はじめに
PowerVCの運用上の注意点として、① PowerVC管理外操作による影響、②PowerVCがVLANを自動削除することがある、という2点について記載します。
(PowerVC が勝手にあれこれすることに懸念があることを何度か聞いており今回記載しました)
対象
IBM PowerVC : IBM Power の仮想化、プロビジョニング製品
① PowerVC管理外操作による影響
下記のマニュアルにありますように、PowerVC 管理外でVM(Virtual Machine, 仮想マシン)停止を行うと、PowerVCが把握している仮想マシンの状態に戻そうとする動きをすることがあります。
つまり、HMC(Hardware Management Console, IBM Powerの管理コンポーネント)などで 仮想マシンの停止を実施したにもかかわらず、PowerVC側では起動状態で認識されているため、PowerVCからHMCに対して起動を実施することがある、ということです。
PowerVCでリソースの管理を開始するときに、特定の操作をリソースに対して直接実行したい場合があります。 例えば、 PowerVCを使用して仮想マシンを管理しているが、別の方法を使用して仮想マシンを停止するとします。 この場合、 PowerVC は、仮想マシンが停止したことを通知されず、仮想マシンの更新された状況を即時に反映しない可能性があります。 PowerVC は通常、次回 PowerVC を使用してリソースを管理するときに、更新されたリソースを取得するためにそのリソースをポーリングします。 その結果、 PowerVC の仮想マシンの状態が仮想マシン自体の状態と同じになるまで、 PowerVC からの操作は失敗する可能性があります。
ただし、毎回同じようにPowerVC が起動させるような動きをするとは限らず、同じくPowerVCも停止状態を認識して状態を停止に変更させることもあり、タイミングや状況によって発生する内容が違う様子です。
PowerVC 管理のリソースをPowerVC管理外で削除すると、PowerVC内に削除されない残存定義が発生するということもあります。(製品サポートに消し方を聞かなければならずちょっと大変)
PowerVC管理のサーバーをPowerVC管理外で操作にはご注意ください、という注意喚起まで。
②PowerVCがVLANを自動削除することがある
以前のバージョンのPowerVC で、LPM(Live Partition Mobility, 仮想マシンの筐体移動) を行うと、VLANが削除されている! ということが発生するケースがありました。
下記のTechnoteは PowerVC 1.3系(すでにEOS)の時代の内容ですが、VLAN 自動クリーンアップ設定の "automated_powervm_vlan_cleanup" がデフォルトで True (有効) でした。
"automated_powervm_vlan_cleanup" sets True by default.
有効化されている場合、ある筐体から移動したVMが持っていたVLANが使われていない場合に、PowerVC が対象筐体/VIOS(Virtual I/O Server) の SEA(Shared Ethernet Adapter) からそのVLANを削除してしまう動きが発生します。
最近のPowerVC V2 系では、auto-pvmvlan-clnup の値が同じ設定にあたりますが、デフォルト設定値は "False" (無効)です。
# powervc-config compute auto-pvmvlan-clnup
Management Server : automated_powervm_vlan_cleanup = False
Server-xxxx-xxx-xxxxx : automated_powervm_vlan_cleanup = False
powervc-config
compute
auto-pvmvlan-clnup
これが有効になっている場合、 PowerVC は、仮想マシンのマイグレーション後に VLAN を削除します。 -host パラメーターを使用してホスト名を指定すると、このアクションはそのホストに対してのみ行われます。 ホストを指定しない場合、このアクションはすべての登録済みホストに対して行われます。
最近のPowerVCではデフォルトでは自動的にVIOS のVLAN削除は実施されない設定となっています。
以上です。