■ 概要
今回は「Inno Setup」というインストーラー作成ソフトウェアを使って、UnityでビルドしたWindowsアプリのインストーラーを作成する手順を解説します。
UnityでビルドしたWindowsアプリは、実行ファイルやその他データファイルが1つのフォルダーにまとまった構成でビルドされるため、その点を踏まえた説明ができればと思っています。
■ Inno Setupとは?
「Inno Setup」とはインストーラーを作成できるオープンソースのソフトウェアです。アプリケーション名やインストール先のパスなどをGUI上で設定していくことで、簡単にインストーラーが作成できるツールになってます。
こちらがダウンロードページになります。インストールが完了すると「Inno Setup Compiler」というアプリが起動し、そこからインストーラーを作成していく流れになります。
基本的な使い方、手順は下記の記事が参考になりました。
■ Unityアプリのインストーラー作成手順
各手順のオプションについては、各々用途に応じて適宜選択していただければと思います。
1.Inno Setup Compilerの起動
Inno Setup Compilerを起動するとポップアップが表示されるので、「Create a new script file using the Script Wizard」を選択し、右下の「OK」をクリックします。
ウィザードが表示されます。右下の「Next」をクリックします。
2.アプリの情報を設定
・Application name:インストールするアプリの名前(必須項目)
・Application version:アプリのバージョン(必須項目)
・Application publisher:アプリの開発元の名称
・Application website:アプリに関連するwebサイトなどのURL
入力が完了したら、右下の「Next」をクリックします。
ここで入力した情報はインストーラー実行時のウィザードに表示されたり、アプリのショートカット名になったりします。
3.インストールフォルダー関連の設定
・Application destination base folder:標準のインストール先のフォルダーのパス
→ Program Files folder:「C:\Program Files」にインストールされます。
→ (Custom):テキストボックスでインストール先のパスを指定します。
・Application folder name:アプリのフォルダー名
・Allow user to change the application:ユーザーによる編集を許可
・The application doesn't need a folder:アプリのフォルダーを作成しない
「Application folder name」の初期値には前の手順で設定したアプリ名が反映されています。そのままの方が紛らわしくならず良いかと思います。
入力が完了したら、右下の「Next」をクリックします。
4.アプリケーションファイルの設定 (※ここ重要)
・Application main executable file:メインとなるアプリケーションの実行ファイルのパス
・Allow user to start the application after Setup has finished:インストールを終えた後にアプリケーションを起動することを許可
・The application doesn’t have a main executable file:メインの実行ファイルを必要としない場合に選択
・Other application files:メインの実行ファイル以外に必要なファイル(dll等)やフォルダーのパス
今回はUnityでビルドしたアプリのインストーラー作成手順の解説になりますので、
・Application main executable file:Unityでビルドしたアプリの実行ファイルのパス
・Other application files:Unityでビルドしたアプリのプロジェクトフォルダー(ルートフォルダー)のパス
このように設定することによって、インストール先のフォルダーにアプリの実行に必要なファイル群がすべてインストールされるようになります。また作成されるショートカットは実行ファイルを対象にとることができます。
入力が完了したら、右下の「Next」をクリックします。
4.アプリケーションファイルの関連付けの設定
・Associate a file type to the main executable:メインファイルにファイルタイプの関連付けを設定
・Application file type name:ファイルタイプの名前
・Application file type extension:拡張子
ここは特に変更せずに初期値のまま、右下の「Next」をクリックします。
5.アプリのショートカットの設定
・Create a shortcut to the main executable in the Start Menu Program folder:スタートメニューにアプリケーションのショートカットを作成
・Allow user to create a desktop shortcut:デスクトップにショートカットを作成することを許可します。
ここも特に変更せずに初期値のまま、右下の「Next」をクリックします。
6.インストール時に表示するドキュメントの設定
・License file:インストールするユーザーに確認してもらいたい規約事項を記したファイルのパス
・Information file shown before installation:インストール前に表示したいドキュメントのファイルパス
・Information file shown after installation:インストール後に表示したいドキュメントのファイルパス
表示するドキュメントが特になければそのまま、右下の「Next」をクリックします。
7.インストールモードの設定
・Administrative install mode:管理者権限ですべてのユーザーにインストール
・Non administrative install mode:管理者権限を使用せず、作業ユーザーのみにインストール
必要に応じてオプションを選択し、右下の「Next」をクリックします。
8.アプリケーションレジストリの設定
.rgsファイルの指定など、インストール時のレジストリ関連の設定項目になります。
ここも変更せずに初期値のまま、右下の「Next」をクリックします。
9.インストーラーの言語の設定
インストーラーのウィザード内で表示される言語を選択します。複数選択した場合はインストーラーの起動時に言語選択の項目が追加されます。
選択し終えたら、右下の「Next」をクリックします。
10.インストーラーの出力先の設定
・Custom compiler output folder:インストーラーの出力先のフォルダーパス
・Compiler output base file name:インストーラーの実行ファイル名
・Custom Setup icon file:インストーラーのアイコンのファイルパス
・Setup password:入力した場合のみ、インストール時にパスワードを要求
入力が完了したら、右下の「Next」をクリックします。
11.インストーラーのプリプロセッサの設定
#define compiler directivesを使用すると、コンパイルのプリプロセッサのスクリプトを簡略化することができます。
変更せずに初期値のまま、右下の「Next」をクリックします。
12.設定完了
右下の「Finish」をクリックし、設定を終了します。
■ インストーラーのコンパイル手順
上記手順で設定が完了すると、その設定内容を記述したスクリプトがInno Setup Compilerに表示されます。
1.インストーラーの保存先の設定
「Would you like the new script now?」というポップアップが表示されます。「はい」をクリックします。
次に、スクリプト(Inno Setupファイル)を保存するように要求するポップアップが表示されます。「はい」をクリックして出力先(保存先)を指定します。
2.インストーラーのコンパイル開始
出力先を指定し終えると、コンパイルが開始されます。
↓のように「Finished.」と表示されればインストーラーのコンパイルが正常終了しています。
インストーラーの出力先は「インストーラーの出力先の設定」の「Custom compiler output folder」で指定したフォルダー内になります。そのフォルダー内の実行ファイル(.exeファイル)がインストーラーになります。
インストーラーを実行して設定通りに作成されているかを確認しましょう!
■ 最後に (感想)
今回はUnityでビルドしたアプリのインストーラーを作成する際にいくつか試行錯誤があったので、その手順をシェアさせてもらいました。作成の手順自体はかなり簡単ですし、PC操作が不慣れな方へ向けてのアプリ配布方法として充分有用だなと感じました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。