はじめに
Xilinx 社のFPGA開発環境の Vivado SDK、いちいち GUI でマウスボタンをポチポチするのは面倒です。
Vivado SDK は Tcl スクリプトでバッチ処理が出来るので、決まり切った仕事なら Tcl スクリプトを書いて処理させたほうが楽です。
この記事では、Vivado SDK で Zynq の FSBL(First Stage Boot Loader)を自動的に生成するスクリプトを紹介します。
環境
- Xilinx Vivado SDK 2017.1
- Xilinx Vivado SDK 2018.3
- Xilinx Vivado SDK 2019.1
「Vivado SDK でZynq FSBL(First Stage Boot Loader)をビルドするTclスクリプト」で紹介した Tcl スクリプトでは Xilinx Vivado SDK 2017.1 以降では動作しません。Xilinx Vivado SDK 2017.1 で同様のことを行うには、ここで紹介する hsi コマンドを使います。ちなみに hsi とは Hardware Software Interface とのこと。
ここで紹介する Tcl スクリプトは、Xilinx Vivado 2019.2 (Vitis) 以降では動作しません。Vivado (Vitis) で同様のことを行うには、「Vivado(Vitis) で Zynq FSBL(First Stage Boot Loader) をビルドするTclスクリプト」を参照してください。
手順
ハードウェアスペックファイルを用意しておく
この Tcl スクリプトではワークスペース(後述)の下にハードウェアスペックファイルを用意しておく必要があります。
通常は Vivado でインプリメンテーションした後、Export > Export Hardware... でハードウェアスペックファイルを作ります。
また、こちらの記事(Vivadoでハードウェア情報をエクスポートするTclスクリプト)も参考にしてください。
Tclスクリプトを用意する
まずはスクリプト全体を示します。
#!/usr/bin/tclsh
set app_name "fsbl"
set app_type "zynq_fsbl"
set hwspec_file "design_1_wrapper.hdf"
set proc_name "ps7_cortexa9_0"
set project_name "project"
set project_directory [pwd]
set sdk_workspace [file join $project_directory $project_name.sdk]
set app_dir [file join $sdk_workspace $app_name]
set app_release_dir [file join $sdk_workspace $app_name "Release"]
set hw_design [open_hw_design [file join $sdk_workspace $hwspec_file]]
generate_app -hw $hw_design -os standalone -proc $proc_name -app $app_type -compile -dir $app_dir
file mkdir $app_release_dir
file copy [file join $app_dir "executable.elf"] [file join $app_release_dir "fsbl.elf"]
exit
hsi を実行する
hsi のバッチモードで前節の Tclスクリプトを実行します。
これでワークスペース(後述)の下の fsbl/Release に fsbl.elf が出来ていれば成功です。
Vivado% hsi -mode tcl -source build_fsbl.tcl
Tclスクリプトの説明
各種定数を定義しておく
まずは様々な定数を定義しておきます。
この例ではハードウェアスペックファイルの名前を design_1_wrapper.hdf としていますが、実際には Vivado で Export した時のファイル名を設定します。
#!/usr/bin/tclsh
set app_name "fsbl"
set app_type "zynq_fsbl"
set hwspec_file "design_1_wrapper.hdf"
set proc_name "ps7_cortexa9_0"
set project_name "project"
set project_directory [pwd]
set sdk_workspace [file join $project_directory $project_name.sdk]
set app_dir [file join $sdk_workspace $app_name]
set app_release_dir [file join $sdk_workspace $app_name "Release"]
ハードウェアスペックファイルを開く
ここでワークスペースの下に事前に用意しておいたハードウェアスペックファイルを指定します。
set hw_design [open_hw_design [file join $sdk_workspace $hwspec_file]]
アプリケーションプロジェクトを作って FSBL をビルドする
generate_app コマンドを使ってアプリケーションプロジェクトを作り、コンパイルします。
-hw
オプションには前節で開いておいたハードウェアスペックファイルを指定します。
generate_app -hw $hw_design -os standalone -proc $proc_name -app $app_type -compile -dir $app_dir
生成した executable.elf を fsbl.elf にコピーする
generate_app コマンドが成功すると、app_dir で指定したディレクトリに executable.elf というファイルが出来ます。これが目的の fslb.elf です。このファイルを app_release_dir で指定したディレクトリに fsbl.elf としてコピーします。
file mkdir $app_release_dir
file copy [file join $app_dir "executable.elf"] [file join $app_release_dir "fsbl.elf"]
参考
- Generating Basic Software Platforms Reference Guide UG1138(v2014.4) November 19,2014
- Xilinx Software Command-Line Tool(XSCT) UG1208(v2017.1) April 5, 2017
- http://www.wiki.xilinx.com/Build+FSBL
- 「VivadoをGUIを使わずに実行するためのTclスクリプト達」@Qiita
- 「Vivado SDK でZynq FSBL(First Stage Boot Loader)をビルドするTclスクリプト」@Qiita
- 「Vivado(Vitis) で Zynq FSBL(First Stage Boot Loader) をビルドするTclスクリプト」@Qiita