これは FOSS4G Advent Calendar 2020 の記事です。
FOSS4G で作られた FOSS4G である 国連ベクトルタイルツールキット では、実践コミュニティというアイディアを大切にしています。
国際連合には経済社会理事会の決議に基づいて作られた、地球規模の地理空間情報管理に関する専門家委員会(UN-GGIM)があります。
2020年の8月に、この専門委員会で統合地理空間情報枠組(IGIF)」の実装ガイドが承認されました。かつて空間データ基盤(SDI)と呼ばれた技術的枠組みは、IGIF で言われているような技術的枠組みに変わりつつあると感じています。具体的には、メタデータやポータルといった分析的・機械的アプローチの限界が明らかになり、より対話的・包摂的なアプローチが主流化されつつあるように思います。
私は、特に IGIF 実装ガイドの 8.6.10 で示されている「実践コミュニティ(Community of Practice)」というコンセプトが重要であると感じています。IGIF 成果文書では、実践コミュニティは次のように説明されています。
- 実践コミュニティとは、ある話題について、関心や課題や情熱を共有するグループで、継続的なやりとりを通じて分野の知識や知見を深めていく。
- 実践コミュニティのメンバーは信念や志をともにし、課題への関心を共有する。
- 実践コミュニティのメンバーは実世界で証明済みの実践や新知識を共有し、能力と教育の価値や利益を高める。
ビジネスチャットの活用の道が政府でも開かれつつあるように思います。分散・非同期・非接触の実践コミュニティが増えることで、デジタル改革やデジタルトランスフォーメーションが進むことになるのではないかと思っています。また、国内実施と国際協力を不可分のものとして連携させることができる道が開けるのではないかと考えています。