はじめに:この記事のスタンス
「最新技術」や「映える成果物」も大事だけど、実務で信頼されるには「納期を守れるか?」が超重要。
大前提、完璧な見積もりは不可能です。
この記事は、「どうすればより正確にタスク見積もりできるか?」「どう考え、どう改善していくか?」の試行錯誤をまとめたものです。
同じ悩みを持つ人の参考になれば嬉しいです。
タスク見積もりが必要な理由
実務では、振られたタスクの工数を自分で見積もる必要があります。
見積もりができないと:
- リーダーの工数が増える
- スケジュール調整が難しくなる
- チーム全体に影響が出る
だから、根拠を持って見積もり、必要に応じてリスケや代替案を提案する力が求められます。
【具体例】見積もり手順:7ステップで分解して考える
見積もりに正解はないですが、具体例があった方がわかりやすいので、記載します。
前記事【7ステップ】タスクの進め方を細分化・言語化【脱・指示待ち!】をベースに、以下のステップで見積もりを出します。
| ステップ | 内容 | 工数の考え方 |
|---|---|---|
| 1. 仕様確認 | 要件の読み込み・不明点の洗い出し | 仕様が曖昧なほど時間を多めに見積もる |
| 2. 変更箇所の把握 | 既存コードの調査・変更点の特定 | 影響範囲が広いとバッファを厚めに |
| 3. 処理の流れを設計 | フロー図や擬似コードで整理 | 複雑な分岐があると多めに見積もる |
| 4. 影響調査 | 他機能・他画面への影響確認 | DB変更や共通処理が絡むと注意 |
| 5. 実装 | コーディング作業 | 実装量と自分の得意不得意で調整 |
| 6. テスト | 単体・結合・画面テスト | バグ出しも込みで見積もる |
| 7. PRレビュー | レビュー対応・修正 | 修正回数を想定してバッファを持つ |
【3つの工夫】~より正確な見積もりのために~
① 1.5倍ルール
算出した時間の1.5倍を見積もりに設定しています。
理由:
- 想定外の不具合
- 仕様の認識違い
- レビュー指摘への対応
これらは必ず発生するので、バッファを持たせます。
② ガントチャートで可視化
ガントチャートを作成し、タスクとスケジュールを可視化します。
※Jira・Trello・スプレッドシート可。実際に進捗がズレる前提で管理。
参考:
ガントチャートとは?プロジェクト管理で利用する3つのメリットとおすすめツールをご紹介
具体的な運用:
- リリース日を実際の2週間前に設定
- 2週間をバッファとして確保
- タスクの進捗を毎日更新
- 遅延が見えたら即座にリスケ
③ リスケ前提で計画する
見積もりは外れるものです。
大事なのは、早めに気づいて、早めに相談すること。
リスケの判断基準:
- 進捗が予定の70%以下
- 想定外の技術的課題が発覚
- 仕様変更が入った
こうなったら、以下を準備して相談します:
- 現状の進捗率
- 遅延の理由
- 完了までの残タスクと必要時間
- 代替案(優先順位を変える、機能を削る等)
実際の見積もり例
例:「ユーザー一覧ページにフィルタ機能を追加」
| ステップ | 見積もり時間 | バッファ込み |
|---|---|---|
| 1. 仕様確認 | 0.5h | 0.75h |
| 2. 変更箇所の把握 | 1h | 1.5h |
| 3. 処理の流れを設計 | 2h | 3h |
| 4. 影響調査 | 1h | 1.5h |
| 5. 実装 | 4h | 6h |
| 6. テスト | 2h | 3h |
| 7. PR対応 | 1h | 1.5h |
| 合計 | 11.5h | 17.25h(約2.2日) |
→ 見積もり:3日 と報告
全体スケジュールとの兼ね合いで調整も必要なので、余裕を持たせます。
見積もりが外れたときの対応
見積もりが外れるのは仕方ありません。
大事なのは、根拠を持って説明し、次に活かすこと。
振り返りでやっていること:
- どのステップで時間がかかったか?
- なぜ見積もりと乖離したか?
- 次回はどう改善するか?
例:
- 影響調査で想定外の依存関係が見つかった → 次回は影響調査の時間を多めに見積もる
- レビュー指摘が多く対応に時間がかかった → コーディング規約を事前に確認
工数の根拠を持つための工夫
- 過去の類似タスクの記録を残しておく(簡単なメモでOK)
- 「この作業は〇時間かかった」という実績をもとに見積もる
- 初期見積もりと実績の差分を振り返って、次回に活かす
まとめ
タスク見積もりのポイント:
- タスクを7ステップに分解して根拠を持たせる
- 工夫1:1.5倍のバッファを確保
- 工夫2:ガントチャートで可視化
- 工夫3:リスケ前提で計画
- 振り返りで精度を上げる
完璧な見積もりは不可能ですが、より正確にするための工夫と改善を続けます。
同じような状況の人の参考になれば幸いです。