はじめに
実際の開発現場では、手元の PC で直接ビルドするのではなく、SSH で開発用の VM や開発サーバーにつないで作業することがよくあると思います。VS Code の Remote - SSH を使って、エディタは手元に置いたまま、ファイルもターミナルもビルドもサーバー側で動かす、というやり方です。
IBM Bob は VS Code ベースのエディタなので、このやり方がそのまま使えます。特別な仕組みは要りません。これまで VS Code でやっていたのと同じ手順で SSH 先につなげば、Bob のエージェントがリモートのコードを読み、リモートのターミナルでコマンドを実行してくれます。
この記事では次の記事の手順をもとに実際に試し、VS Code と違うところや、つまずいたところをまとめます。
- 参考記事: How to Run IBM Bob on a Remote Linux Machine from Your Mac(Markus Eisele / The Main Thread, 2026-04-23)
やったこと
Mac の Bob から SSH 先の Linux につなぎ、Bob にテストの追加と実行を頼みました。
- Mac では IBM Bob と SSH クライアントを使う
- Bob の拡張機能 Open Remote - SSH(
jeanp413.open-remote-ssh)で SSH 先に接続する - リモートの Java プロジェクトに、Bob が JUnit テストを追加し、
mvn testを実行する
SSH 先で開発するメリット
メリットも VS Code のときと同じです。
- 手元の Mac に開発環境を入れずに済む
- チームで同じ開発サーバーを使えば、環境をそろえられる
- 本番に近い Linux 環境で、重いビルドやテストを動かせる
接続先の用意
接続先は、SSH でログインできる Linux なら何でもかまいません。普段使っている開発用の VM や開発サーバーがあれば、それをそのまま使えます。
今回は手元に VM がなかったので、参考記事の手順で Mac 上に Ubuntu 24.04 のコンテナを立て、~/.ssh/config にホスト bob-docker-demo として登録しました(参考記事は Podman ですが、私は Rancher Desktop で試しました)。作り方は参考記事を見てください。
Apple Silicon の Mac 上で接続先を用意する場合は、linux/amd64 で作ります。参考記事によると、arm64 では Bob のリモートサーバーの取得が 404 になるそうです。
Bob から接続する
1. Open Remote - SSH 拡張機能を入れる
VS Code でおなじみの Microsoft 公式「Remote - SSH」は、Bob のマーケットプレイスにはありません。
これは Bob に限った話ではなく、VS Code をもとにしたエディタ(VSCodium など)に共通する事情です。Microsoft は、Visual Studio Marketplace を VS Code などの Microsoft 製品以外から使うことを利用規約で認めていません。さらに Remote - SSH を含む Remote Development 拡張はオープンソースではなく、ライセンス上も Microsoft の VS Code で使う前提になっています。
そのため、VS Code をもとにしたエディタでは、オープンソースの代替拡張を使うのが一般的です。今回は参考記事と同じ Open Remote - SSH(jeanp413.open-remote-ssh)を使いました。(2026-10-28追記: この拡張機能はBobにデフォルトで同梱されているようです。ですので追加でインストール頂く必要はありません。)
拡張機能は GitHub のリポジトリから入手し、VSIX ファイルとしてインストールしました。
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jeanp413/open-remote-ssh の Releases から
.vsixファイルをダウンロードする - Bob の拡張機能ビューで「…」メニュー →「VSIX からのインストール...」を選び、ダウンロードしたファイルを指定する
Microsoft 公式の Remote - SSH の VSIX を Bob に取り込む方法は試していません。ライセンス上は VS Code 以外での利用を想定していないので、Open Remote - SSH を使うのが無難です。
2. 接続する
ここからは VS Code の Remote - SSH と同じ操作です。コマンドパレットで「Remote-SSH: Connect to Host...」を選び、~/.ssh/config に登録したホスト bob-docker-demo を選びます。
接続すると、リモートの ~/.bobide-server に Bob のサーバーがインストールされ、ポートフォワードでつながります。
初回の接続では、リモート側に Bob のサーバー(code-server 相当)をダウンロードしてインストールします。2回目以降はインストール済みのサーバーを使います。
私の環境(Mac 上に立てた amd64 のコンテナにつなぐ構成)では、初回の接続に 10〜15分 ほどかかりました。同じように Mac の中にコンテナを立てて試す場合は、接続が止まったように見えても、しばらく待ってみてください。
左下に SSH: bob-docker-demo と表示されれば接続できています。
デモ: Bob にテストを書いてもらう
接続先には、税込合計を計算する PriceCalculator クラスだけの小さな Maven プロジェクトを用意しました。/home/bob/workspace/demo-app を開き、統合ターミナルで hostname と uname -a を実行すると、SSH 先の Linux で動いていることがわかります。
Bob のチャットに次のように頼みました。
PriceCalculator の JUnit 5 テストを src/test に追加して、mvn test で実行してください。割引がかかる境界(10,000 円ちょうど)と、負の値で例外が出るケースも含めてください。
Bob がリモート側のコードを読んでテストケースを整理し、テストクラスを作ります。
続けて mvn test を実行し、6件すべてパスしました(BUILD SUCCESS)。
ファイルもビルドも SSH 先の Linux にあり、Mac 側には demo-app がありません。
試してみての注意点
- 拡張機能は GitHub のリポジトリの Releases から VSIX をダウンロードしてインストールする
- Microsoft 公式の Remote - SSH は、ライセンスの都合で VS Code 以外のマーケットプレイスにはないので、Open Remote - SSH を使う
まとめ
VS Code で SSH 先の VM につないで開発していたのと同じやり方で、Bob でも開発できました。違うのは、Remote - SSH の拡張機能を Open Remote - SSH にすることくらいです。
接続してしまえば、Bob のエージェントはリモート側のファイルを読み書きし、リモートのターミナルでビルドやテストを実行します。いつもの開発サーバーで、そのまま Bob を使えます。






