この記事では、Hightouchの代表的なユースケースの1つである”オフラインコンバージョンデータの広告プラットフォームへのリバースETL”をやってみました。
筆者は非エンジニアで広告運用の担当者でもないのですが、Hightouchを使うことで簡単にリバースETLのデータパイプラインを構築することができます。
オフラインコンバージョンデータ連携のメリット
始めに、前置きとして「なぜオフラインコンバージョンデータ(オフラインCVデータ)を広告PFに連携する必要があるのか」について簡単に述べておきます。
広告PFにオフラインCVデータが連携されることで広告の効果計測、最適化学習の精度が高まり広告のROIを改善することができます。
メリット1. 広告の効果計測精度が圧倒的に向上し広告のROIが正確に測れる
まず、広告におけるコンバージョンとは
- 広告をクリックしてサイト等へ遷移する
- 流入先のサイトで購買をする
といったユーザー行動の成果を指します。
そしてオフラインCVデータとは
- コールセンターや問い合わせフォーム経由の電話での申し込み
- 店舗への来店・購入
- 営業担当を介して行われた商談の成約
といった、広告PF側では簡単に補足することのできないチャネル(非デジタルチャネル)で発生したコンバージョンのデータになります。
「お出かけの際にXで見かけたお店に寄ってみる」といった行動は多くの人が経験あるのではないでしょうか。
こういった「広告PF側で捕捉しきれないCVデータ」を店舗のPOSデータやSaleforceなどのデータを元に自社のデータ環境でCVデータとして加工し、広告PFへの連携で拡充してあげることで広告のより正確な効果を図ることができ、広告のROI計測の精度向上と無駄な広告支出の削減が可能になります。
メリット2. 機械学習による広告最適化の精度を向上
Google広告などの広告PFでは、広告の配信結果を元に自動入札や配信最適化を自動で行う機能があります。
その最適化において、通常では「広告クリック」などをCVゴールとしておいた学習が行われますが、「購買」などのより最終的な成果のCVデータを連携することで売上に寄与する最適化を実現できます。
Hightouchを使ったオフラインコンバージョンデータ連携のやり方
Hightouchを使った際のオフラインCVデータ連携の主なステップは下記です。
- DWHやスプレッドシートといった自社の何かしらのデータ環境で広告PF向けのCVデータを作成
- Hightouchで連携元(DWHやスプシ)と連携先(Google広告など)それぞれの連携設定
- Hightouch上でマッピングやスケジューリングなどの連携に関する設定
- 連携実行
1. DWHやスプレッドシートといった自社の何かしらのデータ環境で広告PF向けのCVデータを作成
送りたいオフラインCVデータの準備を行います。この工程は送りたいCVデータの種類やデータ環境、元データの形等によって異なるので詳細は割愛します。
送り先の広告PFの様式に沿った形への加工が必要になりますが、Hightouchではそれぞれの広告PFとの連携設定や必要なデータ形式などについての詳細が書かれたドキュメントもあるのでそちらをご参照ください。
基本的には
- CVデータのイベント名
- イベントの発生日時
- 広告PFでユーザーマッチングを行うためのユーザー識別子(ハッシュ化されたメアド等も対応)
などの要素を含める必要があります。
2. Hightouchで連携元(DWHやスプシ)と連携先(Google広告など)それぞれの連携設定
連携元設定(Source設定)
Hightouchでは提供されるコネクタを使って様々なデータソースとの接続設定を行います。それらの設定接続は非エンジニアの私でも簡単にできるようなもので、基本的にHightouchのUIが出す指示に従って必要な項目を入力するだけで完結します。
また、Hightouchの特徴としてHightouchは「ユーザーデータを保持しない製品」のため、基本的には「Hightouchがデータソースの環境に格納されたデータを見に行き、そこで必要なクエリを投げ、連携先製品へAPI経由で投げる」という動作をします。
Hightouchが接続可能なデータ製品はこちらの公式サイトページで検索が可能です。
(https://hightouch.com/integrations)

例:Snowflakeとの接続設定の場合
Snowflakeとの接続では、
例:BigQueryとの接続設定の場合
GCPやAWS、Azure製品との接続の際はそれぞれのクライドプロバイダーのアカウント設定が必要になります。
BigQueryとの接続についてはこちらの記事で詳細なステップを解説しているのでよければご参照ください。
(https://growth-marketing.jp/knowledge/bigquery-hightouch/)
連携先設定(Destination設定)
例:Google広告との接続設定の場合
Google広告との接続においては、HightouchのUI上から接続設定を開くとOAuth経由でHightouchをGoogle Adsに認証することができます。
設定画面で表示される「Google Adsにログイン」をクリックし、Googleアカウントでログインして「許可」をクリックすると接続成功の通知が表示され、お使いのGoogle広告のアカウントが選択できます。


3. Hightouch上でマッピングやスケジューリングなどの連携に関する設定
HightouchではGoogle広告との様々な連携コネクタを持っており、送りたいデータごとにHightouchのUI上で連携設定を行います。
| 連携データの種類 | 説明 | 対応するSyncモード |
|---|---|---|
| カスタマーマッチユーザーリスト | Google 広告の Customer Match 機能向けに顧客リストを作成します。モデル名に基づいて、Google 広告内に自動的にセグメントが作成されます。 | Add, Update, Remove |
| クリックコンバージョン | クエリ結果内の各レコードについて、クリックコンバージョンのトラッキング情報を Google 広告に送信します。 | Insert |
| クリックコンバージョン調整 | クエリ結果内の各レコードについて、クリックコンバージョンの調整データを Google 広告に送信します。 | Insert |
| 通話コンバージョン | クエリ結果内の各レコードについて、通話コンバージョンのトラッキング情報を Google 広告に送信します。 | Insert |
| オフラインストアコンバージョン | クエリ結果内の各レコードについて、オフライン店舗での売上コンバージョン情報を Google 広告に送信します。 | Insert |
マッピング設定
それぞれの連携方法を選択すると、HightouchのUI上で「連携するデータを連携先でどのデータとして扱うか」のカラム単位のマッピングを行います。
Google広告への連携においては基本的に
- 連携するCVデータはどの種類のイベントか
- ユーザー識別子、タイムスタンプ等の各情報のマッピング
の設定を行うだけでOKです。
(その他の追加の設定も可能で、詳細はHightouchの公式ドキュメントから確認できます。https://hightouch.com/docs/destinations/google)

スケジュール設定
最後にHightouch上で連携の頻度やタイミングを指定して完了です。
Hightouchでは多くの連携方法をサポートしています。
- マニュアル実行(都度Hightouchの”Run”ボタン押下)
- 特定間隔での自動実行(分〜週の単位で設定)
- 曜日、日時の指定(日曜日の朝3時に実行 など)
- cronによる指定
- dbt Cloud連携(dbt Cloud内でジョブとして実行できる)
- Fivetran連携
- REST API経由による実行(別で構築しているワークフローにREST APIを叩くジョブを組み込んで使える)
4. 連携実行
作成した連携(Sync)の稼働状況やエラー確認についてはHightouchのUI上で簡単に確認することができます。
最後に
この記事ではGoogle広告などの広告PFへのHightouchを使ったオフラインCVデータ連携について紹介しました。
おそらくこの記事まで辿り着いている方であればHightouchでできることは簡単にご理解いただけると思います。
もしHightouchに関してより詳細を知りたくなったり何か問い合わせたい場合は、下記リンクよりHightouchの日本代理店をやっている株式会社DearOneへお問い合わせください。
(似たような内容の記事をDearOneサイトでも書いています。https://growth-marketing.jp/knowledge/hightouch-case-btoc/)
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この記事が誰かのお役に立てたら幸いです。




