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第1回:なぜ「運用・監視」は軽視されるのか ─ 現場から始まったエンジニアのリアル

Last updated at Posted at 2025-10-24

このコラムを書くに至った経緯

最近、社内で採用や育成の話をする機会がありました。
IT業界全体が“引く手あまた”の時代で、優秀な人材ほど他社へ流れやすく、
その一方で「未経験だけどIT業界に挑戦したい」「AWSやクラウドを触ってみたい」という声も多く聞くようになりました。

ただ、現実として最初から設計や構築を任せられるケースは多くありません。
特にインフラ系のキャリアでは、まず“運用・監視”に関わりながら、
少しずつ技術や仕組みを学んでいく道も少なくないのです。

とはいえ、その配属を聞いた瞬間に「なぜ自分が?」と不安を感じたり、
「地味な仕事に回された」と受け止めてしまう人もいます。
背景には、「運用・監視=誰でもできる仕事」という誤解や、
会社やアサイン担当者が“なぜその人にその経験を積ませたいのか”という意図が伝わっていない 現状があります。

このコラムは、そうしたギャップを少しでも埋めたいという思いから書いています。
あくまで一つの経験・一つの考え方として読んでいただければ幸いです。
共感する人もいれば、違う意見を持つ人もいると思います。
それでも、「運用・監視という入り口をどう捉えるか」を考えるきっかけになればと思います。


概要

未経験からIT業界に入り、最初に経験したのは「24時間体制の監視・運用業務」。
作る側ではなく“使う側”としてシステムに関わったことが、結果的に自分のエンジニアとしての軸になりました。
本記事では、運用・監視の現場で感じたこと、そこから得た視点について率直に振り返ります。


はじめに

私は半導体製造の現場で2年ほど働いた後、勤務先の勧めでIT業界に転じました。
山梨から東京へ――配属先は24時間体制の監視センター。
これが、私のITエンジニアとしての最初の現場でした。


ゼロからのスタート

最初は本当に何も分からず、職場の会話は宇宙語のよう。
「ログ」「ポート」「プロセス」……言葉は聞こえるのに意味が結びつかない。
ミスを避けるためにメモ帳を片手に手順を追い、「理解」より「間違えない」 が優先でした。


現場の一員として“使う側”にいたこと

運用・監視は“作る”仕事ではありません。
でも実際に“使う現場”に近いからこそ、トラブル時に何が起こるか、どんな人がどう動くかを体で覚えます。
“動いて当たり前”が崩れた瞬間の連鎖と責任――これは設計資料だけでは掴めない質感でした。

作る側よりも、“使う現場に近い位置で支える仕事” を先に経験したこと。
それが、良くも悪くも自分の中で「システムとは何か」を考える最初のきっかけになりました。


自分で“わからない”を減らすために

仕事だけでは埋まらない疑問を少しずつ自宅で検証。
自作PCにLinuxを入れたり、中古のネットワーク機器で設定を試したり。
強い目的というより 「仕組みを知りたい」好奇心が原動力でした。
壊して直して、また壊す――その繰り返しで少しずつ輪郭が見えてきました。


あの頃の経験が残してくれたもの

運用・監視は直接“作る”仕事ではないけれど、
作られたシステムがどう動き、どう壊れ、どう支えられているかを先に知れたことは大きな財産でした。
あの経験がなければ、トラブルの裏で動く多くの人の努力や、
“止まらない”を維持する難しさを想像することもできなかったと思います。
私にとって運用・監視は下積みではなく「もう一つの入口」 でした。


おわりに

運用・監視は地味に見えるかもしれません。
けれど「動かす」「支える」経験は、どんなキャリアにも必ず活きます。
いま運用・監視の現場にいる人、これから運用・監視に携わる人が、
「これは遠回りではなく、成長の入口なのかもしれない」と感じてもらえたら嬉しいです。


今後について

本シリーズは、不定期で更新していく予定です。
現場での業務を最優先としつつ、節目ごとに感じたことや気づきを
少しずつまとめていければと思います。

次回は、「運用・監視を入口に、どう“技術の面白さ”を掴んでいったのか」
について振り返る予定です。

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