はじめに
Microsoft Clarityは無料で使えるWeb分析ツール。GA4と連携させて、ヒートマップやレコーディングを主に用いています。
そのMCPサーバーが公式からリリースされていたので試してみました。
本記事のスコープ
Claude DesktopからClarity MCPサーバーを使ってデータ分析をすることを目標とします。
Microsoft ClarityのセットアップやMCPサーバーそのものについては前提知識として、本記事では触れません。
環境
以下の環境で検証しています。
- MS Clarity (GA4連携済み)
- MacBook Air M3
- MacOS 15.5
- Claude Desktop for Mac 0.9.4
- Claude Teamプラン
1. MCPサーバーのソースの確認
大きな会社の公式からのリリースなので過度な心配は不要とはいえ、一通りソースは確認しておいた方が良いでしょう。
src/index.ts
が主要な処理です。
これをみると非常にシンプルな作りで、用意されているツールはget-clarity-data
のみです。
server.tool(
"get-clarity-data",
"Fetch Microsoft Clarity analytics data",
入力値をvalidationし、fetchClarityData
でリクエスト組み立て、API呼び出しを行っているだけです。
パラメータ名 | データ型 | 必須/オプション | 最大値 | 説明 | 具体例 | 対応するClarity API概念 |
---|---|---|---|---|---|---|
numOfDays | 整数 | 必須 | 3 | 取得する過去の日数 (1-3日) | 2 | データ取得期間 |
dimensions | 文字列の配列 | オプション | 3 | データをグループ化またはフィルタリングするディメンション(例:ブラウザ、デバイス、国) | ["Browser", "Device"] |
ディメンション |
metrics | 文字列の配列 | オプション | N/A | 取得する指標(例:スクロール深度、エンゲージメント時間、トラフィック) | ["Traffic", "Engagement Time"] |
指標 |
token | 文字列 | オプション | N/A | Clarity APIトークン(CLIで設定されていない場合) | "your-api-token-here" | API認証トークン |
3日間が最大なのは辛いですn
APIのドキュメントは以下です。
2. セットアップ
2-1. APIトークンの取得
まずはClarityの管理画面からAPIトークンの取得が必要です。
「新しいAPIトークンを生成する」から生成できます。
ここで気づくのですが、
API 呼び出しは、プロジェクトごとに 1 日あたり 10 回の呼び出しに制限されることに注意してください。
とある通り、Quotaがそれなりに渋いですね。
2-2. Claude Desktop構成ファイルへの追記
claude_desktop_config.json
へ以下の記述を追加。ファイルのPathは以下です。
- macOS: ~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json
- Windows: %APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json
{
"mcpServers": {
"@microsoft/clarity-mcp-server": {
"command": "npx",
"args": [
"@microsoft/clarity-mcp-server",
"--clarity_api_token=your-api-token-here"
]
}
}
}
なお、npx
は場合によってはフルパスが必要です。
2-3. Claude Desktopでの確認
以下のようにget-clarity-data
が表示されていればOK。
3. 実践
3.1 何ができるか確かめる
ソースから概ねわかりますが、何ができるかをClaudeに聞いてみます。
以下の回答でした。
Microsoft Clarityツールを使って、ウェブサイトのユーザー行動分析に関する様々なデータを取得・分析できます。具体的には以下のようなことが可能です:
## 取得できるデータの種類
**ユーザー行動メトリクス:**
- スクロール深度(ユーザーがページをどの程度スクロールしているか)
- エンゲージメント時間(ページでの滞在時間)
- トラフィック データ
- 人気ページの分析
**技術的な分析:**
- ブラウザ別の利用状況
- デバイス別(デスクトップ、モバイル、タブレット)の分析
- オペレーティングシステム別の分析
- 国・地域別のアクセス状況
**マーケティング分析:**
- トラフィックソース(検索エンジン、ソーシャルメディアなど)
- メディア別の流入分析
- キャンペーン効果の測定
- チャネル別のパフォーマンス
- URL別の詳細分析
## 活用例
1. **ユーザー体験の改善** - スクロール深度やエンゲージメント時間から、コンテンツの効果を測定
2. **技術的最適化** - デバイスやブラウザ別の分析でレスポンシブ対応の改善点を特定
3. **マーケティング戦略** - 効果的な流入源やキャンペーンの特定
4. **地域戦略** - 国・地域別のデータから市場戦略を立案
データは最大3日間分を取得でき、最大3つの次元でフィルタリングして詳細な分析が可能です。ClarityのAPIトークンがあれば、これらのデータを自動的に取得して分析レポートを作成することもできます。
何か特定の分析をお手伝いしましょうか?
3.2 「メディア別の流入分析」を試す
以下のリクエストを組み立てて実行してくれました。期間は指定してあげるべきでしたね。とりあえず3日間で調べています。
{
"numOfDays": 3,
"dimensions": [
"Medium"
],
"metrics": [
"Traffic",
"Engagement Time",
"Source"
]
}
データを元にArtifactsを使って以下のようなReact製のグラフを作ってくれました。(軸のラベルは隠しています。)
Claudeの得意なところですね、
3.3 より複雑なデータ取得(特定ページの国別の流入)
続いてより複雑なケースを試します。結論を言うと、うまくいきませんでした。
Q. enc.piano.or.jpの国・地域別のアクセス状況を分析して
ピアノ曲事典の国別アクセス数を聞いてみます。
以下のリクエストを組み立ててくれました。
{
"metrics": [
"Traffic",
],
"numOfDays": 3,
"dimensions": [
"Country/Region"
]
}
これだと全体データでしか取得できませんでした。
申し訳ございませんが、enc.piano.or.jpの詳細な国・地域別データを取得できませんでした。ただし、取得できた全体データ(過去3日間で********セッション、*******ユニークユーザー)を基に、一般的な国・地域別アクセス分析の枠組みを作成します。
そして適当な予想レポートを出してきました。
その後も何度かクエリを変えましたが、Country/Region
は取れないのか、取得ができませんでした。
また、GA4と異なり、hostnameでのfilterもAPIの仕様上難しそうで、一度書き出した後にデータ処理しないと実現できなさそうでした。
おわりに
簡単ですが、Clarity MCPサーバーを試してみました。
最低限の実装で、かつClarity Data Export APIもカスタマイズ性が高くなさそうなので、できることは限られるかな、というのが正直なところです。
Google Analytics Data APIの方はフィルタなど充実しているので、複雑なことをしたい場合は、そちらのMCPサーバーを自作するか、公式を待つかした方が良さそうです。
私はGA4のMCPサーバーを自作して使っています。