。
3 「定置漁業」とは、漁具を定置して営む漁業であつて次に掲げるものをいう。
一 身網の設置される場所の最深部が最高潮時において水深二十七メートル(沖縄県にあつては、十五メートル)以上であるもの(瀬戸内海(第百十条第二項に規定する瀬戸内海をいう。)におけるます網漁業並びに陸奥湾(青森県焼山崎から同県明神崎灯台に至る直線及び陸岸によつて囲まれた海面をいう。)における落とし網漁業及びます網漁業を除く。)
二 北海道においてさけを主たる漁獲物とするもの
4 「区画漁業」とは、次に掲げる漁業をいう。
一 第一種区画漁業 一定の区域内において石、かわら、竹、木等を敷設して営む養殖業
二 第二種区画漁業 土、石、竹、木等によつて囲まれた一定の区域内において営む養殖業
三 第三種区画漁業 一定の区域内において営む養殖業であつて前二号に掲げるもの以外のもの
5 「共同漁業」とは、次に掲げる漁業であつて一定の水面を共同に利用して営むものをいう。
一 第一種共同漁業 藻類、貝類又は農林水産大臣の指定する定着性の水産動物を目的とする漁業
二 第二種共同漁業 網漁具(えりやな類を含む。)を移動しないように敷設して営む漁業であつて定置漁業及び第五号に掲げるもの以外のもの
三 第三種共同漁業 地びき網漁業、地こぎ網漁業、船びき網漁業(動力漁船を使用するものを除く。)、飼付漁業又はつきいそ漁業(第一号に掲げるものを除く。)であつて、第五号に掲げるもの以外のもの
四 第四種共同漁業 寄魚漁業又は鳥付こぎ釣漁業であつて、次号に掲げるもの以外のもの
五 第五種共同漁業 内水面(農林水産大臣の指定する湖沼を除く。)又は農林水産大臣の指定する湖沼に準ずる海面において営む漁業であつて第一号に掲げるもの以外のもの
(入漁権の定義)
第七条 この法律において「入漁権」とは、設定行為に基づき、他人の共同漁業権又はひび建養殖業、藻類養殖業、垂下式養殖業(縄、鉄線その他これらに類するものを用いて垂下して行う水産動物の養殖業をいい、真珠養殖業を除く。)、小割り式養殖業(網いけすその他のいけすを使用して行う水産動物の養殖業をいう。)若しくは第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とする区画漁業権(以下「特定区画漁業権」という。)に属する漁場においてその漁業権の内容たる漁業の全部又は一部を営む権利をいう。
(組合員の漁業を営む権利)
第八条 漁業協同組合の組合員(漁業者又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該漁業協同組合又は当該漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会がその有する各特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権ごとに制定する漁業権行使規則又は入漁権行使規則で規定する資格に該当する者は、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有する当該特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利を有する。
2 前項の漁業権行使規則又は入漁権行使規則(以下単に「漁業権行使規則」又は「入漁権行使規則」という。)には、同項の規定による漁業を営む権利を有する者の資格に関する事項のほか、当該漁業権又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域及び期間、漁業の方法その他当該漁業を営む権利を有する者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項を規定するものとする。
3 漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、その有する特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権について漁業権行使規則を定めようとするときは、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定による総会(総会の部会及び総代会を含む。)の議決前に、その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員。以下同じ。)のうち、当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者(第十四条第六項の規定により適格性を有するものとして設定を受けた特定区画漁業権及び第一種共同漁業を内容とする共同漁業権については、当該漁業権に係る漁場の区域が内水面(第八十四条第一項の規定により農林水産大臣が指定する湖沼を除く。第二十一条第一項を除き、以下同じ。)以外の水面である場合にあつては沿岸漁業(総トン数二十トン以上の動力漁船を使用して行う漁業及び内水面における漁業を除いた漁業をいう。以下同じ。)を営む者、河川以外の内水面である場合にあつては当該内水面において漁業を営む者、河川である場合にあつては当該河川において水産動植物の採捕又は養殖をする者)であつて、当該漁業権に係る第十一条に規定する地元地区(共同漁業権については、同条に規定する関係地区)の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない。
4 前項の場合において、水産業協同組合法第二十一条第三項(同法第八十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により電磁的方法(同法第十一条の二第四項に規定する電磁的方法をいう。)により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面による同意に代えて、当該漁業権行使規則についての同意を当該電磁的方法により得ることができる。この場合において、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、当該書面による同意を得たものとみなす。
5 前項前段の電磁的方法(水産業協同組合法第十一条の二第五項の農林水産省令で定める方法を除く。)により得られた当該漁業権行使規則についての同意は、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に到達したものとみなす。
6 漁業権行使規則又は入漁権行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
7 第三項から第五項までの規定は特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止について、前項の規定は漁業権行使規則又は入漁権行使規則の変更又は廃止について準用する。この場合において、第三項中「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と読み替えるものとする。
(漁業権に基かない定置漁業等の禁止)
第九条 定置漁業及び区画漁業は、漁業権又は入漁権に基くのでなければ、営んではならない。
(漁業の免許)
第十条 漁業権の設定を受けようとする者は、都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。
民法
第三節 共有
(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
(共有持分の割合の推定)
第二百五十条 各共有者の持分は、相等しいものと推定する。
(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
(共有物に関する負担)
第二百五十三条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
2 共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
(共有物についての債権)
第二百五十四条 共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
第二百五十七条 前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない。
(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
(共有に関する債権の弁済)
第二百五十九条 共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって、その弁済に充てることができる。
2 債権者は、前項の弁済を受けるため債務者に帰属すべき共有物の部分を売却する必要があるときは、その売却を請求することができる。
(共有物の分割への参加)
第二百六十条 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
2 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。
(分割における共有者の担保責任)
第二百六十一条 各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う。
(共有物に関する証書)
第二百六十二条 分割が完了したときは、各分割者は、その取得した物に関する証書を保存しなければならない。
2 共有者の全員又はそのうちの数人に分割した物に関する証書は、その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない。
3 前項の場合において、最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議で証書の保存者を定める。協議が調わないときは、裁判所が、これを指定する。
4 証書の保存者は、他の分割者の請求に応じて、その証書を使用させなければならない。
(共有の性質を有する入会権)
第二百六十三条 共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。
(準共有)
第二百六十四条 この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。
嫌がらせ(harassment)
一方の所有権を、見返りもなく、相手に譲ることを迫るのは「共有」の「強要」かもしれない。
所有権を明け渡す方が、所有権を取得する方より、権力がなければ、違法かもしれない。
ハラスメントの定義
https://www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm
harass (v.)
https://www.etymonline.com/word/harass
11 Types of Workplace Harassment (and How to Stop Them)
https://i-sight.com/resources/11-types-of-workplace-harassment-and-how-to-stop-them/
悪習(bad practice)
権利関係を明確にせずに、電子データの複写を強要する場合に、違法または不当の認定ができなくても、悪習としては排除するとよい。
著作者、権利関係を明示しない情報提供は、悪習(bad practice, worst practice)として、共有できるとよい。
著作権(copyright)
組織で仕事をしている場合に、全部組織に著作権があるとする主張がある。
それは、著作した著作物の量とそこから得られる価値に対して、適切な対価を払っている場合による。
適切な対価とは、著作した人だけでなく、その著作物を収入に転換する営業活動に対しても支払われないと、著作者への還元が可能とならない。従来の商慣習は、電子発行による費用がかからない著作権料の仕組みが前提となっている場合がある。
所有権(ownership)
組織で活動している場合に、所有権を組織に帰属させることが、組織活動の継続性を保証する場合がある。
著作権者に、適切な還元を可能にしていることが、継続性の前提である。
この均衡を図る仕組みがうまく機能するとよい。
編集権(editorial control)
共有と言いながら、表示権、配布権、編集権などを与えないことがある。
表示、配布、編集に対する対価の枠組みをしめているとよい。
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文書履歴(document history)
ver. 0.01 初稿 20190408
ver. 0.02 加筆 20190410
ver. 0.03 みだし追加 20190419
ver. 0.04 語源追記 20190420 早朝
ver. 0.05 民法追記 20190420 朝
ver. 0.06 入会権、漁業権、水利権追記 20190420 昼
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