第2回：アプリをコンテナ化して、PostgreSQLコンテナと一緒にローカル実行する

Posted at 2025-10-14

第1回：Macで.NET 9開発環境を整える（完了済み）

第2回：PostgreSQLコンテナとWebAppの連携（本記事）

概要

第1回で開発環境とソースコード（GitHubリポジトリ）を取得済みの前提です。
本記事では、そのソースコードをもとに、PostgreSQLコンテナとWebAppコンテナを連携させ、ローカル環境でアプリを起動する手順を解説します。

前提環境

macOS（Apple Silicon Mシリーズ）
.NET SDK 9.x
Docker Desktop 最新版
Visual Studio Code（C#拡張導入済み）
GitHubリポジトリ https://github.com/eyes9919/dotnet9-webapp
（第1回で git clone 済み）

ディレクトリ構成（リポジトリ内）

dotnet9-webapp/
├── docker-compose.yml           # Web＋DBを定義（本記事で使用）
├── pgconf/
│   └── postgresql.conf          # PostgreSQL設定
├── src/
│   └── WebApp/
│       ├── Dockerfile           # Webアプリ用Docker設定
│       ├── Pages/
│       └── ...
└── ...

この構成をそのまま使用します。ファイルを改変する必要はありません。

1. docker-compose.yml の構成

docker-compose.yml はリポジトリ直下にあり、2つのサービス（db, web）を定義しています。

services:
  db:
    image: postgres:18
    container_name: postgres-db
    platform: linux/arm64   # Apple Silicon対応
    restart: unless-stopped
    environment:
      POSTGRES_USER: ${POSTGRES_USER}
      POSTGRES_PASSWORD: ${POSTGRES_PASSWORD}
      POSTGRES_DB: ${POSTGRES_DB}
    ports:
      - "5432:5432"
    volumes:
      - postgres-data18:/var/lib/postgresql/data
      - ./pgconf/postgresql.conf:/etc/postgresql/postgresql.conf:ro
    command: ["postgres", "-c", "config_file=/etc/postgresql/postgresql.conf"]
    healthcheck:
      test: ["CMD-SHELL", "pg_isready -U ${POSTGRES_USER} -d ${POSTGRES_DB} -h 127.0.0.1 -p 5432"]
      interval: 5s
      timeout: 3s
      retries: 5

  web:
    build:
      context: ./src/WebApp
      dockerfile: Dockerfile
    container_name: dotnet9-webapp
    platform: linux/arm64
    depends_on:
      db:
        condition: service_healthy
    environment:
      ConnectionStrings__Default: "Host=db;Port=5432;Database=${POSTGRES_DB};Username=${POSTGRES_USER};Password=${POSTGRES_PASSWORD};Pooling=true;Keepalive=30;"
      ASPNETCORE_ENVIRONMENT: "Container_Development"
    ports:
      - "9999:8080"
    restart: unless-stopped

volumes:
  postgres-data18: {}

2. 各構成要素の解説

(1) Apple Silicon対応

platform: linux/arm64 を指定しています。
これにより、MシリーズMacでも問題なく動作します。

(2) PostgreSQL設定

PostgreSQL 18を使用し、永続化はDockerボリューム postgres-data18 に保持します。
追加で pgconf/postgresql.conf をマウントし、任意の設定を適用できます。

(3) WebAppの接続設定

ConnectionStrings__Default に Host=db を指定。
Docker Composeの内部DNSで、db サービス名がホスト名として解決されます。
ASPNETCORE_ENVIRONMENT に "Container_Development" を指定しており、アプリ内部で環境を識別可能。

(4) ポート構成

Web: ホスト 9999 → コンテナ 8080
→ ブラウザでアクセスする際は http://localhost:9999
DB: ホスト 5432 → コンテナ 5432

3. 環境変数の設定

Composeは .env ファイルを自動的に読み込みます。
次のようにプロジェクト直下に .env を作成してください。

POSTGRES_USER=appuser
POSTGRES_PASSWORD=apppass
POSTGRES_DB=appdb

補足:
.env ファイルを作成することで、機密情報をコードに埋め込まずに管理できます。

4. PostgreSQL設定ファイルの補足

pgconf/postgresql.conf はリポジトリに含まれています。
これは postgres コンテナの /etc/postgresql/postgresql.conf にマウントされ、
以下のような設定を含みます（抜粋例）:

shared_buffers = 512MB
work_mem = 16MB
maintenance_work_mem = 256MB
effective_cache_size = 2GB
wal_buffers = 16MB
max_wal_size = 2GB
min_wal_size = 256MB
checkpoint_timeout = 15min
checkpoint_completion_target = 0.9
synchronous_commit = on
random_page_cost = 1.1
effective_io_concurrency = 100
TimeZone = 'Asia/Tokyo'
log_timezone = 'Asia/Tokyo'

この設定は Fargate向けチューニング済み の軽量構成ですが、ローカル環境でも問題なく動作します。

5. ローカルでの起動と確認

# イメージをビルド
docker compose build

# コンテナを起動（バックグラウンド）
docker compose up -d

起動確認：

docker compose ps

ログを確認：

docker compose logs -f db
docker compose logs -f web

Webブラウザでアクセス：

http://localhost:9999

正常に動作すれば、ログインページ（/Users/Login）が表示されます。

6. 停止・再起動

# 停止
docker compose down

# 再起動
docker compose up -d

DBデータをリセットしたい場合は以下も実行します。

docker volume rm postgres-data18

7. トラブルシュート

症状	対処法
PostgreSQLが起動しない	`.env` の環境変数が設定されているか確認
WebAppがDBに接続できない	`depends_on` が `service_healthy` になっているか確認
Mシリーズでイメージ取得に失敗	`platform: linux/arm64` が存在するか確認
ポート競合エラー	他のアプリで `9999` / `5432` が使用されていないか確認

まとめ

ここまでで、次の環境が整いました。

PostgreSQLコンテナ（DB）
.NET 9 WebAppコンテナ（Web）
ローカルネットワーク内で相互接続
環境変数 .env で接続情報を安全に管理

次回予告

第3回では、VS Codeを使ったアプリの修正・デバッグ方法を解説します。
ブレークポイントの設定、ホットリロード、.vscode/launch.json の使い方など、
「コードを動かしながら理解する」開発フローを学びます。

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