初めまして。
こちらは「デフエンジニアの会」です。
デフ=Deaf/deaf(英語で、耳が聴こえない方々の総称を表す)
参考
the Deaf(最初だけ大文字)→文化人類学的な振り分け(ろう者というアイデンティティを持った文化的集団の一人)
the deaf(最初だけ小文字)→医学的な振り分け(アイデンティティとは関係なく聴力によって分けられる)
という形で大文字/小文字の違いがあるそうです。
ここではデフエンジニアの会の成り立ち、また、何をしているのかなどを色々と紹介していきたいと思います!
デフエンジニアの会とは
デフエンジニアの会とは、ろう者・難聴者のエンジニア(プログラマー・デザイナーも含む)を中心にしたグループで、聴者(=耳が聴こえる人)のエンジニアも加わって色々な活動をしています。
立ち上がったのはコロナ直前、その後はコロナ禍の中、全国にメンバーがいることを考えZoomでの企画を続けてきました。
デフエンジニアの会の成り立ち
まず、デフエンジニアの会はどのようにしてできたのかを簡単に話します。
デフエンジニアの会は 「必要性があって自発的にできた集まり」 からスタートしています。
それには以下のような「困りごと」があったからです。
集まる場がない
例えばどんな職業でもそうですが、会社は違えど同じ職業の方々同士集まって悩み相談をしたり、勉強会をしたりといったことがあると思います。
しかし、「エンジニア」しかも「ろう者・難聴者」においてはそのような集まりは今までありませんでした。
勉強する場がない
エンジニアという職業柄、常に知識のアップデートが必要です。
これはどんな職業でも同じかとは思いますが、特にエンジニアの場合は、今はコロナ禍でオンラインスクールが増え、オンライン動画を見て勉強することも当たり前になってきています。
しかし、今の日本ではろう者難聴者が字幕や手話通訳で勉強できる環境がまだ整っていません。
そのため、勉強しづらい環境があります。
そしてそこからどんどん差がついていってしまうという現状もあります。
それはすなわち、出世にも繋がるという厳しい状況があります。
情報交換する場がない
例えばエンジニアの場合、色々なコミュニティでの情報交換が活発なのもエンジニア業界の大きな特徴の1つです。
しかし、ろう者難聴者の場合はそのコミュニティに入っても、話に加わることが難しいという状況があります。
それによって、日々アップデートされる様々なスキルから取り残されていきやすい状況があります。
そして、これらの状況によって以下のことが起こっています。
スキルのアップデートが難しい環境があるのに、それを理解されないまま、スキルを低く見られてしまう
もう一つ、残念なことがあります。
それは、
いくら勉強して力をつけたとしても、聴者(=聴こえる人)からは「聴こえない」というだけで低く見られることがある
ということです。
これによって、特に顧客から避けられたり、上司から仕事を回してもらえなかったりなどがあります。
そのため、エンジニアという仕事の面白さを知る前に辞めていく人がとても多いです。
これは非常に残念なことです。
エンジニアという仕事は本来、とても面白い仕事だと思っています。
例えば
- 顧客の悩みを解消してあげられる
- 自分が作りたいものを作れる
- 開発していて問題にぶつかったとしても、色々と調べてその問題を解消できた時の達成感を味わえる
など。
ですが、その面白さは、「勉強ができる環境があってこそ」 なのです。
そして、繰り返しますが、字幕や手話通訳などの情報保障がないと、勉強すら難しいことがあります。
かといって、独学もかなり厳しいものがあります。
そのためついて行けず辞めていく人が多く、それは残念に思っています。
繰り返しますが、
これは本人の努力不足ではありません。
それで、その問題を解消し、聴こえないエンジニアがもっと飛躍していけるようにと「デフエンジニアの会」を設立しました。
ただ、中にはそういう真面目な目標は関係なく、ただ「楽しく」「手話・文字で」エンジニア同士色々とおしゃべりできるのが楽しいから参加している、という方々もいます。
それもそれで、今までに「デフエンジニアの集まり」がなかったからこそ、今楽しめているということなのでそれもまた、嬉しいことだと思っています。
デフエンジニアの会メンバー
現在時点では、全国から50人ほど集まっています。
ジャンルは様々。
- WEB
- 組み込み
- AI機械学習
など。
そして、メンバー50人のうち数人が聴者です。
聴者メンバーがいるメリット
最初は「デフエンジニアの会は聴こえないならではの悩みを可視化し、皆で話し合ったり企画を立ち上げたりして皆でデフエンジニアの社会的地位を高めていくための会なのだから、聴者メンバーはいらないのでは?」と思っていました。
しかし、デフエンジニアの社会的地位を高めるためには、聴者メンバーにも現状を知っていただくことが大事ですし、また、それとは関係なく、ただ純粋に一緒に勉強したり意見交換をし合ったりしてお互いに刺激を与えることもできます。
そういう意味では、 「ろう者難聴者がメインの会である」 ことをご理解いただいた上で、であれば聴者も受け入れ可能としています。
デフエンジニアの会がやること
デフエンジニアの会がやることはまず3つ。
- 聴こえない・聴こえにくいエンジニアも安心して勉強できる環境を作る
- みんなで情報交換・スキルアップができる場を作る
- みんなで悩み相談をし、乗り越える方法を身につけそれを仕事に生かせるようにする
そして、それによって
聴こえない・聴こえにくいエンジニアの社会的地位を高める
ことを大きな目標としています。
デフエンジニアの会の企画
今は以下のような企画を行なっています。
- 輪読会
- 定例Zoom会
- 勉強会
- LT大会
その他、「もくもく会」もやりたいと思っていますが、こちらはまだ実現できていません。
今後のデフエンジニアの会
今までは中心メンバーがいて、その方々で企画を考えて実行していました。
しかし、もっと自由度を高め、メンバーが皆さん自発的にやりたいことをやれるようにと考え、今後はコアメンバーに限らずメンバー一人一人が自分のやりたい企画を自由に発案できるようにしていきます。
また、今後は皆さんで
- デフ・ハッカソン(デフエンジニアの会メンバーだけでハッカソンを経験してみる)
- アプリ作成(WEBアプリでも何でも良いですが、皆さんで知恵を出し合って何か1つでも作れたらいいなと考えています)
- デフエンジニアの会サイト作成
- エンジニア用語の手話作成(エンジニア用語の手話がまだない状況があるため、皆で作ろうと話しています)
- おしゃべり会(単純に手話・文字で楽しくおしゃべりし情報交換などをしていく)
等も考えていきたいと思います。
デフエンジニアの会はまだまだ基盤が固まっていませんが、今後も皆さんにとって役に立つ会にしていけるよう、考えていきたいと思っています。
今後も応援よろしくお願いいたします。
補足
今までのデフエンジニアの会の説明・また、デフエンジニアの会のロゴデザインについてはこちらにも書かれています。
よろしければこちらもご覧ください。
番外編
デフエンジニア会代表のまみねこさんが以前ブログに書いた、「デフエンジニアの会立ち上げまでの流れ」を以下にまとめました。
良ければご覧ください。
デフエンジニアの会の成り立ち ー前編ー
(私の生い立ち①)
デフエンジニアの会の成り立ち ー中編ー
(私の生い立ち②)
デフエンジニアの会の成り立ち ー後編ー
(デフエンジニアの会立ち上げ)