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Delphi 1~4 でコンソールアプリケーションを作る

Last updated at Posted at 2020-10-13

はじめに

何を今更な話です。

コンソールアプリケーションについて

正確には Win32 コンソールアプリケーション の事です。Delphi の殆どのバージョンでは、コンソールアプリケーションを

  • [ファイル | 新規作成 | アプリケーション] で開くアプリケーションウィザード
  • [ファイル | 新規作成 | コンソールアプリケーション]

いずれかから作れるのですが、コンソールアプリケーション用のウィザードが実装されたのは Delphi 5 からとなります。
image.png
Delphi 5よりも前のバージョンでもコンソールアプリケーションは作れたのですが、IDE から作ろうとするとちょっと面倒な手順を踏む必要がありました。

■ Delphi 1

Delphi 1 ではコンソールアプリケーションは作れませんし、MS-DOS アプリケーションも作れないのですが、CRT アプリケーションという疑似コンソールアプリケーションが作れます。
image.png

簡単なやり方

[オプション | 環境...] でオプションダイアログを開き、[ギャラリー] の プロジェクトの新規作成で表示 にチェックを入れておくと、
image.png
[ファイル | 新規作成] で CRT アプリケーションを作れるようになります。
image.png

面倒なやり方

  1. 新規にプロジェクトを作成します。
  2. [表示 | プロジェクトマネージャ] でプロジェクトマネージャを表示します。
    image.png
  3. ユニット (画像では Unit1) を選択し、[削除] ボタンを押します。保存を聞かれますが [いいえ] を押します。
    image.png
  4. [表示 | プロジェクトソース] を開きます。

開いたプロジェクトソースは次のようになっているので、

program Project1;

uses
  Forms;

{$R *.RES}

begin
  Application.Run;
end.

となっているのを

program Project1;

uses
  WinCRT;

begin

end.

と書き換えます。これで CRT アプリケーションが作れるようになります。

See also:

■ Delphi 2

ウィザードではコンソールアプリケーションを作れません。
image.png

簡単なやり方

次のファイルを Project1.dpr という名前で好きな場所にコピーします。

Project1.dpr
program Project1;

{$APPTYPE CONSOLE}

{$R *.res}

uses
  SysUtils;

begin

end.

[ファイル | 開く] で上記ファイルを開きます。

面倒なやり方

  1. [ファイル | 新規作成] でアプリケーションを選択します。
  2. [プロジェクト | プロジェクトから削除...] で Unit1 を削除します。
    image.png
  3. 保存を聞かれますが [いいえ] を押します。
    image.png
  4. [表示 | プロジェクトソース] を開きます。

開いたプロジェクトファイルを次のように書き換えます。

Project1.dpr
program Project1;

{$APPTYPE CONSOLE}

{$R *.res}

uses
  SysUtils;

begin

end.

共通

[プロジェクト | オプション...] で [リンカ] タブの コンソールアプリケーションの作成 にチェックを入れておきます。
image.png
uses 句に SysUtils を追加してあります。実際には uses 句がなくてもコンソールアプリケーションとして成立するのですが、別名保存しようとした際や、開き直した時にエラーが発生してしまいます。
image.png

■ Delphi 3

ウィザードではコンソールアプリケーションを作れません。
image.png

簡単なやり方

次のファイルを Project1.dpr という名前で好きな場所にコピーします。

Project1.dpr
program Project1;

{$APPTYPE CONSOLE}

{$R *.res}

uses
  SysUtils;

begin

end.

[ファイル | 開く] で上記ファイルを開きます。

面倒なやり方

  1. [ファイル | 新規作成] でアプリケーションを選択します。
  2. [プロジェクト | プロジェクトから削除...] で Unit1 を削除します。
    image.png
  3. 保存を聞かれますが [いいえ] を押します。
    image.png
  4. [表示 | プロジェクトソース] を開きます。

開いたプロジェクトファイルを次のように書き換えます。

Project1.dpr
program Project1;

{$APPTYPE CONSOLE}

{$R *.res}

uses
  SysUtils;

begin

end.

共通

[プロジェクト | オプション...] で [リンカ] タブの コンソールアプリケーションの作成 にチェックを入れておきます。
image.png
uses 句に SysUtils を追加してあります。実際には uses 句がなくてもコンソールアプリケーションとして成立するのですが、別名保存しようとした際や、開き直した時にエラーが発生してしまいます。
image.png

■ Delphi 4

ウィザードではコンソールアプリケーションを作れません。
image.png

簡単なやり方

次のファイルを Project1.dpr という名前で好きな場所にコピーします。

Project1.dpr
program Project1;

{$APPTYPE CONSOLE}

{$R *.res}

uses
  SysUtils;

begin

end.

[ファイル | 開く] で上記ファイルを開きます。

面倒なやり方

  1. [ファイル | 新規作成] でアプリケーションを選択します。
  2. [プロジェクト | プロジェクトから削除...] で Unit1 を削除します。
    image.png
  3. 保存を聞かれますが [いいえ] を押します。
    image.png
  4. [プロジェクト | ソース表示] でプロジェクトファイルを開きます。プロジェクトマネージャの Project1.exe の部分を右クリックし [ソース表示] を選んで開く事もできます。
    image.png

開いたプロジェクトファイルを次のように書き換えます。

Project1.dpr
program Project1;

{$APPTYPE CONSOLE}

{$R *.res}

uses
  SysUtils;

begin

end.

共通

[プロジェクト | オプション...] で [リンカ] タブの コンソールアプリケーション にチェックを入れておきます。
image.png
uses 句に SysUtils を追加してありますが、 uses 句がなくてもコンソールアプリケーションとして成立します。

コンソールアプリケーションに関連するルーチン

コンソール入出力ルーチンです。

ルーチン 名前空間 説明
Read() System ファイルからデータを読み込みます。
Readln() System ファイルからテキストを 1 行読み込みます。
Write() System ファイルにデータを書き込みます。
Writeln() System ファイルにデータを書き出し、行末マーカーを追加します。
  • Read() / Readln() はファイル変数を省略した場合、グローバル変数 Input が使用され、プロセス標準入力ファイルにアクセスします。
  • Write() / Writeln() はファイル変数を省略した場合、グローバル変数 Output が使用され、プロセス標準出力ファイルにアクセスします。

See also:

おわりに

Delphi 5 以降ならコンソールアプリケーションを作るのに苦労 (?) しなくていいって事ですね。

なお、Delphi 5 がウィザードで生成するコンソールアプリケーションのひな型は次のようなものになります。

Project1.dpr
program Project1;
{$APPTYPE CONSOLE}
uses SysUtils;

begin
  // ここにプログラムコードを書いてください。
end.

最新の 10.4 Sydney だと次のようなコードが生成されます。

Project1.dpr
program Project1;

{$APPTYPE CONSOLE}

{$R *.res}

uses
  System.SysUtils;

begin
  try
    { TODO -oUser -cConsole メイン : ここにコードを記述してください }
  except
    on E: Exception do
      Writeln(E.ClassName, ': ', E.Message);
  end;
end.

最近の Delphi は macOS 用のコンソールアプリケーションや Linux (Enterprise 版以上) 用のコンソールアプリケーションも作れますヨ。
image.png
あと、コンソールアプリケーション用のアイコンがインストールフォルダ直下にあります。48x48, 32x32, 16x16 の 8bit / 32bit 色アイコンです。
image.png

See also:

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