CentOS 8 が 2021-12-31 でサポート終了 となります。
従来 2029年までとされていたのですが、期間が大きく短縮されました。
主な更新
2021-06-28 Rocky Linux がリリースされました。
2021-04-07 CloudLinux から AlmaLinux がリリースされました。
2021-01-04 Rocky Linux のリリース予定(2021 Q2)について追記しました。
2020-12-21 CloudLinux, Project Lenix のリリース予定(2021 Q1)について追記しました。
本記事の概要 3行
- CentOS 8 は 2021-12-31 でサポート終了です。
- 移行先として推奨される CentOS Stream はアップストリーム(本家 RHEL より先にバージョンがあがる)で更新されるため、RHEL とのバージョン互換を重視するユーザーは移行先に悩む状況です。
- 今までの CentOS と同じように使える(ダウンストリーム更新)ディストリビューション候補として Oracle Linux, Rocky Linux(2021 Q2 リリース予定), Project Lenix(2021 Q1 リリース予定) があり、Rocky Linux, Project Lenix のリリース情報をフォローしています。
参考情報
サポート終了の詳細を知りたい方は、以下の解説記事がわかりやすいです(本記事でも参考にさせていただいています)。https://zenn.dev/koduki/articles/26eb2df8109a39
また ZDNet(https://japan.zdnet.com/) が積極的に記事にしていて参考になります。早く情報を得たい方はチェックしてみてください。
本記事ではディストリビューション選択時の注意点や移行先について考えてみたいと思います。
影響と注意点
特別な事情がない限り、CentOS 8 を積極的に選択する理由は無くなりました。 今後は別のディストリビューションを使用しましょう。
個人視点ですが、以下のような点に注意が必要と考えられます。
- Red Hat が移行先として挙げる CentOS Stream は、現在の大部分の CentOS ユーザーが求めるものと異なるため単純に移行できない。
- CentOS 7 と CentOS 8 は CentOS 7 の方がサポート期間が長くなった。 しかし、CentOS 7 も 2024-06-24 までのサポートなので、残り期間はあと5年はない。
CentOS Stream はなぜ代替にならないか?
CentOS ユーザーが、現在 CentOS を選択した理由は以下が多いと考えられます。
- Red Hat Enterprise Linux(RHEL) と(ほぼ)互換であり、サブスクリプションなしで利用できる。
- メジャーバージョンは固定した状態で、長期的・安定的にセキュリティアップデートが提供され、サーバー用途などに使用しやすい。
しかし CentOS Stream は開発版の Fedora と、プロダクトの RHEL の中間の位置付けで、次期 RHEL 向けの新バージョンのパッケージに更新されていきます。
このため選択理由の 1, 2 とも満たさず、CentOS を利用したかった多くのユーザーは 単純には移行できない ことになります。
一方で以下のような使い方であれば、CentOS Stream への移行でもあまり問題なさそうです(とはいえ、あまり選択する必要性は無いかもしれません)。
- 個人の学習、技術習得用途
- ある程度の違いを理解した上で使用する開発機
では移行先をどうするか?
RHEL を契約できる場合は良いとして、CentOS と同じように利用したい場合は、現時点では事実上 Oracle Linux のみになりそうです。
必要箇所がはっきりしている場合は、コンテナ上に CentOS のイメージを用意して利用する方法はありそうです。
また今後、期待できそうなディストリビューションとして Rocky Linux が現れました。
Rocky Linux って? (2021-01-04 リリース予定追記)
Rocky Linux、聞きなれない名前ですが、今回の件を受けて CentOS のオリジナルの開発者が立ち上げた新しい RHEL クローンのディストリビューションとのこと。
Rocky は CentOS の共同創設者の Rocky McGaugh さんの名前から取られたそうです。
Rocky Linux is not a name out of the blue but derived from CentOS’s original co-founder Rocky McGaugh. Unfortunately, he is no longer with us. So, this name serves as a tribute to his work.
今週のサポート終了のアナウンス前後に立ち上げたようで、まだこれからという段階のようです。
何か進展があるかと思い issue なども眺めてみましたが、いまのところ大きな情報などはなさそうでした。
FAQ で挙げられているのは以下のような点です。
- CentOS の方向性(つまり今回の方針変更)が変わった
- 以前の CentOS のように(RHEL の)ダウンストリームビルドとする(つまり後追いで互換を保つ)
- Rocky Linux はコミュニティ手動で進めていく
-
リリース時期は今の所なし→ 2021 Q2 と告知されました。
2021-01-04 追記
ZDNet の記事で、2021 Q2 リリース予定とありました。
https://japan.zdnet.com/article/35164534/
12月下旬に公開されたプロジェクトの最新のアップデート情報によると、Rocky Linuxの最初のリリースは2021年4月以降に提供される可能性がある。
あれっ、とおもって見に行くと、GitHub は There is not currently an ETA for release.
のまま。更新はされているようなのですが。。
https://github.com/rocky-linux/rocky
ZDNet にあるようにフォーラムを見ないとダメかも。
https://forums.rockylinux.org/t/community-update-december-2020/1157
We are targeting Q2 2021 to deliver our first release of Rocky Linux,
リリースの際には使わせていただくことも多そうです。
このプロジェクト、CentOS からのフォークで開発を始められないのは、RHEL との契約でもあるのでしょうか?
2021-06-28 追記
Rocky Linux もリリースされました。2021 Q2 でこちらも予定通りですかね。
https://japan.zdnet.com/article/35172856/
こちらも Community-Driven な Project Lenix (2020-12-21 追記)
ZDNet によれば、CloudLinux が新たな RHEL クローンを計画中とのこと。
https://japan.zdnet.com/article/35164008/
CloudLinux のブログを見ると、CentOS 難民には響く内容。
https://blog.cloudlinux.com/announcing-open-sourced-community-driven-rhel-fork-by-cloudlinux
- もともとの CentOS の計画と同様の 2029年までのサポートを行う
- リリースの予定を 2021 Q1 とする(リリース未定の Rocky Linux と比べてハッキリしています)
- オープンにやっていくので、おかしな方向に行ったら誰か引き継げばいいよ!(これくらい言ってもらった方がスッキリする)
こうして、またひとつスペルのややこしいディストリビューションが誕生するのかもしれません。
2021-04-07 追記
CloudLinux から AlmaLinux がリリースされました。2021 Q1 の予定通りですね。
下記から iso イメージをダウンロードできます。
https://almalinux.org/
Alma: a Latin-language word for soul
結構いい名前じゃないでしょうか。
おわりに
サポート期間逆転とか、もしかして Windows 8 リスペクトでしょうか。(ちょうど 8 だし)
色々と使わせていただいていたので、個人的には残念なところですが Rocky Linux に注目してます。