「つよつよエンジニア」とは何ぞ
巷でたまに聞くスラングであり、筆者も周囲からたまに言われたりする言葉です。
どうやら蔑称では無さそうですが、いったいどのようなエンジニアを指すのでしょう。
管理する人も、同僚になる人も、目指す人も、このポエムが何かしらの参考になれば幸いです。
連載記事リンク
- 「つよつよエンジニア」は一日にして成らず(この記事)
- すべての道は「つよつよエンジニア」に通ず
- Do as the 「つよつよエンジニア」s do
つよつよエンジニアの定義
スラングではありますが、具体的にどのようなエンジニアを指すのでしょうか?・・・それこそ読み手の数だけ存在しそうではあります。一般的なエンジニアとの違いはなんでしょうか?
主語が広すぎるため、このポエムではつよつよエンジニアであると言われた筆者の考えに基づき、以下の要素を持った組織に所属するエンジニアであると定義します。
- 自称しない
- 特定分野(だいたい複数)のスペシャリスト
- 関連技術や周辺領域を含めた、広範囲な知識を持つ
- 時間が許すなら、習得したことを教えるのが好きである
- システム全体を俯瞰的な視点(スコープ外も含む)から見がち
- 目的に応じてやり方を変え、トライアンドエラーを善しとする
これらの定義ですと、一般的なエンジニアとの違いはあまり無さそうに思えます。
そこで、筆者の考え方から違いとなりそうな要素を深堀りし、このポエムで連載していきます。
こういう考え方はどう?等コメントはお気軽にどーぞ。触発されてQiita記事を書いてくれるともっと嬉しいです!むしろ読みたい!
つよつよエンジニアの存在価値
利益貢献
利益追求をする組織に所属するエンジニアが前提である以上、避けて通れない宿命です。
残酷ですが、つよつよエンジニアの知識やナレッジのみが利益を産み出すという事はほぼ無いと考えて結構です。単体で利益を産み出す何かがあるのなら、それはもはや錬金術であると言えます。
つよつよエンジニアが組織の利益に於いて、どこで貢献できるのか?という視座が必要です。
組織の構造は多少の差はあるものの概ね同一と見做すことが出来ます。具体的には、経営層が指示を出し、組織的な体制を組み、商材をエンジニアが用意し、営業に販売してもらって、そこでようやく利益を産み出しうる可能性を得ます。(この時点ではまだ利益になるとは限りません)
商売という枠組みはITを駆使したとて不変であり、この構造に対してつよつよエンジニアが挑んだとて、革命的な変革は期待できません。
つよつよエンジニアに出来ることは、組まれた体制に属し、与えられた仕事の範囲だけでなく、その周辺業務や仕組み作りを通して、販売・売上機会の確率上昇、経費の減少、リスク低減、といった地味に効いてくる箇所の微妙な数値の差として、最適化・効率化や潤滑油的な働きをする事です。特にバックオフィス側の処理は、今までの慣習を捨てるリスクを取ることで大きな利益貢献(経費圧縮)の可能性も期待できるため、経営層の把握と指示に依存している部分が大きいとも言えます。組織の体制の中で動く以上、つよつよエンジニアであっても、枠組みから飛び出して勝手に実力を発揮することは難しいです。 むしろ勝手に実力を発揮する事で始末書を書くことになっている可能性すら考えられます。(1敗)
経営層視点では、つよつよエンジニアっぽい人材を見つけたら、リスクを取るに値するのか、期待に応えてくれそうか、職務内容変更の話を持ち掛けてみてはどうでしょうか。1エンジニアとして埋もれさせておくにはもったいない掘り出し物が出てくるかもしれません。駒を動かすことができるポジションとはこういうことなのです。
逆に、つよつよエンジニアになった人・なりたい人・なっちゃった人に言えることは、自身が得た知識やナレッジのみで組織内の利益貢献を目指すのは構造上どう転んでも端から無理なのねと潔く諦め、その知恵をどんどん伝えガンガン巻き込んで行けるように組織に対して共有しましょう。もちろん組織には、組織の上司の上司(の上司も居たら)をも含んでいます。
聞いた人は腹落ちして指示や行動に移してもらう事で初めて、その知恵は効果が出る可能性の芽になるものとして周知され得ます。
つよつよエンジニアは自身の知識を人に伝え、人の行動・言動を変化させて、初めて価値が発揮される という点を意識するようにすることで利益貢献の可能性が出るスタート地点に立つのだ、と心得ておくべきでしょう。
利益貢献にはまた別の要素も必要とはなりますが、そのうち少なくとも1つ以上の要素で可能性を広げておくことは差別化とも言われ、誰がやっても同じにはなりません。存在価値とはそういうものだと考えます。
目の上のたんこぶ?
- 頑張っても頑張っても届かない位置に居るつよつよエンジニアの発言に従わされてる
- 周囲すべてが目の上のたんこぶで埋め尽くされている様に見えて軽く絶望している
もし、こういう状況である様に見えると感じているとしたら、非常に残念に思います。
あなただけしか持っていない価値があったり、実は既に先頭集団の一員になっていたり、仕事もプライベートも含め、全てのジャンル・ものごとに於いて本当にそう思えて見えていますか?
自分も誰かのたんこぶになっていることは、意外と気付かないものです。
実際、自分自身を客観視する事は非常に難しいため、自己での評価は適度にしておき、周囲の意見をフラットに見聞きしてみても良いかもしれません。弊社制度の第三者評価を利用するのも良いでしょう。
そこで自身の強みや、何かの先頭集団に居ると知ることが出来たなら、シメたものではありませんか。得意を伸ばして行くことに注力しましょうよ。あまり見たくもない自分の弱点・苦手に注力して底上げも最低限は必要ではあるものの、だからと言って今日明日で変わるものでもありません。そこは負けを素直に認め、助けを乞うことができるのも組織の大きなメリットです。つよつよエンジニアは一匹狼ではありません。
それでも、知識マウントを取って来たり、無知を装って非協力的だったり、鼻にかけるような言動をする人物が居たら、それは本当の目の上のたんこぶであり真のつよつよエンジニアとは異なると思います。ただし、これらはもちろん自身の言動にも当てはめて考えてみてください、先に言った通り非常に難しいですよ。
目的と手段
ここで上げた2要素は矛盾します。すなわち、他者のたんこぶにならず、他者に影響を与え行動を変化させること、は相反する要素が含まれているということです。他者を行動に移させるには想像以上に膨大なエネルギーが必要で、そのエネルギーをぶつけられた人からしたら、ただの巨大なたんこぶが降ってきただけにしか見えないものなのです。
矛盾を孕んでいる事を判った上で、目的達成のために一時的にたんこぶとして振る舞うことを自覚する必要がある、と言い換えることも出来ます。AWSクラウド的に言うならば、IAMユーザがIAMロールをAssumeRoleするんです。
また、ぶつけられた側もたんこぶを忌避するのではなく、何を目的にしているのかを尋ねてみると良いでしょう。少なくとも無目的では無いはずですから。
一つの手段にこだわり続け、目的から脱線しないようにしましょう。手段は必ず複数存在していると考え、今選択している手段は一時的なものであり、難しそうなら別の手段くらいの感覚で、トライアンドエラーの精神が肝要です。
押して駄目なら引いてみるのも大切です。
つよつよエンジニアの位置付け
気付けば成っているのが理想的
筆者はまだ、自分の考えるつよつよエンジニアに成っているとは考えていません。周囲から言われて「あ、そう思ってくれてるんだ」と認識しているレベルです。そのため、このポエムで記載することも完成形ではなく、走っている途中状態であるため、方針変更すらあり得ます。
逆説的ですが「今がつよつよエンジニアだ!」と思った時点で慢心です。今後の下り坂にご注意を。
ワーク・ライフ・バランス
万事に言えることですが、人には向き不向きがあります。
その個体数からも万人向けでは無いのは自明で、自身の生き方に合わせて無理をしないことが第一となります。
プライベート時間や寿命を削ってまでして挑む方もいらっしゃるのは事実で、その努力やパワーは評価するものである事は確かです。だが、ちょっと待ってください。努力や根性で何かを成し遂げる価値観を否定はしませんが、それらは過去のものとすべきです。今はド根性の昭和では無くタイパの令和なのです。それ以上に、時代の潮流に合わせ短時間で残酷なまでにあっさりと価値観は変化していきます。その変化の速さも、AI登場も手伝ってより劇的になっていくのが見えています。
何人たりとも未来の価値観を正確に予想することはできませんが、変化が訪れる事は確実に予想できます。言い方を替えると、今日、つよつよエンジニアと言われた価値が、明日もその価値を保つ保証は無いとも言えます。
逆に、変化するのが判っているので、時代と価値観に合わせ、その時点時点に於いて自分で最善が何かを見定め、動く力を養っておくのは、この先生きのこる上で普遍的な価値を持つ重要なポイントであると考えています。
力を入れるべき方向性を見誤らないためにも、バランスを取るべきなのです。
圧倒的事実
野生のつよつよエンジニアは見掛けますが、促成栽培や組織養殖に成功したとはついぞ聞きません。
すなわち、つよつよエンジニアとは、与えられて成るのではなく「自生する何者かである」と言い切ることは出来ます。とはいえ、自生を促すために畑を耕して肥料を撒く必要性もあるとも言えます。このポエムがその生態の解明の一助となり、有用な肥料となることがあれば幸いです。
つよつよエンジニアになりたいなと思って読まれる方には残酷に聞こえるかもしれませんが、ポエムを読んだだけではスタート地点に立つことすら無く、自分から能動的に行動を起こすことでその一歩が始まるんだよ、という圧倒的事実は最初に断っておきます。
千里の道も一歩から、つよつよエンジニアは一日にして成らず、です。(タイトル回収)
まとめ
連載の冒頭として、つよつよエンジニアとは架空の存在ではなく、組織の中でどういう存在として映るのか、筆者の経験を基にその振る舞いや考え方を記述してみました。
対象とする読者は、つよつよエンジニアになりたい人をメインとしつつも、その同僚や、組織を管理する人、と周囲の立場を想定しております。敢えてそういう書き方をしているのは、ただつよつよエンジニアが組織に居るだけでは足りなくて、存在を認め、活用してこそ価値が出るためです。
つよつよエンジニアに成りたいと思う人は、自己研鑽の範疇とはいえ、まずは組織の中で価値を発揮する人物になって貰いたいと考えています。その努力を、その結果を、自己完結せず、未来のつよつよエンジニア候補に伝え続けていってほしいと思っています。
お断り
記事内容は個人の見解であり、所属組織の立場や戦略・意見を代表するものではありません。
あくまでエンジニアとしての経験や考えを発信していますので、ご了承ください。