Linux Foundation Japan Evangelist オートモーティブ担当の石井です。
2025年5月にJapan Evangelistの末席に加えていただきました。不束者ですが、どうぞよろしくお願いいたします😆
本記事は、OpenChain Japan Advent Calendar 2025 の1コンテンツとして、2025年10月21日(火)〜22日(水)に大阪で開催された「Linux Foundation Japan Community Days」のオートモーティブ/組み込みトラックについて振り返ります。イベント全体像や他トラックの雰囲気については、エバンジェリスト諸先輩の素敵な記事もぜひご覧ください: 藤本さん、池田さん、小原さん
※Qiitaへの記載内容は個人の見解であり、所属組織やコミュニティを代表するものではありません。
Day1:基調講演 & パネルディスカッション
初日は各コミュニティのエバンジェリストが、各領域の最新動向やコミュニティの発展状況を基調講演として紹介しました。
私のセッション「なぜ今、OSSなのか?AGLとともに考えるモビリティの未来」では、Software Defined Vehicle (SDV) の実現に向け、 Automotive Grade Linux (AGL) をはじめとするOSSの重要性やオープンプラクティスの価値を、AGLの普及状況を示す最新データや技術的取り組みの紹介とともにお伝えしました。
特に、先日プレス発表されたMixed-Criticalityシステム向けの仮想化リファレンスプラットフォーム「SoDeV」や、SBOM活用プラクティスとリファレンスシステム構築を目指す「AGL Assessment Automation(AAA)」についての反響が大きかったです。
また、他のエバンジェリストの皆様のセッションも非常に意義深く、自分自身、勉強になることが多かったです。ご興味のある方はぜひ、イベントページから資料をご確認ください!
続くパネルでは 「OSSプロジェクトへのAIインパクト」 をテーマに、全エバンジェリスト参加でのコミュニティ横断のディスカッションが行われました。バックグラウンドもフォーカスも異なるエバンジェリストだからこそ可能な、大変興味深く示唆に富んだディスカッションになり、「今の生成AIは活きのいい若手社員みたいなもの」などの名言(?)も飛び出しました。
Day2:オートモーティブ/組み込みトラック
2日目は各コミュニティごとのブレークアウトセッションが開催され、私はオートモーティブ/組み込みトラックのオーガナイザーを担当しました。産業横断の広がりを意識して、オートモーティブに加えて“組み込み”もテーマに加えたのですが、「おかげで自社事業との繋がりがわかりやすくなり、イベントに参加しやすくなりました」と嬉しいコメントをいただくことができました。よかった!
今回のセッションリストは下記の通りです。AGLだけでなく、Zephyr、Yocto、Xenなど広く需要のあるテーマを網羅し、それぞれ粒ぞろいの内容で大好評をいただけました。50席の会場は常時ほぼ満員で、一部のセッションでは立ち見の方もいらっしゃいました。
残念ながら動画の公開はありませんが、下記のリンクからぜひ資料をご覧ください!
- SDV最前線:標準化の潮流とAGLの役割
- SDVのゲームチェンジャー AGL SDV Reference PF –SoDeV-
- 自動車業界からもコントリどんどん行こうぜ!~AGL OSPO-EGの紹介とサーベイ結果分析より~
- Zephyr in SDV – Xenにおける軽量DomDの実現に向けて
- あまり知られていない(かもしれない)Yocto Projectのディープなツールたち
- Xen Summit 2025レポート
- Linux Kernel LTS勉強会へのお誘い
- AAA: AGL Assessment Automation
イベント開催を通じての学び
- 本イベントは、私のエバンジェリスト就任後初の大仕事になりました。不慣れな役回りで不安も大きかったですが、結果としてイベントを形にできたことで、エバンジェリストとして少しステップアップできた気がします。準備・当日運営に関わってくださった皆様、特に素晴らしいスピーカーの皆様に改めて感謝申し上げます!
- クラウドネイティブ、コンプライアンス、セキュリティなど、技術領域で括られる他コミュニティに対し、オートモーティブは産業軸のコミュニティで、すべての技術テーマを横断活用する必要がある分、今回のようなクロスコミュニティ型のイベントはまさにうってつけだと感じました。
- ローカルで顔を合わせて議論できる場には、オンラインでは代替しづらい価値があります。今後もこのような形で、日本各地でイベントを開催し、OSSの普及とコミュニティの盛り上がりに貢献できると嬉しいです。
2025年の振り返りとまとめ
先週開催されたOpen Source Summit Japan 2025においても、オートモーティブトラック(Automotive Linux Summit)は大盛況で、立ち見が出るセッションも多数ありました。
自動車産業界がSDVに取り組む中で、OSSやオープンプラクティスの重要性が改めて認知され、その中心的役割の一つをAGLが担っていることが明確に打ち出せた一年だったのではないかと感じています。
2026年は、コミュニティの皆様の力をさらに発揮してもらい、OSSプロジェクト間のシナジーやOSS × 企業(産業)のシナジーを加速していけるよう、少しでも多く貢献していきたいです。
もし、AGLなどのオートモーティブOSSに興味を持っていただけたなら、ぜひ私たちまでお気軽にお声がけください。一緒にOSSの未来を作っていきましょう!
