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本記事は OSSのノーコード・ローコード開発ツール「プリザンター」のアドベントカレンダー の14日目の記事です。

(追記) プリザンターのバージョンについて

本エントリはプリザンター ver.1.3.50.2 までの内容です。

ver.1.4.0.0 以降は Docker版プリザンターで運用する方法(1.4系編) - Qiita を参照してください。

はじめに

公式のDockerイメージで運用する方法を書いてみたいと思います。

本エントリではDocker Composeを用いた手順とします。

事前準備

Docker ComposeはDocker Desktopをインストールするか、Compose pluginをインストールする2通りのシナリオがあります。
詳細はドキュメントを参照して使えるようにしておいてください。

配置イメージ

最終的にこのような配置にしていきます。

.
|-- docker-compose.yml
|
+-- app_data_parameters
|   +-- ExtendedSqls
|   |   +-- Sample.json.txt
|   |  
|   +-- Mail.json
|   +-- Rds.json
|
+-- CodeDefiner
|   +-- Dockerfile
|
+---Pleasanter
    +-- Dockerfile

パラメータファイルの配置

まずはパラメータJSONや拡張SQLなど App_Data/Parameters 配下を app_data_parameters に置きます。

app_data_parameters ディレクトリの注意点です。

  1. App_Data/Parameters と同じディレクトリ構造にする必要があります
  2. 変更や追加したファイルだけを配置することを推奨いたします
  3. ファイルを編集しただけでは実行イメージに反映されないため必ず docker compose build を実行してください

環境変数の設定

ConnectionString やPostgreSQLの初期化に必要な環境変数を設定します。設定する項目は以下です。

  • PostgreSQLのバージョン指定
  • PostgreSQL初期化パラメータ
  • PostgreSQL用データボリュームのマウント先パス
  • プリザンターのバージョン指定
  • デーダベース接続文字列(ConnectionString)

PostgreSQLのバージョン指定

※Docker Hubで公開されているバージョンを指定してください

PostgreSQL初期化パラメータ

PostgreSQLの管理ユーザやそのパスワード、DBの指定は環境変数で渡していきます。

  • POSTGRES_USER
  • POSTGRES_PASSWORD
  • POSTGRES_DB
  • POSTGRES_HOST_AUTH_METHOD
  • POSTGRES_INITDB_ARGS

POSTGRES_HOST_AUTH_METHODPOSTGRES_INITDB_ARGS は認証方式を明示的に指定できます。
詳細は PostgreSQLの公式イメージのドキュメントを参照してください。

例としてこうなります。

POSTGRES_HOST_AUTH_METHOD=scram-sha-256
POSTGRES_INITDB_ARGS="--auth-host=scram-sha-256"

こちらのブログが参考になります。

PostgreSQL用データボリュームのマウント先パス

Dockerの機能でコンテナとは別のデータ保持のための機構で、データベースのデータ領域にこのデータボリュームを使います。

  • PGDATA

コンテナ内でデータベースの実体ファイルが置かれるディレクトリをフルパスで指定します。
公式イメージのドキュメントを参照してください。

プリザンターのバージョン指定

プリザンターのバージョンを指定する環境変数です。

重要ポイントです。

  1. Docker Hubの公式イメージとして公開されているバージョンを指定してください
  2. この環境変数がない場合や有効なバージョンではない場合は latest になり、docker compose build を実行したタイミングで公開されている最新バージョンになります

データベース接続文字列(ConnectionString)

いつものデータベース接続文字列ですが、この環境変数名にする必要があります。

  • Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_SaConnectionString
  • Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_OwnerConnectionString
  • Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_UserConnectionString

理由は過去のエントリを参照してください。

データベース接続文字列についてのマニュアルです。

PostgreSQLの環境変数の内容と SaConnectionString に記述されている内容を合わせる必要があります。

SaConnectionString は最初にPostgreSQLにスーパーユーザで接続するための設定が一行で表現されています。それぞれの意味はこうです。

  • Database: 環境変数の POSTGRES_DB と揃える
  • UID: 環境変数の POSTGRES_USER と揃える
  • PWD: 環境変数の POSTGRES_PASSWORD と揃える

いずれもPostgreSQLを初期化する initdb で作成されるものとなります。

PostgreSQLのDocker公式イメージはコンテナの初期化時に initdb が実行されます。
その際に POSTGRES_ ではじまる環境変数のものを使用して初期化するように実装されています。

環境変数のサンプル

各パスワード箇所は ******** にマスクしているため適宜修正してください

PLEASANTER_VER=1.3.xx.y
POSTGRES_VER=15
Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_SaConnectionString='Server=db;Database=postgres;UID=postgres;PWD=********'
Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_OwnerConnectionString='Server=db;Database=#ServiceName#;UID=#ServiceName#_Owner;PWD=********'
Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_UserConnectionString='Server=db;Database=#ServiceName#;UID=#ServiceName#_User;PWD=********'
POSTGRES_USER=postgres
POSTGRES_PASSWORD=********
POSTGRES_DB=postgres
POSTGRES_HOST_AUTH_METHOD=scram-sha-256
POSTGRES_INITDB_ARGS="--auth-host=scram-sha-256 --encoding=UTF-8"
PGDATA=/var/lib/postgresql/data

各定義ファイルのサンプル

以降にサンプルを載せますのでそれぞれ配置してください。

docker-compose.yml

version: '3.7'

services:
  pleasanter:
    build:
      context: .
      dockerfile: ./Pleasanter/Dockerfile
      args:
        - VERSION=${PLEASANTER_VER}
    container_name: pleasanter_${PLEASANTER_VER}
    environment:
      Implem.Pleasanter_Rds_SaConnectionString: ${Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_SaConnectionString}
      Implem.Pleasanter_Rds_OwnerConnectionString: ${Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_OwnerConnectionString}
      Implem.Pleasanter_Rds_UserConnectionString: ${Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_UserConnectionString}
    depends_on:
      - db
    ports:
      - '8881:80'
    networks:
      - default
  codedefiner:
    build:
      context: .
      dockerfile: ./CodeDefiner/Dockerfile
    container_name: codedefiner
    environment:
      Implem.Pleasanter_Rds_SaConnectionString: ${Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_SaConnectionString}
      Implem.Pleasanter_Rds_OwnerConnectionString: ${Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_OwnerConnectionString}
      Implem.Pleasanter_Rds_UserConnectionString: ${Implem_Pleasanter_Rds_PostgreSQL_UserConnectionString}
    depends_on:
      - db
    networks:
      - default
    stdin_open: true
  db:
    container_name: postgres${POSTGRES_VER}
    image: postgres:${POSTGRES_VER}
    volumes:
      - type: volume
        source: pg_data
        target: ${PGDATA}
    networks:
      - default
    environment:
      - POSTGRES_USER
      - POSTGRES_PASSWORD
      - POSTGRES_DB
      - POSTGRES_HOST_AUTH_METHOD
      - POSTGRES_INITDB_ARGS
      - PGDATA
    user: postgres
  dbbackup:
    image: ubuntu
    container_name: dbbackup
    networks:
      - default
    volumes:
      - type: volume
        source: pg_data
        target: /pg_data
      - type: bind
        source: .
        target: /backup

volumes:
  pg_data:
    name: ${COMPOSE_PROJECT_NAME:-default}_pg_data_${POSTGRES_VER}

networks:
  default:
    name: pleasanter_prod_network

CodeDefiner/Dockerfile

FROM implem/pleasanter:codedefiner

COPY app_data_parameters/ /app/Implem.Pleasanter/App_Data/Parameters/
ENTRYPOINT [ "dotnet", "Implem.CodeDefiner.dll" ]

Pleasanter/Dockerfile

ARG VERSION=latest
FROM implem/pleasanter:${VERSION}

COPY app_data_parameters/ App_Data/Parameters/
ENTRYPOINT [ "dotnet", "Implem.Pleasanter.dll" ]

イメージ構築・DB初期化

実行する前にコンテナイメージのビルド(build)をする点を意識してください。(忘れがちです)

各定義ファイルを配置したら実行してみます。

  • プリザンターのイメージ構築

    docker compose build
    
  • DB初期化

    docker compose run --rm codedefiner _rds
    
  • プリザンターのサービス用のコンテナを構築、作成、実行

    docker compose up -d pleasanter
    

ブラウザで http://localhost:8881/ にアクセスして、起動の確認をしてください。

初回のログインはいつもの通りです。

プリザンター停止

docker compose stop pleasanter

プリザンターのコンテナは残ったまま停止します。

PostgreSQLのコンテナは実行したままです。

プリザンター起動

stop した場合は、start とすることで再度実行することができます。

docker compose start pleasanter

PostgreSQL停止

PostgreSQLのコンテナを停止します。 コンテナは残ったままです。
start すれば再度実行されます。

docker compose stop db
docker compose start db

コンテナログ

  1. 各サービスのコンテナのログを確認できます。

    docker compose logs [サービス名]
    
  2. -f オプションでログを出力し続けますので起動確認などで利用すると良いです。

    docker compose logs -f [サービス名]
    

コンテナ及びネットワークの削除

down すると次のものが依存関係を保ちながらコンテナが削除されます。

docker compose down
[+] Running 3/3
 ✔ Container pleasanter_1.3.48.0    Removed
 ✔ Container postgres15             Removed
 ✔ Network pleasanter_prod_network  Removed       
  1. プリザンターのコンテナ
  2. PostgreSQLのコンテナ
  3. ネットワーク

このコマンドを実行してもPostgreSQLのデータが格納されているデータボリュームはそのまま残っています。

再び実行したい場合は、

docker compose up -d pleasanter

とすると、ネットワーク作成後、PostgreSQLのコンテナとプリザンターのコンテナが作成されて起動します。

[+] Building 0.0s (0/0)
[+] Running 3/3
 ✔ Network pleasanter_prod_network  Created
 ✔ Container postgres15             Started
 ✔ Container pleasanter_1.3.48.0    Started

バージョンアップの仕方

プリザンターのバージョンアップは以下の手順で実施できます。

  1. プリザンターの停止
  2. 環境変数のバージョンを変更
  3. 新バージョンのコンテナイメージを作成
  4. CodeDefinerの更新とDBの再定義
  5. プリザンターを実行

プリザンターのコンテナ停止

docker compose stop pleasanter

環境変数のバージョンを変更

Docker Hubにてバージョンタグを確認し環境変数のPLEASANTER_VERを変更します。

プリザンターのバージョンアップ情報を確認してパラメータの差分があれば反映します。

新バージョンのコンテナイメージを作成

docker compose build

CodeDefinerの更新とDBの再定義

pullしてCodeDefinerのイメージを更新します。

docker compose pull codedefiner

DBの再定義を実施します。

docker compose run --rm codedefiner _rds

プリザンターを実行

docker compose up -d pleasanter
[+] Building 0.0s (0/0)
[+] Running 3/3
 ✔ Container postgres15           Running
 ✔ Container pleasanter_1.3.48.0  Recreated
 ✔ Container pleasanter_1.3.49.0  Started

停止して残っていた前バージョンのコンテナを再作成して新バージョンのコンテナとして再作成後開始します。

データベースのデータは引き継がれます。

コンテナ内を確認するには

ここからはコンテナの中身を確認したりする手順や注意点を書いていきます。

  1. コンテナイメージがどのようになっているか確認する場合

    docker compose run --rm --entrypoint /bin/bash pleasanter
    
  2. 動いているpleasanterのコンテナインスタンス内に入る場合

    docker compose exec pleasanter /bin/bash
    

    ※動いているコンテナや Compose projects がある状態で有効なコマンドです。以下の条件を満たしている 必要があります。

    • docker compose ls: running となっているプロジェクトが存在すること
    • docker ps: コンテナ一覧に表示されること

データボリュームのバックアップをするには

データボリュームとホストのバックアップ先ディレクトリをマウントし tar でPostgreSQLのデータディレクトリをアーカイブすることで、バックアップが可能です。

例) pgdata-backup.tar.gz として実行時のディレクトリに作成する

docker compose run --rm dbbackup tar czvf /backup/pgdata-backup.tar.gz -C /pg_data .

コンテナ、ネットワーク、データボリュームの削除

※注意※ : データボリュームの削除はデータベースのデータディレクトリ(${PGDATA})の削除と同じ意味なので注意してください

docker compose down -v

以上です。

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