1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

第4回(番外編):採用・アサインにおける“意図”を考える

Last updated at Posted at 2025-11-05

スキルや給与のその先にある、会社と個人の関係について

※本記事は「現場から考えるキャリア」シリーズの番外編です。
第1回:なぜ『運用・監視』は軽視されるのか
第2回:運用・監視を入口に、どう“技術の面白さ”を掴んでいったのか
第3回(最終回):「運用・監視」という原点に立ち返る ─ 現場と会社が描くキャリアの形


はじめに:シリーズを終えて、もう少し広く考えてみたこと

これまでの第1〜3回では、
「監視・運用」という現場を入口に、
エンジニアとしてどう成長していくかを考えてきました。

その過程で感じたのは、
“技術の話”の奥には、いつも“人と組織の話”があるということです。

自分がどんな案件にアサインされるのか。
なぜその環境にいるのか。
どうして会社はその判断をしたのか。

今回は少しだけ視点を広げて、
「会社」と「個人」、それぞれが何を考えて動いているのか。
そしてその中で、自分自身はどう向き合えば良いのか。

そんなことを、一個人として書いてみたいと思います。


会社の意図と個人の思い

会社というのは、売上や利益を上げて事業を継続させることで成り立っています。
でも、それがすべてではありません。

現場を守るための判断。
お客様との信頼をつなぐための配置。
チームの負荷を減らすための調整。
そして、将来に向けた育成。

こうした複数の思いが、ひとつの「アサイン」や「決定」に込められています。

一方で、働く個人は“もっとシンプル”な感情で動いていることが多いと思います。

  • スキルアップしたい
  • 給与を上げたい
  • 働きやすい環境で成長したい

それも間違っていません。
ただ、会社が見ている世界と、個人が見ている世界の広さには、少しだけ差があります。


現実:人はどうしても“自分の側”で考えてしまう

自分もそうでしたが、
仕事をしていると、どうしても「自分の成長」や「自分の評価」に意識が向きます。

一方で、会社の売上や経営の数字というのは、
目の前の業務からはなかなか見えにくいものです。

でも、よく考えてみると、
自分の給与の裏には、必ず「会社の売上」があります。
会社が契約を取り、利益を出しているからこそ、
自分たちの生活が成り立っています。

この当たり前のことが、
普段の業務の中ではなかなか実感として見えないのだと思います。


スキルアップと売上は“つながっている”

スキルアップも給与アップも、
本来は「会社や顧客にどう貢献できるか」とつながっています。

たとえば、

  • 作業を自動化できれば、工数が減って顧客のコストを下げられる。
  • トラブルを減らせば、信頼が上がって次の契約につながる。
  • ドキュメントを整えることで、後任が育ちやすくなる。

それが結果的に“会社の利益”を生み、
その循環の中で、自分の評価や給与も上がっていく

「スキルを上げたい」という気持ちは、
決して自己中心的ではなく、
本来は“価値を広げること”と同じ意味なんだと思います。


ズレを埋めるためにできること

会社と個人がすれ違うのは、
「どちらも悪くないけれど、見ている方向が違う」からだと思います。

会社は“全体を回すこと”を考えていて、
個人は“自分の成長”を考えている。

だからこそ、お互いに少し歩み寄るだけで、
見え方はずっと変わります。

会社ができること

  • アサインの理由を「数字」ではなく「意図」として伝える。

    「この案件であなたの強みを活かしたい」
    「ここでの経験が次の成長につながると思っています」

個人ができること

  • スキルや希望を「会社の視点」でも言葉にしてみる。

    「この技術でチーム全体の効率を上げたい」
    「この領域でお客様にもっと価値を出したい」

その小さな対話の積み重ねが、
一番現実的で、そして一番効果のある解決策だと感じています。


一個人として思うこと

自分自身、昔は“スキルアップ”や“給与アップ”ばかりを考えていました。
でも、仕事を続けていく中で感じたのは、
自分が働いている場所は、ひとつの大きなピラミッドの中にあるということです。

そのピラミッドには、経営層や管理職、そして現場の自分たちがいて、
それぞれの立場で違う責任と目的を持っています。

個人の立場から見ると、
「もっとこうしたい」「こういう環境で働きたい」という気持ちが強くなるのは自然です。
けれど同時に、会社もまた“組織としての思い”を持っていて、
その中で全体をどう動かしていくかを常に考えています。

つまり、
自分たちは“歯車”の一部であると同時に、
その歯車がどう回っているかを理解する責任もあると思うのです。

会社の意図に耳を傾けることは、
ただ従うという意味ではなく、
自分の行動を“組織全体の流れ”の中で考えるということ。
そして、自分の意見や考えを持ち、それをきちんと伝えることで、
組織そのものをより良い方向へ動かしていく力にもなれると思います。

組織を動かすのは仕組みではなく、人です。
その一人ひとりが自分の考えを持ち、
全体の動きを理解しながら行動できるようになれば、
会社はもっと自然に、しなやかに動いていくのではないでしょうか。


おわりに:意図を知ることで、仕事は少し楽になる

採用やアサインの裏には、
会社の事情も、個人の思いも、どちらもあります。

お互いがそれを理解しようとするだけで、
仕事の意味が少し変わってくる気がします。

スキルを磨くことは大切です。
でも、そのスキルが“誰のために”活かされているのかを考えると、
仕事はもう少し楽になる。


技術を磨くことも成長。
でも、会社の意図やお金の流れを理解することも、
同じくらい大切な“学び”だと思っています。


(シリーズ全体のつながり)

  • 第1〜3回では「現場で技術を掴む」ことをテーマにしてきました。
  • この第4回(番外編)は、
    その技術を取り巻く“人と組織の意図”に焦点を当てています。
  • スキルの話ではなく、“働くということ”の話。
    でも、そのどちらも同じキャリアの中にあると思っています。
1
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?