こんにちは、genimuraです。
2026年3月4日に開催された EMConf 2026 に参加してきました!
EMConf はEngineering Manager向けのカンファレンスで、今年のテーマは「増幅と触媒」。オープニングから懇親会まで、学びとつながりがぎゅっと詰まった一日でした。
ちなみに今回は事前にChatGPTでその日のスケジュールを整理し、Coworkを使って補助してもらい、Xでの実況とメモが格段に捗りました。
こちらは別記事
Takeだけで終わらない、イベント参加者でもGiverになるための準備と実践にまとめました。
あくまで自分が聴講したセッション(その他)のみになりますので、ご了承ください。
オープニングキーノート|安斎 勇樹「冒険する組織のつくりかた」
MIMIGURIの安斎さんによるオープニングキーノート。
従来の 軍事的世界観 から 冒険的世界観 へのマネジメントのシフトを提唱する内容でした。キーノートのタイトルは、書籍にもなっています。
今回は、個人が重視される時代、「会社のために何をすべきか」から「幸せな人生のためにどうありたいか」へと軸足が移っている中で、
手触りのある身近な、半径5mから変革できる4つのマネジメントというのがテーマでした。
- 目標のマネジメント: SMART目標の押しつけではなく、ALIVEの法則(Adaptive・Learningful・Interesting・Visionary・Experimental)を意識した目標設定。メンバーと一緒に目標を作る感覚が大事。
- 興味のマネジメント: 好奇心(分からない、知りたい)と興味(一定期間関わることで深まる愛着)は違う。ヒト←→コトの軸と、創造/解明/介入/運用の4スタイルで、メンバーの興味の傾向を把握することが出発点。
- 会議のマネジメント: 聞き方を変え、選択肢を示して質問する。
- 文化のマネジメント: 「風土(雰囲気)」と「文化(価値規範)」は違う。現場こそカルチャーを意識して耕すべき。
個人的に刺さったのは
「人間の主体性の最小単位は、目の前の選択肢から選ぶこと」という言葉。
確かに、基本原理かもしれないな〜って思いました。
後、SMART目標が萎える感覚、めちゃ分かります!
ALIVEの法則を自分のチームの目標設定にどう落とし込むか、考えていきたいと思いました。
セッション① | sotarok「「事業目線」の正体」
「マネージャーのアウトプット=自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」
CTO経験3フェーズから体系化した「事業目線」の話。"もっと事業目線を持って"という言葉はよく聞くけど、そのためのステップを3レベルで整理してくれていてわかりやすかったです。
Lv.1 数字を知る — まず自組織に関わる数字から。事業予算の構造(売上目標→施策→部門の役割)を因数分解し、意味付けをしていく体験が原体験になる。
Lv.2 お客さまと隣接組織を知る — 数字の「なぜ」を探るには、ユーザーに近いところへ行くこと。CS・サポートエンジニアと関わると手触り感が増す。その組織にしかない力学を知ることも重要。
Lv.3 戦略に反映する — ここまで得た知識を、自組織の活動にどう戦略として落とし込むか。ソフトウェアが事業に与える影響を常に意識する。
ちょうど来期予算計画の季節でもあり、個人的にタイムリーな話題だと思いながら聞いていました。観点を持って因数分解していくというところから始めます。
自分の管轄組織だけで閉じてちゃダメだなぁと思いました。
セッション② | こにふぁー「マネージャー版 "提案のレベル" を上げる」
1人でいきなり高いレベルを目指さなくていい。巻き込んで意思決定するために、レベルを"使いわける"
こにふぁーさんのセッションはいつもブログやLTスライドを読んでいて、毎回楽しみです。今回も良かったです。
提案のレベルは1〜4
「どうすればいいですか」→「どれにしましょうか」→「自分はこれがいいと思います」→「これでいいですか?」
マネージャーになると、関わる範囲・考える軸・取りうる選択肢の"広がり"が一気に増えるため、提案が難しく感じるようになる、という整理が腑に落ちました。
失敗談を3つ話してくれたのですが、1番目と3番目は自分も全く同じような経験をしていて、こにふぁーさんでもそういう時代があったんだと、少し救われました。
「かっこつけなくていい。自分で何度も繰り返す自己体験と、他者の提案を観察する疑似体験の数を重ねていくしかない」という締め方が好きでした。
その後Ask the Speakerに参加しました。
テーマは「経営層に対して提案まで持っていくための準備と、提案後の動き方」。
教えてもらったのが、フィードバックをもらったら「たしかに!宿題にしてきます!」と言って持ち帰るテクニックです。一発で完璧な提案を目指すのではなく、宿題として持ち帰ることで承認されるまでブラッシュアップされ続けるサイクルが生まれる、という考え方は流石だなと思いました。
セッション③ | 三谷 昌平「スーパーマンに頼らない"分権型組織"で作る強い開発チーム」
今日一番個人的に刺さったセッションです。実は自分も同じように委員会制度を作ろうとしていた真っ只中で、まさに欲しかった実例を聞けました。
人が増えるなかでマトリクス組織の横の仕組みで解決をしようとていたが、運用の仕組み不全だったり、人が増えるほど参加者が増え続けるような、全員野球の限界(サッカーを例えにされていましたね。)が起こっている現状を打破するセッションでした。
そんな課題への答えとして 委員会制度 の立ち上げ事例を紹介してくれました。
- Mission Teamを横断してメンバーを構成する委員会を設立
- 委員会には責任と権限の両方を付与
- 活動サイクルは半年(でやってみた)。「将来を考えすぎず、今最重要な課題にフォーカス」
- 課題のテーマは抽象度高めに設定し、5W1Hは委員会自身が決める
成果として、RunBook整備・CI高速化・AI活用推進・社内データ分析Agentの開発など、現場主導の改善が次々と生まれたとのこと。RunBookのくだりとか今すぐやりたくなりました。
目指したい組織のあり方を考えて3つの"したい"をまとめられている点が、エンジニアリングが好きだ!ということが伝わりました。
あとは、「課題解決を自主性の高さに任せすぎない。全員の力を合わせるには強制力という仕掛けが絶対に必要」という言葉が印象的でした。
任せることと仕掛けで動かすことは矛盾しない、というのが「強制的な遊び場」という表現に凝縮されていてよかったです。
このセッションを受けて、他部署への良い活動のアピールは大事だなと思い、開発組織内でやっていることをもっと発信していこうと思いました。
アンカンファレンス|「任せる範囲」と制約の使い方
休憩時間にアンカンファレンスへ飛び入り参加しました。
自分が参加したのは、新米EMのお悩み相談でした。
その方の前任マネージャーの方も同席しており、話を聞く中で出てきたのが、エコロジカル・アプローチという考え方がでした。
外部環境の制約を活かしてスキルや行動を自然に引き出す手法で、もともとはスポーツコーチングで使われるものだそうです。
「どこまで任せていいかわからない」という、EMなら誰もが抱える悩みに対して、制約の設計によってメンバーの行動を導くという発想が使えそうだと感じました。
任せるのは放任じゃなくて、適切な制約を設計することで成り立つんだよなと、三谷さんの「強制的な遊び場の話ともつながる気づきでした。
セッション④ | nwiizo「技術的負債の泥沼から組織を救う3つの転換点」
nwiizoさんのブログにはいつもお世話になっているので、セッション前からめちゃくちゃ楽しみにしていました。
とポストしたら始まる前にいいねがついていてnwiizoさんらしさを感じました。
技術だけでは組織は変わらない、学ぶ力・語る力・始める力の3つの転換点で、技術の問題を組織の問題に捉え直す、というお話でした。
ボリュームがすごすぎて着いていくのに必死でしたw
転換点1: AMET(Architecture Modernization Enabling Team) — ファシリテーションを中心に、組織がモダナイゼーションを自立して推進できる状態を目指す。AMETの成功は「組織の自立までのスピード」で測る、という定義がわかりやすかったです。
転換点2: Core Domain Chartでビジネスの痛みを可視化 — 差別化度と複雑性の2軸で整理し、顧客のジョブに本当に応えられているかを問い直す。技術的な難しさは顧客には関係ない、というのはついつい忘れがちですよね。
転換点3: バリューストリームから小さく始める — 「願望を戦略にするな、最重要課題を見極めよ」。パイロット選定では「チームの意欲」だけは必須条件とのこと。
変化を阻む「惰性・労力・感情・心理的反発」の4つの摩擦という整理も実務に直結する感じでよかったです。
EventStormingやってみたいし、積読しっかり増えました。(オタクくんが出ちゃったと言っていました、バベル、買いました。)
クロージングキーノート | 藤倉 成太「AI Codingの先にある、Engineering Manager の本当の仕事」
AIがソフトウェア開発を10倍・100倍に加速させる時代、EMの仕事はどう変わるか、というテーマのキーノートでした。
AI時代に残るエンジニアの仕事は「意思決定・技術の判断に責任を持つこと」の2点に収束していく、という整理はすっきりしていました。
開発チームは小さくなっていく可能性がある一方、事業を大きくするには人が必要で、エンジニア一人ひとりの責任はむしろ重くなる。そこでEMに相対的に需要が増すのがピープルマネジメント。
「どうやって責任を取ればいいか?」という問いに答えていくことが増えていくだろうという話でした。
チームの単位はおそらく小さくなっていくだろう、という話がありましたが、
チームの単位が2〜3人がだんだんと当たり前になっていくとしたら、結節点は増えるはずなので、どういう階層構造になるのかなと思いました。
「この瞬間を楽しもう」「どうすればいいかを考えて、考え抜いた結果、今のベストを尽くしていく」という締めくくりも良かったです。
まだまだ、目まぐるしく状況が変わっていきますが、目の前のことに集中するっていう感覚なのかなと思いました。後は不安なこともあるけれど、AIに裏側で色んなことを作ってもらえるようになって、そこを育てていく感覚は非常に楽しいですしね。
ブース巡り&懇親会|「みんな同じ悩みを持っている」
セッションの合間にスポンサーブースを巡りました。ビットキーさんのブースで「マネジメント業務への本音は?」というアンケートに回答したとき、「困難はあるが、成長機会と捉えている」を選びました。自分と同じ回答をした人が可視化されるアプリを体験しました。
同じような悩みを抱えている人も多くて、その悩みを自分も持っているのは、「自分でも意外と考えてマネジメントをやっているのかも」と心が少し軽くなりました。
ブースでの会話を通じて、AIが現場で想像以上に当たり前になってきているのをリアルに感じたのも面白かったです。会社全体でClaude配っているのは割と当たり前で、どういう課金設計をしているのかを会話出来たのも良かったです。
懇親会でも同じことを感じました。職種・会社・ポジションを超えて、EMとしての問いが共通していました。みんな正解のない問いを抱えながら、それでも真剣に考えているのが伝わってきました。
おわりに
濃密な時間でした。
ところてんはどっから来たんだろう。。。
来年も開催するみたい?なので、話せるネタを積んでいこうと思います!