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【2021年版】Azure/GCP/AWS OCRサービス比較

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はじめに

概要

AzureのOCR機能のレビュー記事を書いた際に、他のクラウドベンダーのOCRサービスとの比較についてお問合せ頂きました。
以下のレビュー記事です。

今回は、主要なパブリッククラウドであるAzure/GCP/AWSのOCRサービスについて比較してみましたので紹介したいと思います。

この記事の想定読者

クラウドが提供するOCR機能に興味のある方
どのクラウドサービスを導入しようか迷われている方

各社サービスの機能比較

Azure/GCP/AWSが提供するOCRサービスの比較を一覧表にまとめました。
※2021/5/17時点で最新のバージョンを使用して検証しています。

image.png
対応言語数、価格ではAzureが一歩リードしているように思います。
対応ファイル数はGCPが多く対応していますが、マイクロソフトも実用上問題ないレベルでカバー出来ているかなと思います。
AWSは他と比べて全体的に機能が弱いなという印象です。

ここからは、実際のデータを使って、OCRの認識精度や機能について詳細に比較していきたいと思います。
AWSのOCR機能は日本語未対応とのことで、AWSのOCR機能は比較対象外とします。

認識精度

精度検証データ

精度検証用のデータとして以下のデータ使用しました。
image.png
IPAで公開されている情報システム・モデル取引・契約書のテンプレートを基に作成した自作データです。
総文字数は1149文字で、言語は日本語、英語が含まれています。また、文章だけでなく表形式の記述が含まれている点が特徴です。

精度検証結果

今回は「文字認識率」と「ノイズ数」の2つの視点から精度評価を実施しました。
検証の結果、今回の検証データでは精度はAzureの方が良い結果となりました。

Azure GCP
文字認識率 99.74% 99.48%
ノイズ数 3文字 22文字
  • 文字認識率(%)…正しく認識された文字数 / 検証画像の総文字数 * 100
  • ノイズ数…検証データに含まれない文字を文字として認識した数

文字認識率はAzureもGCPともに精度は非常に高く僅差でAzureの方が良い結果でした。
ノイズ数はAzureの方が良い結果となりました。GCPの方がノイズが少し多めで、バグの様な出力も見られました。
以下で、具体的な事例をいくつか紹介したいと思います。

文字誤認識の例

まずはAzureのOCR機能(Read API)の誤認識の例です。
ベンダとOCRしてほしいところを"ペ"ンダとOCRしています。
image.png
次にGCPのOCR機能(Vision API)の誤認識の例です。
住所とOCRしてほしいところを主 PFとOCRしています。
PFとOCRされているのは少し笑ってしまいました。
image.png
Azure、GCP共に、別の箇所では正しく「ベンダ」「所」と認識できていたりするので、常にこの様な認識になるわけではありません。

ノイズの例

まずはAzureのOCR機能(Read API)のノイズの例です。
文字以外に、〇の記号があるのでそれが影響しているような気がします。
AzureのOCRで見られたノイズは大体このパターンでした。
image.png

次にGCPのOCR機能(Vision API)のノイズの例を2つ紹介します。
1つ目ですが、準委任の準の前にが認識されています。
表形式になっているところでこのパターンが多くみられました。表を構成する格子を誤認識しているようです。
image.png
続いて2つ目です。
何もないところに0 0 0 0 0 0が認識されています。これは何かしらのバグの様な気がします。
image.png

(参考)AWS Textractの認識精度

ちなみに、AWSのOCR機能(AWS Textract)についてもOCRを実施してみました。
日本語に関しては全然OCR出来ないことを改めて確認しました…。(日本語対応していないので当たり前ですが…。)
image.png
濃い灰色の部分が認識できている個所です。この例では、が認識されているように見えますが、OCR結果は意味不明な記号でした。
AWSの名誉のために。英語のドキュメントに対してはAzue、GCPと同等レベルに精度良く検出出来ています。
image.png

頑健性

スキャンに失敗して傾いたようなデータに対しては、Azure、GCPどちらも問題なく検出できています。
image.png

自然な読み取り順序

段組みデータに対して、Azureは自然な読み取り順序でOCR出来ていますが、GCPは対応出来ていません。
青色の番号がOCRの出力順です。
image.png
AzureのOCR機能(Read API)は、段組みデータの左半分をOCRした後に右半分をOCRしています。
GCPのOCR機能(Vision API)は、段組みデータに対応できておらず、左上から右下方向にZ型でOCRを実施しています。

まとめ

今回は、主要なパブリッククラウドであるAzure/GCP/AWSのOCRサービスについて比較してみました。

Azure、GCP共に高い精度で文字認識が出来ていることが分かりましたが、ノイズが少ない点、自然な読み取り順序でOCR出来る点で、機能的にはAzureの方が優れていると感じました。
また、コスト面や対応言語数の多さではAzureがリードしており、総合的に見てもAzureのOCR機能(Read API)が優れていると思います。
OCRサービスをご検討の方はまずAzureのOCR機能(Read API)を試して頂くのが良いのではないでしょうか。

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