はじめに
『Delphi 10.1 Berlin』 についての概要です。
概要
製品概要です。
項目 | 説明 |
---|---|
製品名 | Delphi 10.1 Berlin |
コードネーム | BigBen |
発売年 | 2016 |
発売元 | Embarcadero Technologies |
ビルドバージョン | 24.0 |
コンパイラバージョン | 31.0 |
BDS バージョン | 18.0 |
サポートプラットフォーム | Windows (32/64 bit) / macOS (32bit) / iOS デバイス (32/64 bit) / iOS シミュレータ (32bit) / Android (32bit) |
前バージョンとの違い
- インストーラが刷新されて高速になった
- IDE が Microsoft Visual J# 2.0 再頒布可能パッケージを必要としなくなった
- Windows Desktop Bridge (Windows 10 ストアアプリ) をサポート
- [フォームデザイナ] でフローティングデザイナが復活した (VCL / FMX)
- [FireUI ライブプレビュー] が実装された
- クラスヘルパを使うとクラスの private メンバにアクセスできる裏技が封じられた
- FireMonkey のコントロールでアクセラレータキーが使えるようになった
- Windows 10 で BLE とビーコンがサポートされるようになった
-
unsafe
,volatile
,weak
コンパイラ属性がすべてのプラットフォームで使えるようになった - VCL に新しいカレンダーコントロール (
TCalendarView
,TCalendarPicker
) が追加された (Update 2) - [オブジェクトインスペクタ] で
TAlign
等に『Konopka』拡張 (プロパティエディタ) が入っている。クイック編集 と呼ばれるコントロールを右クリックして呼び出せる機能も追加された (Update 2)
その他
- Appmethod (のサブスクリプション) がリリースされなくなった
- Starter Edition が無償になった
-
TParallel.For()
が最初の 2 ループを同じスレッドで実行してしまう -
TParallel.Join()
が最初の 2 つのタスクを同じスレッドで実行してしまう - リボンコントロールが標準でインストールされなくなった (GetIt から取得可能)
- Update 2 をインストールすると起動時に DBX のエラーが出る事がある
- Update 2 をインストールすると Android デプロイ時に paclient error 217 が出る事がある
- Community Toolbar の問題が発生する (外しましょう)
Delphi 10.1 Berlin Starter Edition が無償に!
当初、Delphi 10.1 Berlin Starter Edition の無償ダウンロードは期限付きだったのですが、後に無期限になりました。実に 8 年ぶりに無償版が復活した事になります 1。
何故か Delphi Starter Edition と C++Builder Starter Edition を同居する事が可能で、ミニ RAD Studio を作る事ができました。
無償化で本当に喜んだのは既存の有償版ユーザーだったのではないでしょうか?どれだけ Delphi の良さを説いても、試してもらうためのハードルがとても高かったのですから 23。
おわりに
新機能がないわけではないのですが、FireMonkey への改良だったり、モバイル機器の新しい OS への対応だったりで、VCL をメインに使っている人からすれば地味なバージョンに見えるかもしれません。
フローティングデザイナが復活したのは朗報でしたが、元のとは違うんですよね...。
Update 2 の問題はどちらも DBX 関連です。
-
C:\Users\Public\Documents\Embarcadero\Studio\dbExpress\18.0
にあるファイルを移動するかリネーム -
[コンポーネント | パッケージのインストール]
で (チェックが外れているであろう) DBX 関連のパッケージにチェックを入れる
とやって、C:\Users\Public\Documents\Embarcadero\Studio\dbExpress\18.0
に ある dbxconnections.win
と dbxdrivers.win
をそれぞれ dbxconnections.ini
と dbxdrivers.ini
にリネーム (元々あったものは削除) するといいようです。
とても個人的な余談
Delphi 10.1 Berlin がリリースされたのは 2016/04/20 なのですが、
日付 | 出来事 |
---|---|
2016/04/14 | 熊本地震 (前震) |
2016/04/15 | 心筋梗塞で緊急入院 |
2016/04/16 | 熊本地震 (本震) / ICU の中 |
2016/04/19 | ICU を出る |
2016/04/20 | Delphi 10.1 Berlin リリース |
下手すると私は『Delphi 10.1 Berlin』を拝む事なくこの世を去っていたかもですねぇ...(^^;A
Advent Calendar の記事
メタ的な話をすると、Delphi は 28 バージョンあるのに『Advent Calendar』は 25 日分しかないので、残りの分をどうしようかと思いました。結局はこちら (シリーズ 2) に 25 バージョン分の記事を、残りの 3 バージョン分の記事を シリーズ 1 で公開する事にしました。
最後の 6 バージョンは互い違いに公開した方が、Advent Calendar 的には順序通りになるのですが、
日付 | シリーズ 1 | シリーズ 2 |
---|---|---|
1..22 | 1 ~ 10.0 Seattle | |
23 | 10.1 Berlin | 10.2 Tokyo |
24 | 10.3 Rio | 10.4 Sydney |
25 | 11 Alexandria | 12 Athens |
後で読む事を考えるとこちら (シリーズ 2) に 25 年分揃っていた方がいいだろう、と。
日付 | シリーズ 1 | シリーズ 2 |
---|---|---|
1..22 | 1 ~ 10.0 Seattle | |
23 | 10.4 Sydney | 10.1 Berlin |
24 | 11 Alexandria | 10.2 Tokyo |
25 | 12 Athens | 10.3 Rio |
シリーズ 2 はリリース順になりますしね。
2019 年にこの企画を思いついていれば、キレイに 25 本で済んだ訳です (^^;A
See also:
- Delphi / C++Builder の新機能 (2007 以降) (Qiita)
- 【Delphi】クラスヘルパによる private メンバアクセスの件を with 文で回避できると聞いて (Qiita)
- Delphi Community Edition と過去の無償版との比較 (Qiita)
- Delphi Starter Edition でメモ帳クローンを作る (前編) (Qiita)
- Delphi / C++Builder で Windows 10 ストアプリ制作! (Qiita: @kazaiso)
- Desktop Bridge アプリ を Windows ストアへ申請・登録して公開する手順 (Qiita: @kazaiso)
- Delphi 無償版リリースについて (10年ぶり3度目) (togetter)
- オフラインインストール用に登録コードを取得する(RAD Studio/Delphi/C++Builder XE6以降、InterBase XE7以降、ER/Studio 10以降)(Support Wiki)
- 手動アンインストール手順(RAD Studio 10.1)(Supprt Wiki)
- RAD Studioの過去バージョンのIDEを起動した際、CommunityToolbarが原因で「このページのスクリプトでエラーが発生しました。」というエラーが多数発生する (Support Wiki)
索引
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-
『Turbo Delphi Explorer』から 10 年ぶり。Embarcadero が『Turbo Explorer』シリーズをダウンロードできなくしたのが 2008 年なので、そこからだと 8 年ぶり。 ↩
-
機能を削られまくった Startter Edition ですら 3 万円を超えていました (但し、アップデートサブスクリプション込みの価格です)。 ↩
-
今は無償の Community Edition があるんだから、試してくれてもいいんやで? ↩